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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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254 解呪不可能の呪い?

 みんなで力を合わせて、ジャネンを呪いから解放してあげよう。


「アアアーーッ!!」


 暴走したジャネンが、無数の蛇を放ってきた。

 蛇はこの場にいる全員を無差別に襲う。

 この蛇だけで、レベル100くらいの強さがありそうだ。


 オレ達なら撃退は可能だが、数が多いと厄介だ。

 この蛇はジャネンの髪の毛なのだが、放ったらすぐに元通りに髪が生えているので、実質無限湧きかもしれない。


「スコールアロー!!」


 テリアが(物質具現化)スキルで弓矢を作り出し、連続で放った。

 矢が雨のように降りそそぎ、蛇を撃退していく。

 矢で貫かれた蛇は煙のように消滅した。


「セーラ様には指一本触れさせません!」


 リンはセーラの盾となって、迫る蛇を撃退していた。そしてセーラはリンを信じて、魔法の詠唱をしている。



「悪しき〝邪〟を滅せよ······ホーリーリュオーラ!」


 セーラが「聖」の最上級魔法を放った。

 さっきよりも強力な魔法だ。 


「グアアアーーーーッ!!?」


 「聖」なる光を浴びてジャネンが苦痛の叫びをあげた。

 ······ジャネンごと消滅したりしないか?


 そう心配になったが、今度は正気に戻る様子もなく、呪いの力がさらに増していた。

 「聖」の最上級魔法でも駄目なのか。



「龍神の神子よ、ワシに合わせよ! あの冥界の者を抑えるぞ」

「承知した、見知らぬ人族よ!」


 エンジェがシャルルアの魔力を利用してジャネンの動きを封じた。

 それにしても龍神の神子?

 また気になる単語が出てきたな。

 いや、そんなことを気にしてないで、目の前の問題を解決しないとな。


 オレの魔法の準備も整った。


「アブソルティ·サンクチュアリ!!!」


 オレは魔法で、周囲一帯を「聖」なる(フィールド)に変えた。

 ほんの10分ほどだが、これでこの場は最上級魔法以上の「聖」属性で満ちた。


「······あ、ぐ······」


 ジャネンが膝をついた。

 呪いの力が弱まり、正気に戻っているように見える。


「ジャネン! 大丈夫なの!?」

「正気を取り戻したかっ!?」


 テリアとシャルルアがジャネンに駆け寄る。

 ちゃんと「聖」属性の効果で、呪いの力を抑えられているようだ。


「······テリア、それに······龍神の神子シャルルア······そ、(それがし)に、この地を害する意思はない······」


 ジャネンが息も絶え絶えに言う。

 まだ完全には呪いから解放されてないみたいだ。


「わかっておる、お主もユウ同様に、妾達龍人族の恩人じゃ! お主が呪いに冒されたのも、妾達を神将の攻撃から庇ったためじゃろう!」


 何の話かはよくわからないが、この地で色々あったみたいだな。

 確か聖女エレナは、龍人族の国の危機を救ってほしいという神託を受けてたんだよな。

 話の内容から察するに、神将とかいう魔人族が攻めてきたのかな?


 そしてどういう理由かは知らないが、ジャネンも龍人族に味方して神将と戦い、呪いを受けたと。

 こんな高レベルのジャネンを呪うなんて、神将って奴は相当、ヤバい相手だったんじゃないか?


「神将とは魔神ディヴェード直属の手先のことじゃ。魔神の加護を深く受けている、例えるならば聖女や神子と似たような立場じゃな。その力は魔王をも上回るはずじゃ」


 エンジェがそう教えてくれた。

 魔王をも上回るって、そんなのがいるのかよ。

 龍人族の国はそんな奴に攻めてこられていたのか。


「魔王よりも上の存在······ですか」

「大変な事態じゃないですか! すぐにでも本殿に戻り、報告しなければ······」


 セーラとリンが言う。

 魔王を上回るということは、冥王すらも上回るかもしれない相手だ。

 今のオレでも倒せるかわからない。

 アイラ姉達も連れてきた方がいいか······。


「大丈夫、神将はユウが討ちましたから。けど、そのせいでユウは······」


 話を聞いていたテリアがそう言った。

 倒した? 魔王を上回るような奴を?

 一本どうやって?


 もしかして、テリア達のレベルが異常に高いのは、魔王すら上回る、遥か格上の相手を倒したからか?

 オレ達が冥王を倒して大幅にレベルアップしたように。


 まあ、どうやってとかは今はいい。

 それよりもテリアの口調が暗い。

 ユウもジャネンのように呪いでも受けているのか?


 オレが受けた神託によれば、魂の消滅の危機になっているんだったか。



「うぐ······シャルルアよ、今の内に······某を殺してくれ······! こ、このままでは再び呪いが暴走する······」


 ジャネンの周囲に再び呪いの力が溢れてきた。

 オレが使える最高の「聖」魔法でも、呪いを完全に消せないのか。

 もうすぐ「聖」なる場の効果も切れそうだ。


「そんなことが出来るわけなかろう······!」


 シャルルアもジャネンを手に掛けるのを躊躇っている。テリアも同様だ。

 オレだって見捨てたくはない。




――――――――――!!!



 どうするべきか考えていた時、突然目の前に魔法陣が浮かび上がった。

 あれは確か召喚陣というやつだ。

 学園地下迷宮で冥王が使っていたのと同じやつだな。


「はいはーい。なら、ここはこの僕に任せてくれないカナ?」


 召喚陣から何者かが姿を現した。

 なんだ? 敵か? 味方なのか?



 現れたのは見た事のない、少年のような人物だった。




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