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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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273 レイVSバルフィーユ

 龍王の城に攻めてきた二人組の魔人族は、バルフィーユとメリッサだった。

 メリッサは様子見に徹していて、戦う気はないみたいだ。

 オレは一旦、バルフィーユから距離を取る。



 シノブ、スミレ、マティアにリン達のことを任せて、オレはバルフィーユと対峙する。


「あの女共も相当に強かったが、お前からはそれ以上の力を感じるぜ。楽しませてくれよ」

「さっきも言ったけど、オレは戦いはあんまり好きじゃないんだが」

「じゃあ好きになろうぜ? お前も男ならこの気持ち、わかるはずだ」


 熱血系漫画の主人公とかなら、そういうのを分かり合えそうな気がするが。

 オレはのんびりスローライフ派だ。


 バルフィーユが構えを見せるが、武器を持っておらず素手だ。

 あの長身の身体を考えたら格闘が得意なのか?

 それとも魔術師タイプか?



―――――レイさん、その魔人はとんでもなく強いです。わたし達も援護します。



 リンが念話でそう言ってきた。

 リン達は大きな怪我はないが、相当に魔力を消耗しているようだ。

 さっきの戦いを見る限り、ハンパな攻撃は通用しないだろう。



―――――いや、巻き込まれないように皆を連れて離れていてくれ。本気で戦うと、オレも周りに気を配る余裕がなくなると思うから。



 オレがそう言うと、遠目に不安そうな表情を見せたが、すぐに気持ちを切り替えたようだ。



―――――わかりました。申し訳ありません、毎度レイさんに頼ることになってしまって······。せめてもう一人の魔人族の女の子は任せてください。レイさんの邪魔はさせませんから。



 そこで念話が切れて、リンがセーラ達と共に距離を取った。

 シノブが薬を配っているので、少し休めば体力も回復するだろう。

 オレは改めて聖剣を構えた。


「改めて自己紹介するか。俺はバルフィーユ。神将の中でも最強と呼ばれてる男だぜ」

「にししっ、()神将だけどね」

「余計なことを言うなと言ったろうが、このバカ」


 バルフィーユとメリッサが、何やら緊張感のないやり取りをしている。

 なんだか全然敵だって気がしないんだが。

 そもそも、なんで城を襲撃したんだろうか?

 確かバルフィーユは、知り合いの落とし物を探していたんじゃなかったっけ?


 まあ、そのことは今はいいか。

 それよりも神将は魔王を上回る実力があると聞いているが、バルフィーユはその一角なのか?

 しかも自称とはいえ、最強とか言っているが。



「まあいい、行くぜ、レイ!」


 バルフィーユがオレに向かって駆け出した。

 やはり格闘タイプなのか。

 その長身からリーチの長い蹴りを放ってきた。

 オレは後ろに跳んでかわした。


「煉獄火炎弾!!」


 蹴りを避けたオレに「炎」の魔法を撃ってきた。

 ファイアボールか?

 ならオレも同じ魔法で相殺してやる。


「ファイアボール!!」


 バルフィーユが放った数と同じだけオレも放ち、すべて相殺した。

 魔法はオレの得意分野だ。

 相殺すると同時に、オレは聖剣で斬りかかった。


「おっと、俺の魔法攻撃を簡単に防ぎやがったな。思った通りやるじゃねえか!」


 バルフィーユがオレの攻撃をかわしながら言う。

 なかなかに素早い。


「デイプソード·プリズン!!」


 オレは聖剣で攻撃しながら「氷」の最上級魔法を放った。

 バルフィーユの足もとから凍り付き、動きが止まる。


「聖魔退斬剣!!」


 すかさず(聖剣術)で斬りかかった。

 足が凍り付いているため、これは避けられないはずだ。



――――――!!!!!



「いいねえ。これだぜ、俺が求めてた戦いってやつは!」


 バルフィーユはいつの間にか剣を手にしていて、それでオレの(聖剣術)を受け止めた。

 武器は身につけていなかったはず······収納魔法か?

 バルフィーユくらいの実力者なら、使えてもおかしくない。


 バルフィーユは「炎」の魔法で氷を溶かした。

 普通だったら一瞬で全身が氷漬けになってたはずなんだが、魔法耐性が高いのかな?


 いや、それよりもバルフィーユが剣を持ったら、力が増した感じがする。



(魔剣サタンジェネラル〈アイテムランク7〉)

攻撃力+3400〈身体強化、状態異常攻撃付与〉



 禍々しい剣だと思ったが、オレの聖剣ほどの強さじゃないな。

 それでも充分強力な剣だけど。

 (身体強化)が付与されているようで、持っているだけで使い手のステータスが上がるようだ。

 力が上がったのは、その効果か。


「ハハハハハッ!! まだまだ行くぜ、レイ!」


 今度はバルフィーユが斬りかかってきた。

 オレは聖剣で魔剣を受け止める。

 オレも負けずに反撃して聖剣で打ち合う。

 剣と剣の勝負はアイラ姉に鍛えられているからな。

 そうそう簡単には打ち負けないぞ。


 しかし、やはりバルフィーユは強い。

 (女神の祝福)や(異世界の絆)スキルでオレのステータスは、かなり底上げされているのに互角以上だ。

 実力は普通に冥王を上回っているかもしれない。


 後ろの方でリン達のオレを心配する声が聞こえるけど、気にする余裕がない。

 オレは後ろに跳んで、構え直す。

 聖剣エルセヴィオに、オレの魔力を限界まで込めた。


「いくぞ、バルフィーユ! 蒼牙閻彗翔っ!!」


 (聖剣術)の中でも、とっておきの秘奥義だ。

 聖女ルナシェアの家に代々伝わる奥義だと言っていた、強力な剣技だ。



――――――――!!!!!



 バルフィーユは魔剣で受け止めたが、衝撃に耐えきれずに魔剣が砕け散った。

 そのまま勢い止まらずに、バルフィーユの身体を大きく斬り裂いた。


「ぐはっ······!!?」


 バルフィーユが片膝をつく。

 斬り裂いた傷からはかなりの量の血が流れている。ちなみに魔人族の血は人族と同じく赤色だ。


「どうする、バルフィーユ? 降伏するなら命までは取らないぞ」


 オレは警戒を解かずにバルフィーユに言う。

 正直、まだバルフィーユ達が悪人とは思えないんだよな。それに魔人族でも、人間と変わらないような見た目の相手を殺すのは抵抗がありすぎる。


「く、くくくっ······ハハハハハッ!! レイ、お前は最高だぜ。俺を傷付けた奴なんて、いつ以来だ?」


 バルフィーユが心底楽しそうな笑みをうかべて言う。

 身体の傷は徐々に治っていっている。

 もしかして再生スキルも持っているのか?


「それにしても簡単に壊れやがって、やっぱこんなナマクラじゃ駄目か」


 バルフィーユが柄だけになった魔剣を投げ捨てた。

 ナマクラって······それも相当強い剣だったはずだが。


 いや、それよりもバルフィーユは全然降伏する気はないみたいだな。

 むしろ余計に燃えてきているようだ。



 ············戦闘狂ってのは厄介だな。



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