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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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271 戦闘狂の魔人

(リンside)


 龍人族の王、龍王の城に二人組の魔人族が攻めてきました。

 シャルルアさん達が慌てて向かったので、わたし達も後を追って駆けつけると、魔人族は小さな女の子でした。


 シノブさんやスミレさんと同じくらいの年齢に見えます。

 その女の子が自身よりも大きなハンマーを武器に、龍人族の戦士達と戦っています。

 もちろん、わたし達も参戦しました。



 魔人族の女の子、メリッサはとんでもなく強いです。冥王との戦いによってレベルアップしたわたしでも、力負けしそうになります。



 しかし、この場にはわたしだけでなく、聖女セーラ様にエレナさん、神子シャルルアさんにテリアさん、ミリィさん、さらにはエンジェさんに龍人族総隊長リュガントさんもいます。


 全員が高レベルの実力者です。

 さすがに全員を相手には出来ないようで、メリッサを追い詰めました。





 そんな時、背後から凄まじい威圧(プレッシャー)を感じ、反射的に振り返りました。

 そこには長身の男が立っていました。

 おそらく、この男が二人組の片割れでしょう。

 手には異様な気配を発している槍を持っています。


 しかし、この男から感じる威圧(プレッシャー)······。

 学園で戦った冥王を上回っている気がするのですが。この男が魔王だと言われても、納得してしまいそうです。

 鑑定出来ませんでしたが、少なくともメリッサを遥かに上回っているでしょう。


「俺は女子供を痛ぶる趣味はねえが、戦いとなったら話は別だ。全力でかかってきな」


 魔人族の男は手に持っていた槍をメリッサに渡し、下がらせました。

 そして男が戦闘態勢に入りました。

 触れただけで身体が震え上がるほどの魔力を放っています。


 しかし、震えているわけにはいきません。

 わたしはセーラ様とエレナさんを下がらせ、前に出ます。レイさんにも念話で簡単に現状を知らせました。


「わたしは聖女様の盾、リンです! 魔人族よ、覚悟しなさい!」


 わたしは大剣を構えて、名乗りを上げました。

 手加減は無用······というより、そんなことをしていたら、あっという間に殺されてしまいます!


「でりゃあーーっ!!」


 (雄叫び)で力を上げ、男に斬りかかりました。

 男は素早くかわします。


「ミリィ、わたしに合わせなさい!」

「テリっちがミリィに合わせて下さいよぉ!」


 テリアさんとミリィさんが、間髪入れずに攻撃を仕掛けます。

 男は笑みをうかべながら、攻撃を受け流しました。


「やるなあ。やっぱ戦いってのはこうでなきゃな。俺の名はバルフィーユ。神将が一角だ。ナークを倒した力、見せてくれよ!」


 神将!? 魔王を上回るという存在ですか!


()神将だけどね。バル兄、ずいぶん前に魔神の命令なんて聞いてられるか〜って言って、自分から神将の座を降りたじゃん?」

「せっかくキメてんのに余計なことを言うんじゃねえよ、このバカ」


 ······? どういうことでしょうか?

 よくわかりませんが場違いな会話のおかげで、少しだけ緊張が緩みました。


 魔人族の男、バルフィーユがメリッサを黙らせると気を取り直して、こちらを向きました。


「まあ、なんでもいい。精々楽しませてくれよ!! 煉獄火炎弾!!!」


 バルフィーユがわたし達に向けて魔法を放ってきました。

 これは下級魔法のファイアボール?

 いえ、とても下級魔法と呼べる威力ではありません。そんな火の球を無数に放ってきました。


「お下がりください、セーラ様、みなさん!」


 わたしはセーラ様達の前に立ち、魔法障壁を張りました。一発一発が重すぎます······。

 数発受けただけで障壁が砕けそうです。


「ほう、さすがにこれくらいは楽に防ぐか。なら、これはどうだ? 氷結爆砕弾!!」


 今度は「氷」魔法ですか······!?

 無数の氷の(つぶて)が障壁に貼り付き、破裂しました。

 全力で張ったわたしの障壁が簡単に砕け散りました。


「エレナさん、シャルルアさん! 私達で、あの魔人の力を抑え込むのです!」

「はいっ! リンさん、下がってください!」

「任せるのじゃ! 神子の力を全開で放つ、出し惜しみはせぬ!」


 セーラ様を中心に、エレナさんとシャルルアさんが魔力を集中します。

 聖女様と神子の力が合わさり、とてつもない魔力が集まっています。

 そして、その魔力を一気に解き放ちました。


「うおっ!? 人族の聖女に龍神の神子の力か? どっちも覚醒前みたいだが、すげえ魔力じゃねえか」


 セーラ様達が放った魔法をまともに浴びたはずなのに、まるで効いていません。


「覚醒してたらもっと楽しめるんだがな。そこんところが残念だ、ほらよっ!!」

「「「きゃあああっ!?」」」


 バルフィーユが反撃をしました。

 おそらく、この男にとってはセーラ様達の魔法を軽く押し返しただけのようです。

 それによってセーラ様達が派手に弾き飛ばされました。


「セーラ様、みなさん!? おのれっ······許しませんよ!!」


 セーラ様達は無事です。

 すぐに立ち上がり、大きな怪我もないようです。

 わたしは相手が追い打ちをかけてくる前に斬りかかりました。


 しかし、わたしの大剣は簡単に受け止められてしまいました。


「離れよ、聖女の護衛騎士よ! 魔力吸収(マジックドレイン)!!」


 その言葉を受けて、わたしは後ろに跳びました。

 男の足下に魔法陣が現れます。

 エンジェさんがスキルを使って、バルフィーユの魔力を吸収したようです。


「へえ、メリッサと同じスキルが使えるのかよ。どいつもこいつも、やるじゃねえか」


 相当な量の魔力を吸収されたはずなのに、平然としています。

 バルフィーユは一瞬で間合いを詰め、エンジェさんに攻撃を仕掛けました。

 魔力だけでなく体術も長けているようで、連続攻撃でエンジェさんが追い詰められています。


 エンジェさんは物理攻撃を軽減するスキルを持っていますが、それでも目に見えてダメージを受けています。

 この男の攻撃がそれだけ強いということです。


 全員で出し惜しみなく、全力で攻撃を加えてますが、男は余裕ですべてを防いでいます。



 このままではまずいです······。

 レイさん、早く来てください······!



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