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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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272 早すぎる再会

 龍人族の町を見て回って、結構な時間が経ったかな。色々と興味深いものも見れたし、有意義な時間だった。


 王都と同じくらい広い町で、一日ですべてを回るのは無理だから、今度アイラ姉達を連れて来て、観光するのもいいかもしれないな。



「おう、助かったぜ、お嬢ちゃん達! 今度来た時はとびきりのごちそうを用意してやるぜ」


 シノブ達は少し復旧作業を手伝っていた。

 シノブ、スミレ、マティアは見た目は幼いけど高レベルでステータスも高い。

 復旧作業に多大な貢献をしていた。


 もちろん、オレも手を貸したけど。

 そのことで龍人族の人にお礼を言われていた。

 とびきりのごちそうと聞いて、スミレとマティアの目が輝いた気がする。



 さて、そろそろ龍王の城に戻った方がいいかな。

 修羅場は落ち着いたと言っていたし、丁度良い頃合いだろう。


「どうしたでござるか? スミレ殿、マティア殿」


 そう考えていたら、シノブのそんな声が聞こえてきた。スミレとマティアは二人揃って、遠目に見える龍王の城に目を向けている。


「······城から戦ってる音が聞こえる」

「たぶん、たたかいがおこなわれている······」


 二人が言う。ここからそんなのが聞こえるのか?

 オレには特に何も聞こえないが。

 というか戦ってる音? 一体どういうことだ?


 そう思っていたところで、リンの念話が入った。



―――――レイさん、すぐに戻ってきてもらえますか? 城に魔人族が攻めてきました。魔人は二人だけですが、恐ろしく強いです。特に片方は、わたし達ではまともに相手が出来るかわかりません!



 リンの声はかなり慌てた様子だ。

 まともに相手が出来ないって、そんなにヤバい奴が攻めてきたのか?


 リンやセーラはレベル400を超えているし、エンジェなんてレベル500以上だぞ?

 シャルルア達だってそれ以上のレベルだし、龍人族の戦士達だっているはずだ。

 そんなリン達が相手に出来ないだって?



 戦闘中で余裕がないのか、リンは一方的に念話を切ってしまった。


「何やら不穏な事態でござるか、師匠?」

「ああ、どうやら魔人族って奴らが城に攻めてきたらしい」


 オレはシノブ達に念話の内容を簡単に話した。

 というかオレも詳しくはわからない。

 すぐに城に戻った方がよさそうだ。


「城の入口まで転移で行くよ、みんな集まって!」


 龍王の城はここからでも見えるが、走っていくと時間がかかる。

 オレはシノブ達を連れて城の入口まで転移した。





 城の入口まで来ると、正門が派手に壊されていた。

 かなり頑丈な門だと思ってたんだが、見るも無惨に破壊されていた。

 おいおい、どんな化け物が攻めてきたんだよ······。



 城の中からは戦闘音が響いてきている。

 スミレ達が聞こえたというのは、これのことか。


「シノブ、スミレ、マティア。どんな敵かわからない、油断しないようにな」


 オレの言葉に三人が頷く。

 オレが先頭になって、壊された門をくぐって中へ入った。戦闘はすぐそこで行われていたようだ。



 正面ホールでは、何人もの龍人族の戦士が倒れ伏していた。

 すでに治癒した後のようで、意識はないが息はある。心配はいらないみたいだな。



「ハハハハハッ!! どうした、もっと俺を本気にできねえのか!」


 楽しそうな笑い声をあげている男が、リン達と戦いを繰り広げていた。


 魔人族の男······バルフィーユじゃねえか。

 向こうには、その戦いを見ているだけのメリッサの姿もある。二人組の魔人ってバルフィーユとメリッサのことか?

 まあ、この状況から間違いなさそうだが。


 正直、もしかしたらとは思っていたんだよな。



「ぬぅおーーっ! 神槍剛龍閃!!!」


 リュガントさんがバルフィーユに向けて剛槍を突き出した。

 剛槍からは凄まじい力が発せられている。

 だがバルフィーユは剛槍を片手で掴み、力任せにリュガントさんを放り投げた。


 リュガントさんは壁に激突し、倒れた。

 剛槍を杖代わりに立ち上がろうとしているが、ダメージが大きいみたいだ。


 周囲にはセーラ、エレナ、シャルルアにテリア、ミリィ、エンジェ、そしてリンが満身創痍の状態で立っている。

 全員疲労困憊のようだが、大きな怪我もなさそうだ。



「ま、なかなか楽しめたぜ。これで終わりにしてやる」


 バルフィーユが両手に魔力を集中させている。

 あれはヤバい······!


 オレは聖剣エルセヴィオを構えて、飛び出した。


暴風地焔(ぼうふうじえん)······」

「させるかっ!!」


 聖剣で斬りかかり、バルフィーユの魔法を中断させた。バルフィーユは両手で白刃取りの形で、聖剣を受け止めた。


「よう、レイじゃねえか。さっきぶりだな」

「こんなに早く、こんな形で再会するとは思わなかったよ、バルフィーユ」


 バルフィーユはオレを見て、動揺することなく笑みをうかべた。

 結構、本気で斬りかかったが受け止められたか。

 お互いに軽口をたたきながらも、手の力は緩めない。


「まさか、バルフィーユが魔人族だったとはね」


 鑑定出来ない時点で只者じゃないとは思っていたけど。けど、魔王の手先のような悪者とは思ってなかったのだが。


「そういうお前も勇者だったとはな。こいつは聖剣だろ? まさかナークを倒した勇者ってのも、お前か?」


 オレの武器が聖剣だと簡単に見破られたな。

 ナークってのは······確か前に攻めてきた神将と呼ばれる魔人が、ナークなんたらとか長ったらしい名前だったが、そいつのことかな?


「残念ながら人違いだよ」

「そうだな。聞いた話じゃ勇者は、もう少し幼い容姿だったはずだからな」


 オレよりも幼い容姿の勇者。

 まず間違いなくユウのことだろう。


「まあ、そんなことはどうでもいいぜ。お前とは戦ってみたいと思ってたんだ。お前も勇者なんだろ? なら楽しませてくれよ!」


 バルフィーユは戦う気満々みたいだな。

 正直、オレとしては遠慮したいのが本音だが。



 だが、城を攻めてきた理由は知らないが、リン達を傷付けたのは事実だ。

 なら望み通り本気で相手をしてやる。


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