表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
310/736

勇者(候補)ユウの冒険章⑤ 21 助っ人参戦

――――――――(side off)―――――――――


 神将ナークヴァイティニアが出現させた4つの柱から、特殊な魔力が放たれ、周囲一帯がスキルの使えない(フィールド)になってしまっていた。



「······どうやら、封じられたのはスキルだけみたいだね。魔法は普通に発動するよ」


 ユウが自身の状態を確認する。

 魔法は使えるようだが、ユウの武器はスキルによって作られた物に頼っていたため、今は丸腰状態だ。


「龍王の加護も勇者のスキルも使えず、そんな状態で我を倒せるか······!」


 神将が剣を振り下ろしてきた。

 この空間内では神将自身もスキルを使用できないようだが、地力では神将が圧倒的に上だ。


「させぬぞ、神将······!」


 シャルルアが口から高熱のブレスを放った。

 スキルに頼らない攻撃ならば可能のようだ。


「脆弱だな、龍神の神子よ。そんな程度では何千発撃とうと、我を傷つけることは出来ぬぞ!」


 ブレスは神将に直撃したが、まるで効いている様子はない。

 反撃に神将も口から高熱のブレスを吐いた。

 シャルルアのブレスとは威力が桁違いだ。


「こ······のっ、わたし達を甘く見ないでよ!」

「これくらいならミリィ達でもぉ······!」

「············!」


 テリア、ミリィ、マティアが全力で防御魔法を張って、神将のブレスを防ぐ。

 しかし、それでも防ぎ切れなかった。

 三人の防御魔法が貫かれた。


「「「きゃあああっ!!」」」


 神将のブレスをまともに浴びてしまった。

 防御魔法によって威力がある程度抑えられていたが、三人とも大きなダメージを負った。


「テリア、ミリィ、マティア!」


 ユウが三人を守るために、神将の前に出る。


「楽には死なせぬぞ······精々、苦しむがいい」


 今のですら、神将は死なない程度に加減していたようだ。実際、三人とも大きなダメージを負ったが、致命傷には至っていない。


「ボルティックスピアー!!」


 ユウが勇者専用魔法「雷」の魔法を連続で放った。

 「雷」を帯びた魔力の塊が神将を襲う。


「ほう、スキルを封じられて尚、これ程の威力が出せるとは······小僧、貴様は勇者の中でも優秀な部類に入るようだな。だが、相手が悪かったな······!」


 ユウの魔法攻撃を弾き、神将が反撃を仕掛ける。

 ユウは素早く神将の剣を回避しようと動いたが、完全には避け切れずに、わずかに斬られてしまう。


「くっ······」

「これで終わりだ! 死ねっ、小僧······!」


 さらに追い打ちをかけてくる神将。

 今の体勢では、ユウはその攻撃を避け切れない。



「クゥアアアーーッ!!!」


 突然、上空より巨大な影が降りてきた。

 謎の影はユウを守るように、神将の剣を受け止めた。


「ぬっ······!? なんだ?」


 神将が一度後ろに下がった。

 謎の影は全身が黒く染まった翼を持つ、大型の鳥の魔獣だった。


「あれが真の力を見せた神将か······」

「ユウ、大丈夫!?」


「ジャネン、エレナ?」


 魔獣の背からジャネンとエレナが顔を見せた。

 エレナが魔獣から降りて、傷ついているテリア達を癒やす。


「リュガントさんっていう人は、もう大丈夫よ。まだ動けないだろうけど、意識は戻ったわ」


 エレナはリュガントや他の傷ついた龍人族を癒やし終えて、ここに来たようだ。

 エレナの「聖」魔法により、テリア達の傷が癒えていった。


「カオスレイヴン······冥界の魔獣か······!」

()()だ」


 鳥型の魔獣、いや、霊獣が翼を広げて飛び上がった。ジャネンは霊獣に乗ったまま神将に攻撃を仕掛けた。

 攻撃魔法を何発か放ち、神将の注意を自分に向けた。


「鬱陶しい奴め······消えろ!」


 神将が四本の剣の先から、魔法攻撃を連続で放つ。

 だが、霊獣の動きは素早く、すべての攻撃を避けていった。


特殊封じ(アンチスキル)(フィールド)か······厄介だな」


 ジャネンが結界内では、スキルが使えないということを確認した。


「クゥアアアーーッ!!!」


 神将の攻撃を避けながら、鳥型の霊獣が口からブレスを放った。

 超高熱に加え、猛毒や呪詛などが込められた攻撃だ。神将は魔法障壁を張って、ブレスを防いだ。


「ユウ、これを使え······!」


 神将と霊獣が攻防を繰り広げているスキに、ジャネンはユウに剣を投げ渡した。

 魔剣ナイトメアと呼んでいた武器だ。


「お前に使いこなせるかはわからんが、それなりに強力な剣だ。丸腰よりはマシだろう」

「ありがとう、ジャネン。助かるよ」


 ユウが魔剣をしっかりとキャッチした。

 鞘から抜き、軽く振って使い心地を確かめる。


「助かったわ、エレナ」

「もう大丈夫ですよぉ、エレエレ〜!」


 エレナの「聖」魔法でテリア達が回復した。

 すぐに態勢を立て直して構える。


「デスプロージョン」


 マティアが4つの柱の内の1つに魔法を放った。

 神柱の杭(マルス·ピラー)ほど頑丈ではないらしく、魔法が直撃した柱は、意外と簡単に崩壊した。


 柱の1つが崩壊したことで、スキル封じの結界の効果が徐々に弱まっていく。


「少しずつだけど、スキルの力が戻ってきてるね。ありがとう、マティア!」

「······あいつは、ぜったいにたおす」


 ユウの言葉にマティアが無表情で頷きながら、そう言った。

 無表情だが、マティアも神将に対して相当に怒りを感じているのかもしれない。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ