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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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勇者(候補)ユウの冒険章⑥ 3 山の頂上へ

――――――――(side off)――――――――


 ジャネンの話を聞き、ユウ達はトライヒートマウンテンに向かうことにした。

 事情説明のために玉座の間に向かったが、龍王はシャルルアの試練の付き添いのために不在だった。

 代わりというわけではないが、聖女セーラに会ったので、事情を話した。


「邪気の発生······ですか」


 セーラが難しそうな表情でつぶやく。


「大変じゃないですか!? すぐに対応しないと、何が起こるかわかりませんよ」


 聖女セーラの横で、リンという護衛の女騎士が慌てて言った。


「だから、ぼく達が様子を見てくるよ。どういう状況なのかこの目で見ないとわからないからね。セーラさん達は、まだ色々と忙しいんでしょ?」


 ユウがそう言うが、リンは難色を示している。

 邪気というのはまだまだ未知の部分が多く、何が起きるか予測がつかないためだ。




「······わかりました。ユウ君達に任せましょう。ですが、何か異変を感じたら、すぐに戻ってきてくださいね。龍王様やシャルルアさんには、私から話しておきます」


 セーラが心配そうに言う。

 色々と話し合ったが、最終的にはユウ達に任されることとなった。


「ユウさん達に任せることは納得しましたけど、その······ジャネンさんって人は信用出来るんですか? いえ、ユウさんを救おうとしてたのは見てましたし、龍王様やシャルルアさんからも、この国で活躍したことを聞きましたけど······。邪気を集めて、何をするつもりですか?」


 リンがジャネンをチラッと見て言う。

 ジャネンは人族でも龍人族でもなく、冥界という未知の領域の住人であり、全面的に信用していいのか判断出来ないようだ。


「悪いが、我が神に関することは口外出来ない。龍人族にも人族にも害を為すことではないと断言するが、証明する術は持ち合わせていない」


 ジャネンの言葉にリンの表情が難しくなる。

 セーラは困ったような表情だ。


「······某を信用出来ないのであれば、話はここまでだな」

「待ってよ、ぼくはジャネンを信用するよ」


 少し悲しそうな様子を見せたジャネンに向けて、ユウが力強く言った。


「無理はしなくていいぞ、ユウ。某は何も話していないからな。信用出来ないのも無理はない」

「無理なんてしてないよ。ぼくはジャネンを信用してる。ジャネンにはたくさん助けてもらったし、命を賭けてぼく達と一緒に戦ってくれたでしょ? 少なくとも、ぼくにはジャネンが悪い人には見えないよ」


 ユウの真っ直ぐ過ぎる言葉に、ジャネンが戸惑いを見せる。


「まあ······ユウもこう言ってるし、わたしもジャネンを信用するわよ」

「ミリィはユウ様の見る目を信じますよぉ!」

「アタシもユウをしんじる······」


 テリア達もユウの意見を尊重するようだ。

 それを聞いてジャネンは照れたように横を向いた。


「な、なんだかわたしが悪者みたいになっているような······。わかりました、ユウさんがそこまで信用してるなら、わたしからはもう文句はありません」


 リンもジャネンを信用することにした。

 判断出来ないのが本音だが、リンもジャネンから悪意のようなものは感じていないようだ。











 龍人族の都を出て、ユウ達はトライヒートマウンテンを目指した。

 目指したといっても、問題の超巨大山は都を出て、目と鼻の先だが。

 すぐにユウ達は山の麓にたどり着いた。


「改めて見ると本当、大きな山ね······」


 テリアが山を見上げて言う。

 頂上付近は厚い雲がかかり、まったく見えない。


「これ、登るだけでも大変そうですねぇ」

「············あつい」


 ミリィが登る前から疲れたような表情をする。

 マティアは額の汗を拭った。

 この大陸は基本的に気温が高めだが、山の周囲はさらに暑くなっていた。


「食料や水は、いっぱい持ってきたけど足りるかな?」

「その心配はない。頂上までそれほど時間はかからないだろうからな」


 ユウは収納袋に大量の水と食料を用意していたが、ジャネンは必要ないだろうと言った。



――――――――――!!!



 ユウ達の前に巨大な影が降り立った。

 全身が黒く染まった鳥型の魔獣············いや、霊獣カオスレイヴンである。


「よく来てくれた。頂上まで頼むぞ」

「クアアーーッ!!!」


 ジャネンがそう言うと、任せろと言わんばかりに大きく鳴いた。


「ジャネン、この魔物に乗って行くの?」

「ああ、数人くらいなら余裕で乗れる。それと、コイツは魔物ではなく霊獣だ」


 ユウの問いに頷く。

 霊獣カオスレイヴンの背は意外と広く、10人くらいなら一気に乗れそうである。


「あれ? でも、そういえばこの魔も······霊獣、神将(アイツ)にバラバラにされなかったっけ?」

「カオスレイヴンは闇の不死鳥(ダーク·フェニックス)の異名を持つほどの再生力がある。バラバラにされたくらいでは死なんぞ」


 ちなみに、以前にテリアも同じ問いをジャネンにしていた。アンデッドの一種というわけではないようだが、霊獣はゾンビ以上の再生力を持っているらしい。




 ユウ達が背に乗ると、カオスレイヴンは翼を広げて飛び立った。






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