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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第二章 始まりの町アルネージュでの出来事
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29 セーラとリンに事情を話す

 風呂場から出て服を着たオレは自宅の一室で正座させられていた。

 ここにいるのはオレとアイラ姉、シノブ、セーラ、そしてリンだ。

 さっきのアイラ姉の迫力は本気で命の危険を感じた。異世界に来て初めての恐怖がアイラ姉だとは······。



 リンもセーラに色々と質問されて真っ赤になって俯いている。

 色々ありすぎてスルーしていたが、リンのステータスがおかしなことになっている。



[リン] レベル101

〈体力〉4760/4760

〈力〉2720〈敏捷〉2660〈魔力〉2490


〈スキル〉

(雄叫び)(獣化)(覚醒)(聖なる守り)

(異世界人の加護〈小〉〈NEW〉)



 とんでもなくパワーアップしていた。

 ステータスならもうオークガイアすらも上回っている。そして妙なスキルが加わっていた。



(異世界人の加護〈小〉)

異なる世界の住人と一定以上の絆を深めた証。

全ステータス大幅アップ。

魔法適性率アップ。

全状態異常耐性アップ。



 とてつもない効果だな。

 〈小〉とついてるのにこれかよ。

 異世界人ってどう考えてもオレのことだよな······。

 オレのステータスも変化していた。



[レイ] レベル311

〈体力〉14500/14500

〈力〉9880〈敏捷〉8640〈魔力〉17200


〈スキル〉

(全状態異常無効)(素材召喚)

(獲得経験値10倍)(各種言語習得)

(異世界の絆〈1/5〉〈NEW〉)



 オレの方もかなり上がっていた。

 もともと高かったステータスがさらに+2000くらい上がっている。

 そしてスキルに異世界の絆というのが増えてる。



(異世界の絆〈1/5〉)

異なる世界の住人と一定以上の絆を深めた証。

全ステータス大幅アップ。

5人以上と絆を深めると特別ボーナススキル解放。



 やはりこのスキルの効果でステータスが上がっていたのか。特別ボーナススキルってなんだ?

 5人以上ということはリン以外にあと4人と絆を深める必要があるということか?

 ············絆を深める条件はやはり裸の付き合い、とかだろうか?


 オレとリンに新たなスキルが増えていることは、アイラ姉達も当然気付いている。


「さてレイ、弁解があるなら聞こう」


 アイラ姉、お願いだからオリハルコンの刀の刃先をこちらに向けないで············。

 というわけで風呂場の出来事を洗いざらい説明させられた。



「なりゆきでリン殿になんてことをさせているんだ、レイ!」

「流れでらつい············」


 返す言葉がない。

 ()()()()本で得た知識をリンに色々実践してもらってしまった。

 男と経験のないリンにはかなりハードだったと思う······。


「リンが、私より先に大人の階段を······」


 セーラが顔を赤らめてアワアワとしている。

 リンの方は恥ずかしさのあまり今にも爆発しそうだ。全員が落ち着くのに時間がかかった。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「レイさん············このスキル、異世界人とはどういう意味ですか?」


 落ち着いてきたリンが問いかけてきた。

 やっぱりそこは気になるよな。

 もう誤魔化すのも無理だろうな。


 もともと話すつもりだったしオレ達の事情を話すか。二人とも信用できるし、もしかしたら元の世界に帰る方法を知ってるかもしれないし。


「わかった話すよ。ただ他言無用でお願い」


 あまり広められると困ったことになりかねない。


「はい」

「私も約束します」


 リンとセーラが頷く。

 アイラ姉にも確認をとり、頷いた。


「オレ達はこの世界とは違う、別の世界から来たんだ」


 二人にオレ達の事情を話した。

 突然訳もわからずにこの世界に来たことを。そしてその直後にセーラ達と偶然出会ったことを。


「こことは違う別世界············ですか」


 セーラがつぶやくように言う。

 普通なら信じられないような話しだろうけど、オレ達の常識はずれの力を見ているから割とすんなり納得しているようだ。


「べ、別世界の方はみんなこんなに強いんですか?」


 リンが問う。


「そんなことはないはずなんだけどね。向こうではオレ達は普通の一般人だったし。魔法もレベルも無い世界だったから自分のレベルなんてこっちに来て初めて見れたよ」


「ちなみにレイさんのレベルはいくつなんですか······?」


「今のレベルは311だね」


「「さ、311······」」


 オレのレベルを聞いて二人は絶句していた。

 まあ150を超えれば伝説の勇者クラスらしいからな。

 驚くのも無理はないか。

 アイラ姉なんて400超えてるんだけどな············。


「私達のレベルが上がるのが早かったのはどういうことだったのですか?」

「それはオレ達のスキルの効果だよ」


 二人に獲得経験値10倍のことを話す。


「じ、10倍!? ······一割、二割アップならごく稀に持っている方はいますが、桁違い過ぎです」


 普通はそんなものなのか。

 しかも一割、二割でごく稀か。


「ちなみにシノブも同じスキルを持っている。アイラ姉に至っては20倍だ。つまりオレ達三人合わせれば2000倍になる」

「に、2000倍······信じられないですが、それならばあのレベルアップの早さも納得です」


 他にも素材召喚やアイテム錬成のスキルのことも話したが、二人にとってはどれも常識はずれだったようだ。


「ちょ、ちょっと待ってください、理解するのが追い付かなくて······」


 二人の為に少し時間を置く。

 しばらく待つと考えがまとまったのか、質問してきた。


「ではみなさんの目的は元の世界に帰ること············なんですか?」


 セーラの言葉にオレ達は頷く。

 二人に帰る方法の心当たりがないか聞いてみたが、そもそも異世界という存在を今知ったようだ。

 オレ達以外にこっちに来た例はないのかな?


「やっぱりそういう効果のアーティファクトを探すしかないのかな」


 もしくはこの特別ボーナススキルとか。

 特別ボーナススキルが元の世界に帰れるスキルなら話は早いんだが、いくらなんでも都合が良すぎるかな。


「二人は転移系のアーティファクトに心当たりはある?」

「すみません、そもそも()()()ってなんでしょうか?」


 セーラが困ったように言う。そこからか。

 見せた方が早いかな?


「それじゃあ、二人ともオレの手を握ってくれるかな?」

「こ、こうですか?」


 セーラとリンがそれぞれオレの手を握る。


転移(テレポート)


 オレが魔法を唱えると自宅から一瞬で別の場所に移った。ここはサイクロプスに襲われていた二人と出会った場所だ。


「えっ!?」

「こ、ここは!?」


 一瞬でこの場に来たことに二人は驚いている。


「見ての通り転移とは別の場所に一瞬で移動する魔法だよ。ただし一度行ったことのある場所にしか行けないけど」


 もう一度二人の手を握り、元の自宅に戻った。

 そうオレは転移魔法を使えるのだ。

 だけど使えるのはオレだけでシノブとアイラ姉は使えないらしい。

 オレも魔力が一万を超えてから使えるようになったから、それが条件なんだと思う。



 ちなみにこの魔法、一度行った場所は自由に行けるが元の世界には帰れなかった。




「こ、このような魔法初めて見ました」


 転移魔法は一般的じゃなかったのか。

 それだと転移の力を持つアーティファクトもないのかな?


「そうか······」

「すみません、お役に立てなくて······」


 セーラが申し訳なさそうに言う。

 そこまで思い詰めなくてもいいんだが。

 とりあえずはオレ達が異世界から来たことはセーラとリンだけの秘密にしてほしいと念を押した。


「待てよ、もしリンが誰かに鑑定されたら異世界人の加護スキルを持ってることがバレちゃうのか?」

「いえ、それは心配いらないと思います。レベル100を超えたリンを鑑定できる者はそうはいませんから」


 セーラの話では鑑定はある程度レベルが上の相手には効かないらしい。

 そうだったのか。

 失敗したことなかったから知らなかったよ。


「あの、レイさん······その加護スキル、私にも与えてもらうことはできるでしょうか?」


 セーラが言う。

 確かにこのスキルの効果は凄まじいからな。欲しくなる気持ちもわかる。

 リンに与えられたんだからセーラにも与えられるはずだ。問題はその方法がよくわからないことだが。


「······どうやって与えるかがよくわからないんだけど」

「リンと同じことをしてみればいいんですよね······だったら私もお風呂場でレ、レイさんに······」


「駄目ですセーラ様!」「駄目だセーラ殿っ」


 リンとアイラ姉の言葉が被った。


「聖女という立場のセーラ殿にそんなことをさせるわけにはいかない」

「アイラさんの言う通りですセーラ様! 早まらないでください」


 二人がセーラを止める。

 アイラ姉、口調は冷静なんだけどなんか必死に止めてる感じなんだが。


「し、しかし聖女だからこそ多くの人を救うために力が必要なんです。そのためなら私は············」

「「駄目だ(です)っ」」


 アイラ姉とリンが同時にキッパリ言った。

 セーラはシュンと落ち込んでしまった。




 さすがに気まずくなったのかリンが話題を変えた。


「もしかしてあの正義の仮面とかいう変態も異世界人なんでしょうか?」


 その話題は出してほしくなかった。


「さあ······? オレは見たことないからわからないな」


 こう言っとくしかないな。

 リンもセーラも正義の仮面の正体がオレだとは気付いてはいないし、このまま知られずにいたい。


「まああの男の正体はこの際どうでもいいです。次に会ったら今度こそボッコボコにしてやります!」

「リン、まだあの方に挑む気ですか······?」


 もう二度も()()()目に合わされてるのにリンはまだ懲りていないようだ。


「もうあんな男なんて怖くはありません! 今度という今度はあの乙女の敵をぶちのめしてやりますっ」


 リンが憤怒の表情で言う。

 アイラ姉はリンが何故怒っているのかわかっていないようだ。



 ············もうリンの前では、というか金輪際変身したくない。

 果たしてこの誓いは守られるだろうか?









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