253 突然の再会
呪いを受けている冥界の少女、ジャネンを助けるために動く。
さっきのセーラの「聖」魔法で、一時的にだが、正気に戻っていた。
なら、もっと強力な魔法ならば、呪いを打ち消せるんじゃないか?
······そんな単純に解決出来ればいいんだが。
「グウ······アアアーーッ!!!」
暴走しているジャネンが魔法を放ってきた。
「闇」属性の炎の魔法だ。
ジャネンの魔力の数値は10万近い上に、手加減無しで放ってきている。
とてつもない熱量の「闇」の炎だ。
「セーラ、リン、エンジェ、オレの後ろに!!! マジックシールド!!!」
オレは前に出て魔法障壁を張り、炎を防いだ。
まともに受けたら、魔法耐性を持つエンジェはともかく、セーラとリンは危険な威力だ。
「ホーリーフィールド!!」
セーラが後ろから「聖」魔法を唱えた。
セーラを中心に周囲が「聖」属性の力に包まれていく。
「ハアアアーーッ!!」
しかしジャネンの放つドス黒い呪いの力で「聖」なる力がかき消された。
呪いの力が、どんどん強くなっている気がする。
このまま時間をかけるのはマズいかもな。
オレは聖剣エルセヴィオを構えて、ジャネンの呪いの力を抑えた。
「そこまでよ、ジャネン!」
「ようやく追いついたぞ、正気に戻るのじゃ、ジャネンよ!」
そんな時、突然の乱入者が現れた。
オレよりも年下だと思われる、二人の女の子だ。
片方は長い銀髪に、両耳の上から垂れるような形のツノを持つ、人族ではなく、おそらく龍人族だと思われる少女だ。
だが、もう一人の少女はどう見ても人族で、しかも見覚えがある。
「······え!? あ、貴方は······レイさん!?」
あっちもオレを見て驚きの声をあげた。
もう一人の少女は、以前会ったユウの幼なじみのテリアという子だった。
この子がここにいるということは、やはりユウ達もこの大陸に来ているのだろう。
[テリア] レベル623
〈体力〉103000/103000
〈力〉59100〈敏捷〉73700〈魔力〉65900
〈スキル〉
(物質具現化)(詠唱破棄)(身体強化〈極〉)
(連携)(魔力回復速度上昇〈極〉)
(龍王の加護〈大〉)
ステータスを見て驚いた。
以前会った時よりも、遥かにレベルアップしている。エンジェ達よりも高レベルだ。
一体何があった?
「ウウ、アアアーーッ······」
おっと、今はそんなことを気にしている場合じゃなかった。
ジャネンの呪いは聖剣や「聖」魔法で抑えることは可能なようだが、すぐに呪いの力が戻ってしまう。
「ジャネンよ、神将の呪いなどに負けるでない!」
龍人族と思われる少女が、ジャネンに向けて魔法を放った。
これは「聖」属性?
セーラの「聖」魔法とは少し違う感じだが。
[シャルルア] レベル701
〈体力〉121500/121500
〈力〉80900〈敏捷〉61300〈魔力〉82700
〈スキル〉
(龍神の祝福〈仮〉)(龍王の加護〈大〉)
(竜化)(竜闘気)(詠唱破棄)
(身体強化〈極〉)
この子もとんでもなく強いな。
竜と付くスキルが多いし、やはり龍人族かな。
「ウグ······アアアーーッ!!」
ジャネンが「闇」魔法で龍人族の少女の魔法を相殺した。
属性の相性では「闇」よりも「聖」の方が強いはずだが、単純にジャネンの魔力が龍人族の少女を上回っている。
ジャネンの魔法は、勢い衰えずに龍人族の少女に向かっていく。
「はあっ!」
オレは龍人族の少女の前に立ち、ジャネンの魔法を弾き飛ばした。
ちょっと腕がピリピリ痺れる感覚だ。
「す、すまぬ······見知らぬ人族よ」
龍人族の少女が言う。
テリアがこちらに駆け寄ってきた。
「ど、どうしてレイさんがこの大陸にいるんですか? それに······あっちにいる人って、もしかして聖女様じゃ······」
「この者達はテリアの知り合いかの?」
テリアは何故、オレ達がここにいるのか不思議そうに問いかけてきた。
オレの方も詳しい話を聞きたいが······。
「アアアアアアーーーーッッッ!!!」
今はそれどころじゃないな。
詳しい話はジャネンを助けてからにしよう。
「その話は後だ。テリア、それと······」
「妾はシャルルアじゃ」
「シャルルア、彼女は知り合いか?」
オレはジャネンを指差し、テリアとシャルルアに問う。二人はその問いに頷いた。
「妾達、龍人族の恩人じゃ。是が非でも助けたい」
「神将と呼ばれていた魔人族の攻撃を受けて、正気を失ってしまったんです······。レイさん、ジャネンを元に戻すために力を貸してくれませんか?」
テリアの言葉にオレは頷いた。
もとより助けるつもりだったしな。
それにしても神将ってなんだ?
魔王の側近か何かか?
まあ、そんなことは今はいいか。
「くかかっ、マスターよ。ワシ達がいることも忘れるでないぞ?」
エンジェがオレの隣に立ち言う。
セーラとリンもこちらに駆け寄ってきた。
「事情はわかりませんが、聖女としてこの状況、見過ごせません」
「わたしも力添え致します、セーラ様!」
これだけの実力者が揃っているんだ。
力を合わせて、ジャネンの呪いを打ち消してやろう。




