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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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勇者(候補)ユウの冒険章⑥ 2 ジャネンの使命

――――――――(side off)――――――――


 エンジェの試練を達成して、ユウは聖剣を手に入れた。龍人族の戦士達も見学していて、二人の戦いを称賛する。

 ユウはすでに、龍人族の国では特別な存在となっていた。




 その後、少し遅めの朝食を済ませ、ユウ達は今後の予定を話し合おうとしていた時、ジャネンがやってきた。


「どうやら、すっかり回復したようだな。神剣を使いながらも精神に異常を来さないとは、見かけによらず頑丈なものだ」


 ジャネンが呆れ半分といった口調で言う。


「ジャネンのキスのおかげだね。甘い感触で、すごく心地良かったよ」

「······っっ!!? 恥ずかしげもなく言うな! 甘かったのは神薬の味だ」


 ユウの返しに頬を赤らめ、そっぽを向いた。

 ジャネンは普段はほぼ無表情なだけに、新鮮な反応に見える。


「むぅ〜、言っておきますけどぉ、ユウ様の()()()はミリィが先にもらってますからねぇ」


 ミリィが対抗するように、そんなことを言い出す。

 この言葉に黙っていなかったのはテリアだった。


「······何の話よ、ミリィ?」

「ユウ様にこの世界に召喚してもらった時に、ミリィは熱〜い口付けを交わしたんですよぉ」

「ちょっと待ちなさい、その話······わたし初耳なんだけど」


 ミリィの言葉を聞き、テリアの額に血管が浮かんでいる。そんなテリアを見て、ミリィは勝ち誇る。


「············キスってなに?」


 マティアは意味がわからずに首を傾げていた。

 その横で、テリアとミリィはギャーギャーと言い合いを始めてしまった。



「仲の良いことだな······」

「そういえば、ジャネンも神将(アイツ)の攻撃受けて苦しんでたんだよね? テリア達に聞いたよ。もう大丈夫なの?」

「ああ。一時は死を覚悟したが、もう問題無い」


 ジャネンも神将の呪いによって苦しんでいたのだが、危機は脱したようだ。

 だが問題無いと言っているが、まだ完全には回復していないようで時折、胸を抑えている。


「まだゆっくり休んでいた方がいいように見えるけど?」

「いつまでも龍人族の国(ここ)に留まっているわけにもいかない。(それがし)にはやるべきことがあるのでな」

「そういえばジャネンって、何か目的があってこの大陸に来てたんだっけ? やることがあるなら、ぼくも手伝うよ?」


 ジャネンはもともと冥界の神の使命を受けて、この大陸にやってきていた。

 龍人族の手助けをしたのは、あくまでもついでのようなものだ。


「いや、別に手伝ってもらうほどのことでは······」

「ジャネンには色々助けてもらったし、ぼくもジャネンの力になりたいんだよ。ダメかな?」

「ダメということもないが······」


 遠慮気味なジャネンに、ユウは喰い付くように言う。

 ユウの強い申し出に、ジャネンは困惑する。


「······まあ、某だけでは手を焼く可能性もある。手を貸してくれるのならば、正直助かる」


 結局ジャネンが折れ、ユウの協力を受け入れた。


「そもそも、あなたって何しにこの大陸に来てたのよ?」

「確か、何か使命があるとか言ってましたよねぇ?」


 テリアとミリィも言い合いをやめて、ジャネンに問う。マティアは黙って、やり取りを見ている。


「龍人族の町のすぐ近く、お前達が最初に神将と戦っていた、トライヒートマウンテンという山の頂上に特異点を観測した。某はそれを回収しに来た」


 トライヒートマウンテンというと、ユウ達がこの大陸に初めて来た時に降り立った場所だ。

 標高20,000メートルを超える超巨大山である。


「特異点って?」

「お前達が邪気と呼んでいるものだ。人族などには有害でしかないだろうが、我ら冥界の者には色々と有益なものだ。我が神が、それを大量に必要としている」


 ユウの問いにジャネンが答える。


「つまり、あの山の頂上に邪気が発生しているってことよね? それって放って置いたらマズイんじゃないの?」


 テリアの言う通り、邪気は放って置けば強力な魔物を生み出す可能性がある。

 そうでなくても周囲を蝕んだりして有害なものだ。


「ミリィならある程度、邪気を吸収出来ますよぉ?」


 ミリィは邪気を吸収し、自身の力に変えることが出来るらしい。

 ミリィも冥界の民に近い特性があるようだ。



「某が観測した特異点は、個人が吸収しきれる規模ではない。テリアの言う通り、放って置けば龍人族の国(ここ)まで影響が出るかもしれんな」

「それなら尚更、ぼくも手伝うよ。そんなのがこの町の近くで発生してるのなら、放って置くわけにはいかないよ」


 ユウが力強く言った。


「ま、しょうがないわね。わたしも付き合うわよ、ユウ、ジャネン」

「ミリィだって、ユウ様の力になりますよぉ!」

「············アタシもいく」


 テリア、ミリィ、そしてマティアもジャネンの手助けをすることにした。




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