287 ルナシェアとの裸のスキンシップ②
幻獣人族の里の温泉施設で、ルナシェアと二人で入浴している。
ルナシェアに背中を洗ってもらったりと恥ずかしいけど、とても気持ち良い気分だ。
「ルナシェア、今度はオレがルナシェアの背中を流すよ」
「え、小生は別に······」
「オレばかりだと不公平だからね」
オレは平静を装い言った。
実はルナシェアに洗ってもらっていた時に、何度かやわらかい感触が背中に当たっていた。
あれは多分、ルナシェアの胸············。
あれ以上続けていたら、オレの理性が飛びそうだった。
位置を入れ替え、今度はオレがルナシェアの背中を流す。しかし、こうして見るとルナシェアの身体は線が細いな。
勇敢に魔物と戦っているとは思えないくらい、普通に華奢な女の子の身体だ。
「あ、これはなかなか······でありますな」
オレに背中を触れられて、ルナシェアが少し気持ち良さそうに声をもらした。
女の子の背中を流すなんて当然、初めての経験だけど、上手く出来ているみたいでよかった。
「前から聞きたかったんだけど、ルナシェアって正式な聖女になりたいの?」
「どういう意味でありますか? 当然、なるつもりでありますよ」
「いや、聖女のスキルって望む望まないに関わらず、ある日突然得るパターンがあるんだろ? セーラやアルケミアはともかく、ルナシェアは最初から聖女を目指していたわけじゃないんだよね?」
ルナシェアはもともと騎士の名門の生まれで、そして騎士を目指すべく修業を積んでいたと聞いた。
いくら聖女のスキルを授かったからって、今までの目標を捨てることになるのは、どうなんだろうか?
「そうでありますな。小生自身も、聖女よりも騎士の方が向いていると思うでありますよ。しかし、聖女というのは名誉であると同時に、人々の希望なのであります」
聖女はその「聖」なる力によって魔物など、悪しき力を大幅に弱体化させることが出来るんだったな。
「レイ殿や今の小生はレベルが高く、大抵の敵は打ち倒せるでありますが、魔王やその配下というのは基本、人間よりも遥かに強い存在なのであります」
確かに魔人族のバルフィーユやメリッサは、並の人間じゃ太刀打ち出来ないくらいの強さだった。
幻獣人族の里を襲った魔人も、オレ達から見ればたいした相手ではなかったけど、普通の冒険者や騎士を上回るレベルだった。
勇者や聖女は、そんな相手の力を大幅に抑え込むことが出来る。
「魔王軍が動き出した今、聖女の存在はそれだけで人々に希望を与えられるのであります」
そうか、聖女はオレが思っている以上に大きな存在なんだな······。
騎士を目指していたルナシェアが、人々を護るために聖女を目指す。
まあ、おかしな話じゃないか。
聖女は誰でもなれるわけでもないから、ルナシェアがその資格を放棄したら、それだけで人々の希望がなくなることになる。
責任感の強いルナシェアなら、誰かを見捨てるなんてことはしないだろう。
「そうか······。でも、あんまり思い詰めないようにな。オレで良ければ、いつでも力になるからさ」
責任感が強すぎるために、プレッシャーに押し潰されるということもある。
ルナシェアはそんなことにはなってほしくない。
「そう言ってくれるのなら嬉しいであります! レイ殿はとても頼もしいので、頼りにさせてもらうであります!」
遠慮気味に言うかと思ったら、ルナシェアは心底嬉しそうな笑顔でそう返してきた。
それだけ頼りにしてくれるのなら、オレとしても嬉しいし、期待には応えるつもりだ。
············ただ、嬉しさのあまり、突然振り向くのはやめてほしかったかな。
話で気を紛らわしていたけど、まださっきの興奮は完全には収まってなくて······。
つまりオレのはタオルで隠していても、見えてしまうような状態なわけで······。
「あ············」
それに気付いたルナシェアは目を逸らすことなく、そのまま真っ赤になって固まってしまった。
オレも恥ずかしさのため反応が出来なかった。
「ルナシェア······、ジッと見られると恥ずかしいんだけど?」
「あ、え······ももも、申し訳ないであります!?」
オレの言葉で正気に戻ったように反応した。
けど、ルナシェアはオレのから目を逸らさずにしている。
「レイ殿の······く、苦しそうでありますな······」
苦しいというか、この状況で収めろという方が無理がある。
「し、小生がその······収めてあげるでありますよ?」
「ルナシェア、む、無理しなくていいよ。そろそろ熱くなってきたし上がろ······」
「大丈夫であります! む、無理なんてしてないであります! 一度経験があるでありますし、お任せあれであります!」
無理してるよね?
······まあ、オレも期待していなかったと言ったらウソになるけど。
聖女のルナシェアにそんなことさせていいのだろうか?
今更と言われればそれまでだが······。
やはりオレは、こうやって流されるのに弱いみたいだ。
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結局ルナシェアにスッキリさせてもらいました。
もちろん本番の行為はしていない。
手と口を使ってもらっただけで······。
それよりも、今のでルナシェアの加護が上がっていた。
[ルナシェア] レベル455
〈体力〉84900/84900
〈力〉45000〈敏捷〉42900〈魔力〉59600
〈スキル〉
(聖女の資格〈5/9〉)(聖なる守り)
(浄化の息吹)(聖剣術〈レベル9〉)
(身体強化〈極〉)(詠唱破棄)
(異世界人の加護〈中〉)
加護が〈小〉から〈中〉に上がっていた。
ステータスが全体的に大きく上がっている。
それとこれでルナシェアと念話を可能になったということだ。
「あの······レイ殿のをシテいたら、なんだか小生も······」
ルナシェアがモジモジしながら言う。
どうやらルナシェアも身体が火照った状態になってしまったようだ。
······オレも一度だけじゃ完全には収まっていない。
このまま流されるままにルナシェアと行為に及ぼうかと、手を伸ばしかけたら······。
「良い雰囲気の時に申し訳ないのですけど、ワタシも混ぜてもらえたら嬉しいですね」
という声が聞こえて、我に返った。
振り向くと、バスタオルを巻いただけの姿のミールが立っていた。
「ミール······?」「ミ、ミール殿!?」
オレとルナシェアが同時に言った。
何故、ミールがここに?
一応こっちは男湯なんだけど。
「フウゲツさんにレイさん達が迷宮から帰って、温泉に向かったと聞いたのでワタシも来たのですが、女性側にルナシェアさんの姿がなかったので、もしやと思いまして」
ミール達も迷宮から帰ってきていたのか。
ということは当然············。
「レイ、色々と話を聞きたいのだが? ルナシェア殿も、少しよろしいかな?」
ミールの後ろから、不穏なオーラが見えるアイラ姉が現れた。
これはキツイお説教を覚悟した方がよさそうだ。