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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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277 魔道具専門店の姉妹

 転移魔法を使い、エレナを連れて王都まで戻ってきた。転移場所は、できるだけ人通りの少ない学生寮の近くだ。

 転移した瞬間を誰かに見られても困るしね。

 幻獣人族の里に行ったり、龍人族の国に行ったり、そして王都に戻ってきたりと、短い間に色んな所に行ったものだ。


 本来なら何日もかけて移動するのを一瞬だからな。本当に便利な魔法だ。




「あの······レイさん、本殿に戻る前に寄りたい場所があるんですけど、いいですか?」

「ああ、構わないけど」


 エレナが言う。どこに行きたいのかな?

 先に自宅に戻って両親に挨拶だろうか。


「いえ、パパとママには後でゆっくり謝りたいから······。それよりも、少しお世話になった人達がいるんです」


 エレナが行きたいのは、商店通りにある魔道具専門店らしい。

 魔人族との戦いのために、色々な魔道具を安く譲ってもらったりしたそうだ。


 ま、別に急ぎでもないし、少し寄り道くらいいいか。






 エレナに案内されて魔道具店に向かう。

 大通りからそれほど離れていない場所に、その店はあった。


 魔道具専門店〝トゥラヴィス〟か。

 ここに来るのは初めてだな。

 王都は広く、色々な店があるので、オレもまだすべての店を回ったわけではない。

 ただ、どこかで聞いたことのある名前の店だな。


「すみませーん、リーナさんとリーアさんは······」

「わわわっ!? ちょっ······ストップ······」


――――――――!!!



 店に入ろうとしたエレナが、中から凄い勢いで出てきた女の子とぶつかった。


「あたた······ご、ごめんなさいー、お客さん! ······ってアレ? 聖女様のエレナさん?」

「リ、リーナさん······何してるの······?」


 女の子が頭を押さえて、エレナは鼻を押さえて言う。派手にぶつかったように見えたけど、どちらも大した怪我はないようだ。

 ん? この子、どこかで見たことあるような······。

 リーナって確か······。


「聖女様に暴行······お姉様、死刑確定ですわね······」

「え、ええっ!? ち、違うよエレナさん! 今のは新型のジェットブーツの出力を試していただけで······」


 店の中からシノブやスミレくらいの年齢と思われる女の子が出てきて言ったことに、慌てて弁解している。


 思い出した。

 このリーナって女の子は、前に鉱山の町ラズスで魔鉱石を売ってあげた子だ。

 そういえば王都の魔道具専門店を姉妹で経営しているとか言っていたな。

 ここがその店だったのか。


(あね)が失礼しましたわ、エレナ様。死刑だけは勘弁してあげてください」

「そ、そんなつもりはないけど······。それとエレナ()はやめてほしいかな」


 リーナの妹と思われる女の子の言葉に、苦笑いで答えるエレナ。


「あれ? あなたは前に魔鉱石売ってくれた人だよね?」


 リーナがオレに気付いて言う。

 一度会っただけだったけど、向こうも覚えてくれていたようだ。


「あら、お客様ですか? 自称、王都(いち)の魔道具専門店〝トゥラヴィス〟にようこそいらっしゃいませ。わたしは店主、兼、職人のリーアです。よろしくお願いいたしますわ」


 やはり妹だったようだ。

 リーアと名乗った女の子は頭を下げてそう言った。

 姉じゃなくて、この子が店主なのか?


「えっと、エレナさんはどうしてここに? ユウ君達と龍人族の国に行ってたはずだよね?」


 リーナが問う。

 二人は龍人族の国のことを知っているようだ。


 ここで立ち話もなんだし、店に入れてもらい事情を話すことにした。






 オレ達はお互いに自己紹介をして、龍人族の国の出来事を話した。

 オレの知らないようなことはエレナが説明した。

 おかげでオレも、色々と事情を知れた。


「そうだったのですか。では龍人族の危機は去ったのですわね」

「よかったよー! 心配してたんだからっ」


 リーアとリーナが心底安心したように言った。

 二人はユウ達とずいぶん親しいみたいだな。


「ユウやテリア達は、まだしばらくは龍人族の国にいると思うわ」


 まあ、ユウは薬を与えたとはいえ、まだ本調子ではないからな。

 魔人族がどう動くかわからないし、龍人族の国で匿ってもらった方がいいだろう。


「あ、そうだ! ユウ君達が龍人族の国までアイテム使って飛んでいった時に、これを落としていったんだけど」


 リーナがそう言って出したのは、竜の紋章が刻まれた小さな鍵だ。

 一見、ただの何の変哲もない鍵に見えるけど、なんか特殊な魔力の流れを感じる。


「わたし達では鑑定出来なかったので、なんの鍵だかわかりませんが······」


 リーアが言う。

 ある程度ランクの高いアイテムは、人間同様に鑑定が出来ないからな。

 試しに鑑定してみた。



(龍神の鍵〈アイテムランク10〉)

龍神の神子の試練の扉を開けるための鍵。



 鑑定に成功した。

 アイテムランク10······オレの知る限り最高ランクだな。名前からして、おそらくシャルルアが落としたんじゃないかな?



「多分、シャルルアが落としたんだと思うわ。神子の試練のための鍵だって出てるから」


 エレナも鑑定に成功したようだ。

 エレナもかなりの高レベルだからな。


 アイテムランク10ということは、かなり貴重な物だと思うけど、シャルルアに大事な鍵を失くして慌てたような様子はなかったな。

 龍人族の国は色々とドタバタしているし、失くしたことに気付いていないのかもしれない。


「なら、オレが渡しておこうか? エレナを本殿に送ったら、また戻るし」


 別に手間でもないし、ついでに届けるくらい構わない。


「それならお願いいたしますわ、レイさん」

「綺麗な鍵だし、あたし達が持ってて盗まれたりしたらどうしようかと思ってたの。助かるよー!」


 リーアとリーナが了承し、オレは鍵を受け取る。

 失くさないように、ちゃんとアイテムボックスに入れておいた。






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