表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
332/736

259 テリア目線での再会

(テリアside)


 シャルルアと出会い、龍人族の住む大陸まで来たわたし達は、神将と呼ばれる魔人が率いる軍勢と戦い、最終的には勝利した。


 けど、無傷での勝利とは行かなかった。

 その戦いでユウは倒れ、今も目を覚まさない。

 龍人族の医者や治療術師が懸命な治療をしてくれているけど、ユウの容態は変わらない。

 外傷はほとんど完治しているのに、ユウの意識が戻る様子はない。


 シャルルアとエレナも付きっきりの看病をしているけど、効果が出ているのか、はっきりしない。


 ユウだけでなく、他にも重傷者がいる。

 ミリィはわたしのように治癒魔法ですぐに回復したけど、マティアはまだ自力では動けないみたい。


 龍人族の兵士達、特に隊長のリュガントさんも無理に元気そうに振る舞ってるけど、まだ傷が痛むみたいだし。



 そして、わたし達と一緒に神将との死闘を繰り広げたジャネンも危険な状態だった。

 神将が放ったブレスには呪いの力が込められていたらしく、それをまともに受けたジャネンは、未だに苦しそうにうなされていた。



――――――――――!!!!!



 ベッドの上で苦しそうにしていたジャネンから、邪気のような気配の霧が漏れ出した。

 禍々しい霧は周囲を蝕んでいる。


 ジャネンは目を覚ましたかと思うと、壁を突き破って城から飛び出して行ってしまった。

 たまたまそこに居合わせたわたしとシャルルアは、すぐにジャネンを追った。

 あの様子だと放っておいたら大変なことになりそうだわ。



 ジャネンから漏れ出した禍々しい霧が道しるべのようになっていて、追うのは簡単だった。

 わたし達がこの大陸に来て最初に着いた場所、トライヒートマウンテンという山まで向かったみたい。





 そこでわたしは予想外の人物と再会した。

 以前、わたしの生まれ育った町、エイダスティアで色々とお世話になったレイさんだった。

 レイさんの他にも、聖女セーラ様や付き人の人達がいて、呪いで暴走しているジャネンを止めようとしていた。


 なんでレイさん達がこの大陸に?

 アイラさんやシノブさんの姿はないみたいだけど。



 わたし達が前までいた王都では再会できず、ずっとお礼を言いたいと思っていたけど、今はそういう状況じゃない。

 わたしとシャルルアも、ジャネンを止めるために動いた。



 聖女セーラ様とシャルルア、そしてレイさんの「聖」魔法によってジャネンが正気を取り戻した。

 聖女様ならともかく、レイさんまで「聖」魔法を使えたことに驚いたけど、そんなことを気にしている場合じゃないわね。


 ジャネンは正気に戻ったけど、呪いの力は完全には消えていないみたい。

 ジャネンは再び暴走する前に自分を殺してくれと言うけど、そんなことはしたくない。

 それはレイさん達も同じようで、どうやってジャネンの呪いを解くか悩んでいた。




 そんな時、この場に冥王が現れた。

 冥王······魔王にも匹敵するか、それ以上の力を持っているかもしれない、アンデッドの王と呼ばれる存在。


 見た目はわたしとそんなに変わらないような、人の姿をしているけど、一目見てとんでもない力を感じた。

 あの神将と呼ばれていた魔人と同じくらい凄い魔力だわ。


 冥王は争いに来たわけではなく、同胞のジャネンを助けに来たらしい。


 そして、冥王の力によってジャネンの呪いは完全に消し去られた。

 あの呪いを簡単に消すなんて············。



 冥王は神将を倒した勇者に興味を示していた。

 勇者ってユウのことよね······。

 今の内に始末しようかとか物騒なことを言い出した。神将をユウが倒したことで、わたしのレベルは信じられないくらい大幅に上がっていた。


 そんな今のわたしでも、冥王に勝つのは難しそう。

 けど、ユウを殺そうとするなら黙ってるつもりはないわよ!



 そう決意したけど、ジャネンが何か言うと冥王はあっさり冗談だと言って身を引いた。

 冗談という雰囲気じゃなかったけど、もう本当に何かする気はないみたい。

 冥王はジャネンによくわからない言葉を残して去っていった。



 今更になって、嫌な汗が吹き出したような感覚に襲われる。

 でも何事もなくてよかったわ······。






 落ち着いてきたところで、レイさんや聖女様達が何故ここにいたのか、大体の事情を教えてもらった。

 わたしの方も、この大陸で起きたことをある程度話した。


 レイさん達は女神様の神託を受けて、この大陸に来たらしい。神託の内容は〈魂の消滅の危機にある小さき勇者の卵を救ってほしい〉ということだった。


 小さき勇者の卵って、どう考えてもユウのことよね。わたし達がこの大陸に来たのも、ユウとエレナが女神様の神託を受けたからだし、間違いないと思う。



 ユウはジャネンと違い、呪いによってうなされていたりはしていない。

 ただ眠ったまま、いつまでも目を覚ます様子がないだけ。嫌な予感はしていたけど、女神様が神託を下すくらい深刻だったの?




 ジャネンが従えているカオスレイヴンという冥界の霊獣に乗って、わたし達はユウのいる龍人族の都まで急いだ。


「龍王が人族の勇者と従者達に加護を与えるとは、よほど神将に追い詰められていたようじゃの」


 聖女セーラ様の付き人の一人、エンジェという女の子がそう言った。

 シャルルアと似たような口調だけど、エンジェさんは何か年上のような威厳を感じるわね。

 見た目は、わたしよりも年下に見えるのに······。


 エンジェさんは龍王さんと面識があるとか言っていた。龍人族じゃなさそうなのに、どういう関係なのかしら?

 勇者のスキルを持つユウに興味があるらしく、色々質問してきたので無難に答えておいた。

 勇者に憧れてる女の子なのかしら?



 そうこうしている内に龍人族の都まで戻ってきた。

 お世話になったお礼を言いたいと思っていたのに、またレイさん達に頼ることになりそう······。



 お願いです······ユウを助けて下さい······!


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ