表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
301/736

勇者(候補)ユウの冒険章⑤ 12 龍人族の現状

――――――――(side off)―――――――――


「シャルルア様っ!?」

「ご無事でしたか!」


 ジャネンに案内された場所には、シャルルアと同じ龍人族達が集まっていた。

 丁度入り組んでいる道を抜けた先だったので、魔人族達には気付かれていないようだ。


 龍人族達もこちらに気付き、シャルルアの姿を見て喜びの声をあげた。


「うむ、お主らも無事でなによりじゃ!」


 シャルルアも同様に同胞達の無事を喜んでいる。

 龍人族はシャルルアのように、見た目は人族とあまり変わらない容姿だ。

 角を生やしている者や身体に鱗のようなものが付いている者など、人族にはない特徴はあるが。


 簡易テントや建物があり、思っていたよりも人数が多い。ちょっとした集落の規模はある。



「シャルルア様、この者達は?」


 龍人族達がユウ達を見て、警戒している。

 人族に夢魔族、さらには冥界のメデューサ族までいるので、龍人族達からしたら訳がわからない組み合わせだ。


「妾の恩人で協力者じゃ。敵ではないので、警戒の必要はないぞ」

「協力者······ですか?」

「確かに魔人族ではないようですが······」


 シャルルアの紹介で、訝しげにユウ達を見る龍人族達。ユウ達はそれぞれ自分の名を名乗った。




「ユウは人族の勇者でジャネンは冥界の神子じゃ。他の者達も妾達龍人族に引けを取らない実力者じゃぞ」

「なんと······!? 他種族の勇者に神子とは······」


 勇者と神子と聞いて驚く龍人族の面々。


「······(それがし)は、というより、冥界には神子などという立場はないのだが」

「それなら、ぼくだってまだ正式な勇者じゃないよ。なりたいとも思ってないんだけど」


 ジャネンとユウが後ろの方で、小さな声でつぶやき合う。テリア達は黙ってシャルルアと龍人族達の話し合う様子を見ていた。


「それで、今どういう状況なのじゃ? 都の様子は? 龍王様はどうしたのじゃ?」

「······ここではなんですので、奥までお越し下さい。連れの方々もご一緒ください」


 すぐにでも状況を知りたいシャルルアだったが、この場でする話ではないということで、ユウ達共々、奥のテントまで案内された。








「シャルルア様ーーっ!! ご無事で、ご無事でなによりですぞっ!!!」


 案内されたテントに入り、中にいた龍人族達がシャルルアの姿を確認すると、その中の一人が号泣する勢いで跪いた。


「う、うむ······妾はこの通り大丈夫じゃ。だから、涙を拭くが良い、リュガントよ」


 少し引き気味でシャルルアが言う。


「ユウ······あの人、かなり強いわよ」

「うん、ぼく達が戦った魔人達じゃ束になってかかっても勝てないと思うよ。······神将(アイツ)以外は」


 シャルルアがリュガントと呼んだ龍人族は、他の者よりも頭一つ抜けた強さを秘めていると、ユウ達は感じ取った。


「シャルルア様、この者達は?」


 先程の龍人族とまったく同じ問いが来たので、シャルルアは同じように返した。


「紹介するぞ、この者はリュガントという、龍王様に次ぐ実力を持つ龍人族最強の戦士じゃ」


 ユウ達がそれぞれ名乗り、シャルルアはリュガントという龍人族をユウ達に紹介した。

 シャルルアの紹介によると、リュガントは龍王率いる軍の総隊長という立場らしい。

 高い戦闘能力を持つ龍人族の中でも飛び抜けた実力者で、シャルルアを含む龍人族達に信頼された人格者のようだ。


「············ちょっとばかし、暑苦しい男だがの」


 最後にボソッとそう付け加えていた。






「ふ〜む······冥界の神子に人族の勇者と従者達ですか。確かに我々龍人族に匹敵する力を感じますな」


 リュガントがユウ達を見定めるように目を向けた。

 シャルルアからは信用できると言われたが、自分の目で見極めるつもりのようだ。


「それでリュガントよ。現状を教えてくれまいか? 都は? 龍王様はどうなったのじゃ?」


 シャルルアが改めて龍人族の現状を問う。

 リュガントは言いづらそうにしながらも、口を開いた。


「都は残念ながら、奴らの手に落ちました······。ですが、一般人の避難はほぼ完了していたので、被害は最小限に留まっております。しかし······龍王様が我々や一般人を逃がすために単身で奴らに向かい······」

「まさか······龍王様が討たれたのか!?」

「いえ、()()姿()を見せた龍王様には、さすがの神将も手を焼いていたようでして······大勢の魔人族の術師に呪具で動きを封じられたところまでは確認しましたが······安否までは······」

「······龍王様と、お主がいても神将は止められぬのか」

「申し訳ありません! 私の力では、あの憎き神将には及ばず······」

「よい、責めているわけではない」


 リュガントの話によると、龍人族の都は魔人族の手に落ちたが、人的被害は最小限に収まっているらしい。

 ここ以外にも複数の避難拠点があり、龍人族達はそれぞれに身を潜めているようだ。


「総隊長殿は勇敢に戦われていました」

「我々が魔人族の手から逃れられたのも、リュガント様のおかげです」


 他の龍人族達が口々に言う。

 リュガントは今は元気に見えるが、ついさっきまで瀕死の重傷を負って、生死の境を彷徨う状態だったという。

 特製の薬と回復術師の魔法で、なんとか傷を癒やしたとのことだ。


「我々はこれより、龍王様救出と都の奪還に打って出るつもりです」

「シャルルア様、どうか我々に力をお貸し下さい!」


 龍人族もやられっぱなしでいるつもりはないようだ。龍人族の戦士達は都の奪還に向けて意気込んでいる。

 その上、安否不明だったシャルルアの無事も確認できて、士気も最高潮だ。

 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ