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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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閑話⑨ アイラの幻獣人族の里での一日 〜後編〜

(アイラside)


 全員を起こして、日課の朝の鍛錬を終えた。

 当初は私の課す鍛錬について来れない者も何人かいたが、今では全員ちゃんとこなしている。

 そろそろもう一段階、厳しくしても良い頃合いだな。



 最後にレイと模擬剣で手合わせするのも当たり前になった。

 (女神の祝福〈仮〉)のスキルを得てから、レイの動きは格段に精度を上げていた。

 もはや私でも一切の油断が許されないほどに。


 しかも最近では龍人族の国でバルフィーユという魔人と戦い、(聖剣術)を上回る(神聖剣術)を会得していた。

 このままでは、私がレイに完全敗北を許す日が来てしまうかもしれないな。

 私自身、そんな日が来るのを楽しみにしているが、そう易々とやられるつもりもないのだがな。


 ······それにしても、魔人バルフィーユか。

 今のレイでも倒せるかわからないほどの強敵だったらしい。

 やはり、今の状態に満足せず、まだまだ強くなることに力を入れた方が良さそうだな。




 レイとの手合わせを終えたら、見学していたゲンライソウ殿とフウゲツ殿も、私達との軽い手合わせを希望してきた。

 レイはゲンライソウ殿と、私はフウゲツ殿と軽く手合わせを(おこな)った。

 他にも希望してくる者達がいたが、さすがにキリがないので、後日にということにしてもらった。



 鍛錬を終えたら、朝食を摂る。

 少し遅めの朝食になってしまったな。

 幻獣人族の里の食べ物は日本食に近い物が多く、私達には馴染みやすいものだ。

 先代勇者が私達と同じ世界出身という話だったので、それが関係しているのだろう。


 レイがスキルで出した果実や作物の種も譲ったので、食のレベルもだんだんと上がっていっている。




 その後は各自、自由行動となる。

 皆には神樹の迷宮に入るのなら、レイか私に必ず声をかけるように言っている。

 私やレイなら転移魔法を使えるのでわ不測の事態が起きても脱出は可能だからだ。

 シノブも転移魔法を使えるが、入るのなら攻略済みの階層だけにしておくように厳命している。


 レイとルナシェア殿が150階層まで攻略したので、神樹の迷宮は残り半分となった。

 だが、迷宮は深く潜れば潜るほどに難易度を増していく。油断は禁物だな。




 そういえば、先日の自由行動の時にエイミとミールがクラントールに行き、正義の仮面を名乗るあの男を見たらしい。

 冥王を倒した後、どこに行ったのか気になっていたが、まさか私達と同じ国にいたとはな。

 クラントールでは何度か現れ、活躍しているそうだ。先日の魔物騒ぎの時も、私とは鉢合わなかったが人々を守っていたらしい。


 あの男とは決闘の決着が着いていないのだったな。

 だが、冥王を倒した戦いぶりを見る限り、今の私では勝ち目はないだろう。

 本当に何者なのだろうか?

 格好はともかく、行い自体は好感を持てる人物だ。

 是非、その素顔を拝見し、正体を知りたいものだ。






 朝は色々とあったが、今日一日を平穏無事に終えることができそうだ。

 そういえば王都の学園も、そろそろ再開するという話だったな。

 今度王都に戻り、リイネにでも詳しく聞きに行くとしよう。



 一日の疲れを癒やすために温泉施設へと向かう。

 幻獣人族の里の温泉施設は無料で解放されているので、自由に入ることができる。

 混む時間帯は聞いているので、私達は人の少ない時に入るようにしている。


「おや、アイラさんも入りに来たんですか」


 脱衣場で服を脱ぎ、中に入るとミールに声をかけられた。

 他にエイミにミウネーレ、シノブにスミレ、ルナシェア殿も入っていた。


「あら〜、皆来てたのね〜」


 キリシェも加わり、全員集合となったな。

 皆、考えることは同じか。

 男湯にはレイとユーリ、それとユヅキも来ているらしい。



「せっかくですから、レイさん達もこちらに呼びましょうか? それともワタシ達が向こうに······」

「あら〜、それは良い考えね〜、ミールちゃん」


 ミールとキリシェがそんなことを言い出した。

 スミレがそれに同意する様子を見せるが、他の皆は戸惑った表情をしている。


「やめんか馬鹿者。温泉はのんびり浸かるものだ」


 私は二人の蛮行を止めた。

 放っておけば本当に実行しかねないからな。

 ······というより、二人とも前科持ちだ。


「仕方無いわね〜、なら私が身体を洗ってあげるわよ、アイラ〜」


 キリシェがそう言って迫ってきた。


「アイラさんって、すごくスタイルいいですよね。ワタシも参考にしたいので、アイラさんの身体を洗うの手伝いますよ」


 ミールまでそんなことを言い出した。


「な、何を参考にする気だ? ミールだって恥ずかしくない、良いスタイルじゃないか」

「ずばり胸ですね。どうすればそんなに豊満なモノに育つのか、秘訣を聞きたいです」

「胸など······あまり大きくても邪魔なだけだぞ?」

「······それは持たざる者への挑発ですか? それとも持っている者の余裕ですか? どちらにせよ、その発言は許せませんね」


 ミールが私の胸を鷲掴みにしてきた。

 確かにミールの胸は、このメンバーの中では小さい方だが、何かコンプレックスでもあるのだろうか?

 姉のエイミが、それなりのサイズがあることに関係しそうだな。



「あら〜、ミールちゃんズルいわよ〜。私も混ぜて〜」


 キリシェまで便乗してきた!?

 や、やめ······二人がかりで、そんなに激しくするな!


「ええいっ、やめんか! 温泉はのんびり浸かるものだと言っただろうが!」


 なんとか二人を止めることができた。

 その後は特に問題なく温泉に浸かり、疲れを癒やすことができた。





 夕食も済み、各自割り当てられた自室へと戻った。

 里を覆う結界強化の儀式も、いつの間にか終わり、今後はゲンライソウ殿やフウゲツ殿、それに長の護衛役の幻獣人族の戦士達も迷宮攻略に乗り出すようだ。


 神樹の迷宮も残り半分とはいえ、今まで以上に気を引き締めなければな。


「それじゃあおやすみ〜、アイラ〜」


 明かりを消し、寝る準備を初める。

 当然だが、キリシェとは別々の布団だ。

 今朝のようにはならないようにしなくてはな。



 こうして騒がしくも楽しい一日を終えた。

 異世界での生活にも、ずいぶん馴れてきたものだ。





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