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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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278 魔王軍の動き

 魔道具専門店〝トゥラヴィス〟の姉妹、リーナとリーアに龍人族の国でのことを話し、その後はエレナと他愛ない世間話に華を咲かせている。


 ガールズトークに混ざるのはどうかと思ったので、オレは暇つぶしに店に並ぶ魔道具を見ていた。

 今日は店の定休日だったようなので、他のお客さんはいない。


 色々な種類の魔道具があり、見ただけでは効果のわからないものも多く、見ていて飽きない。



 ただ魔道具に☆マークと✕マークが付いてるのが気になった。

 ✕マークの付いてる魔道具は、値段が異常に安いんだが······?


「☆マークはわたし特製の良品、☓マークはお姉様特製の粗悪ひ······特殊効果付属のものですわ」


 魔道具を見ていたオレにリーアがそう説明してくれた。今、粗悪品と言いかけなかったか?


「お姉様の作った魔道具は、説明文と効果が異なる物がほとんどですので。ちなみに☓マークの商品に対するクレームは受け付けていませんので、ご使用は自己責任でお願いいたしますわ」


 それってやっぱり不良品······粗悪品では?

 クレームは受け付けていないと言っても、命にかかわるような事態になったりすれば文句は出るだろう。

 けど、そういう事態になったという話はないようだ。


「冒険者さん達が、よくお姉様の魔道具を使った際のトラブルを面白おかしく話したりはしていますけどね。中にはお姉様の作った物を好んで買ってくださる方もいますわよ」


 要はネタアイテム扱いなのかな?

 アルネージュの町にいる鍛冶師ノギナの作った武具も似たような感じだったし、笑い話で済むなら問題無いのかな。


「リーアさんの魔道具は魔人族との戦いで活躍してましたよ。リーナさんのも······意外性があって役立ちました」


 エレナが言う。

 少し困ったようにリーナが作ったのをフォローしていたけど。



「あ、あたしは普通に作ってるつもりなんだけど······」


 複雑そうな表情でリーナがそうつぶやいていた。





 まあそれはともかくとして、色々有用そうな魔道具もある。

 せっかくだし、何か買っていこうかな?

 あ、でも今日は店はお休みだったっけ。


「お買い上げですか? 買ってくださるのなら大歓迎です。遠慮する必要はありませんよ」


 リーアがそう言ってくれたので、いくつか買うことにした。

 バルフィーユのような、強敵を相手にした時のための搦め手用なんかも必要だろう。


 攻撃用の魔道具なんかも意外と充実していた。

 普段の生活に役立ちそうな日用品も結構ある。


「ですが、魔道具はどれも値が張りますわよ。学生の方にも手が出るような物ですと、限られてしまいますけど」


 確かに学生が気軽に買える値段じゃないな。

 冒険者でも、ベテランクラスじゃないと手が出ないんじゃないかな。


 けど、オレの持ち金なら余裕で買える。

 異世界に来てから色々やっていたら、いつの間にかとんでもない金額が貯まっていた。

 使おうにも必要な物はアイラ姉とシノブと協力すれば、大抵作れるので貯まる一方だった。

 たまに散財してもいいだろう。


 オレはアイテムボックスから金貨がぎっしり入った布袋を取り出した。

 これでもほんの一部だが。


「わわっ、すごい······。レイさんって、もしかして貴族様?」


 それを見てリーナが驚きの声をあげた。

 貴族じゃないと軽く返しておいた。


「ではレイ()。当店のオススメ品を懇切丁寧にご説明いたしますわ。是非、今後も当店をご贔屓に」


 リーアがとびきりの営業スマイルでそう言った。

 いくつか有用そうな物を買ったら、サービスで非売品の魔道具を付けてくれた。

 理由があって店で売り出せなかったが、出来は良い物だそうだ。

 今度試して見ようと思う。




 挨拶も済み、色々と面白い物も見れたし、そろそろエレナを送りに本殿に向かうことにした。

 リーナとリーアに、またいつでも来てくださいと見送りされながら、店を後にした。


 可愛らしい見ていて癒される仲良し姉妹だったので、今後も足を運ぼうと思う。



 少し気になったのは二人のステータスを鑑定魔法で見た時、名前の表示がリーナが[リリナ]、リーアは[リアンヌ]となっていた。

 リーナとリーアは愛称だったのかな?

 まあ、細かいことはいいか。





 リヴィア教本殿に着くと、さっそく教会関係者に出迎えられた。

 聖女様の無事を心から喜んでいる様子だった。

 エレナは申し訳なさそうに謝っていた。


 すぐにエレナの両親も駆けつけ、無事を喜ぶ抱擁と心配させたことによる、お説教を受けていた。




 オレの役目もこれで終わりだし、龍人族の国に戻ることにしよう。

 そう思ったところで不意に声をかけられた。


「レイじゃないか。こんなところで会うとは珍しいな」


 誰かと思ったら学園のクラスメイトにして、王女のリイネさんだった。

 冥王関係の後始末などで本殿に来ていたらしい。


「ようやく後始末も一段落しそうだ。学園も、もうじき再開するだろうな」


 リイネさんが笑いながら言う。

 王女様だけど相変わらず気さくで話しやすい人だ。


「そういえば、アイラとキリシェがどこにいるか知らないか? 寮に行ったが、二人とも留守にしていてな」


 リイネさんは、幻獣人族の里や龍人族の国のことは知らないんだったな。

 オレは今まであった出来事を簡単に話した。



「わたしの知らないところで、そんなことがあったのか······」

「アイラ姉は今は龍人族の国に、キリシェさんは幻獣人族の里にいるよ。ミール達も一緒だけど」


 オレの話にリイネさんは、驚いたような呆れたような反応だ。


「魔人族か······。実は我が国はまだ目立つ被害はないが、周辺諸国では魔王軍の被害が多発しているらしい。幻獣人族の里と龍人族の国も、その一端かもしれんな」


 そんな話が出ているのか······。

 この国での魔王軍関係の侵攻は、ずいぶん前にあったオークキングの軍勢くらいだったか。

 あれも未然に防げなければ、かなりの被害が出ていたはずだが。


「学園が再開しても、聖女のルナシェア殿やリンは通えないかもしれないな」


 魔王軍が動き出してるのなら、聖女は今まで以上に忙しくなりそうだ。

 そもそも三人(今は四人だけど)の聖女が一つの場所に集まっているのが、特殊な状況だったっけ。




 冥王の後始末は一段落しても、まだまだ忙しくなりそうだ。

 リイネさんと、ある程度情報交換をして別れた。



 龍人族の国に戻ったらアイラ姉達と合流する前に、先に頼まれている例の鍵をシャルルアに渡しておくかな。





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