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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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勇者(候補)ユウの冒険章⑤ 24 激闘決着

―――――――(side off)――――――――


 神将ナークヴァイティニアとの戦いは、最終局面を迎えていた。

 (竜化)したシャルルアの背に乗り、ユウは神剣に自身のすべての力を込めていた。

 一方、神将も神槍と呼んでいる巨大な槍に、力を集中している。



「ルル! このまま神将(アイツ)に向かっていって!」

「任せるのじゃ、ユウ!」


 シャルルアが翼を広げて、真っ直ぐ神将に向かっていく。同時に、ユウは神剣を前に構える。



「この世から消えてなくなるがいい······!!!!! ロンギヌス·スロォータルッ!!!!!」


 神将がユウ達に向けて神槍を突き立てた。

 槍の先から、凄まじいエネルギーが放たれる。


「ルル、構わないから、そのまま突っ込んでいって!」

「承知した! 信じておるぞ、ユウよ!」


 ユウとシャルルアは回避せずに、そのまま神将に向かっていった。

 神将の放った攻撃がユウ達に直撃した。


「ふはははっ! バカめ、自殺行為だ! 我の最強の一撃は()の神将達ですら耐えられぬのだぞ······! 貴様らごときが、耐えられるはずがあるまい!!!」


 自身の一撃が命中したのを確認して、神将が勝利を確信する。

 凄まじいエネルギーとエネルギーがぶつかり合い、周囲に暴風が巻き起こる。


「くくくっ、ふははははっ!!! はーーーっはっはっはっ············――――――――!!?」



――――――――――!!!!!



 神将の笑いが途中で止まる。

 神将の放ったエネルギーを突き破り、ユウとシャルルアが飛び出した。

 そのままの勢いで神将に迫る。


「な······なんだと······!? そんなバカな······っ」

「これで終わりだ、ナークヴァイティニア!!! 神魔斬衝剣しんまざんしょうけんーーーーっっ!!!!!」



――――――――――!!!!!


 ユウの神剣が、神将の身体に突き刺さる。

 勢いは止まらず神将の身体を貫き、大きな風穴を開けた。神将の背を突き破ったユウ達は、倒れ込むように着地した。


「な······何故だ······!? 何故、我の最強の一撃をまともに受けて······い、生きている······!?」


 神将ナークヴァイティニアが膝をついた。

 高い再生能力を持つ神将でも、今のユウが与えたダメージは回復する兆しがない。

 神将の傷口には神剣による凄まじいエネルギーが残留していて、一気に神将を包み込んだ。



「ぐ······ああああーーっ!!? わ、我の肉体がく、崩れていく······!? まさか······や、敗れたというのか!? 神将たる我が······か、覚醒前の小僧ごときに······!!?」


 包み込んだ神剣のエネルギーが、神将の身体を崩壊させていく。

 崩壊の勢いは凄まじく、神将といえどどうしようもない。


「あ、ありえぬ······そうか、こ、これは夢だ······! 我は今、とんでもない悪夢を見ているのだ······。そうだ······そ、そうとしか考えられぬ······。そもそも、我の計画が狂うはずが······」


 信じられない事態に、神将は現実逃避の言葉をつぶやく。しかし、いくら現実から目を背けようと、肉体の崩壊は止まらない。


「ぐああああーーっ······!!! ディ、ディヴェード様ぁあああーーーーっっ······!!!!!」


 断末魔の叫びを残して、神将ナークヴァイティニアは完全に消滅した。

 神将の巨大な神槍だけが、その場に残されていた。





「······信じられぬ······。本当に、あの神将を······討ち倒しおったわ······」


 しばらく呆然としていたシャルルアが、そう口を開いた。シャルルアは神将が完全消滅したのを自身の目で確認しても、それが信じられないといった感じだ。

 背に乗っていたユウは力尽き、その場に倒れた。


「······ユウ!? し、しっかりするのじゃ!!」


 シャルルアが呼びかけるが、ユウは完全に意識を失っているようで応えない。




「そんな······こんなことが······」

「ナ、ナークヴァイティニア様が敗れた······だと······」


 遠目から戦いを見ていた魔人族の残党達が、呆然としてつぶやき合う。


「せ、せめて、あの小僧と龍神の神子を始末するんだ······!」

「ナークヴァイティニア様の仇討ちだ······」


 魔人族達がユウ達を取り囲む。

 それぞれが武器を抜き、ユウ達に襲いかかろうとする。



――――――――――!!!!!



 その時、上空より巨大な影が舞い降りてきた。

 衝撃で大地が揺れる。


「り、龍王様······!!」


 シャルルアが声をあげた。

 巨大な影は龍人族の王だった。


「魔人族達よ、去れ······! 大人しく引き下がるのならば、追いはせぬ。だが、立ち向かってくるのならば、容赦はせぬぞ」


 龍王の凄まじい威圧に、魔人族達がたじろぐ。

 遅れて龍人族の戦士達も次々とやってきた。

 その中には総隊長リュガントの姿もある。


 神将ナークヴァイティニアは討たれ、生き残っている魔人族の残党もわずかしかいない。

 戦力差は明らかだった。


 完全に戦意を失った魔人族達は、蜘蛛の子を散らすように退散していった。


「······っ」

「龍王様······!?」


 龍王がその巨体を地に伏せた。

 まだ完全回復したわけでなく、無理してここまで来たようだ。

 シャルルアが心配する声をあげる。


「······私は良い、それよりも小さき勇者と従者達を保護するのだ。我が国を救った英雄達だ······。死なせるわけにはいかぬ······!」


 龍王の指示によって、戦士達がユウや傷ついていたテリア達を丁重に、龍人族の都まで運んでいった。




 こうして神将ナークヴァイティニアは討たれ、魔人族達は撤退していき、龍人族の都の危機は去った。

 今回の件で神将の一角が討たれ、魔人族達の間で激震が走るのだった。




今回で番外編は終わります。

次回より本編に戻りますので投稿までしばらくお待ちください。



それと誤字報告、感想、ブックマーク登録、評価ありがとうございます。

ここまで長いストーリーになるとは投稿当初は考えていなかったのでとても励みになります。


特に評価は星1つでも嬉しいので気軽にやってみてください。



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