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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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勇者(候補)ユウの冒険章⑤ 4 エレナの訪問

――――――――(side off)―――――――――


「ずいぶん繁盛しておるのじゃのう」


 シャルルアが店内を見渡し言う。

 魔道具専門店〝トゥラヴィス〟は質の良い物ばかりなので利用客も多い。(✕マーク除く)


「常連の冒険者さん達もいらっしゃいますから繁盛させていただいていますわ。人手が足りない時は手伝ってくれる方もいますし」


 リーアがそれに答えた。

 ランクの高い冒険者も訪れているし、一般客用の魔道具も人気があるようだ。


「ありがとうございましたぁ。またおこし下さ~い」

「············おかいけいはこちらに」


 人が多くなってきたのでミリィとマティアが店を手伝っていた。

 ユウとテリアも裏方の仕事をやっている。


 ユウ達は店を手伝うのは初めてではないので常連の客には顔を覚えてもらえていた。


「リーナさん、もう体調は大丈夫なんですか?」

「あ、スウォン。うん、見ての通りすっかり元気だよー!」


 客の冒険者の問いにリーナは元気良く答えた。

 客の多くは常連らしく姉妹と親しげな様子だった。




「あれ? これは······」


 ユウが適当に積まれた荷物から一冊の本を見つけた。その本には色々な武器や防具の情報が書かれていた。


「それは(いにしえ)の武器、防具のことが書かれている武具書ですわね。かつての勇者様が使っていた聖剣や魔剣、その他特殊な力を秘めた武具が書かれていますわ」


 リーアが言う。

 どうやらこの本は姉妹が親方と呼んでいる今は亡き先代が集めていた本の一冊らしい。

 ユウが興味津々で中身を見ている。



 内容の一部はこんな感じだった。

 かつての勇者が愛用した三つの聖剣。


 聖剣エルセヴィオ。聖剣リオグルーネ。

 最後の一つは何故か詳しく書かれていないようだ。


「最後の聖剣は魔王との戦いで失われたとも変質してしまったとも言われていますわね。詳しいことはわかりませんけど」


 勇者と魔王の戦いはおとぎ話として語り継がれているが、細かい部分まではわからない。

 他の二本の聖剣も今はどこにあるかもわからないようだ。


「ねえテリア、ぼく達の(物質具現化)スキルでこの聖剣とか作れないかな?」

「さすがに無理でしょ。見た目が同じとかなら作れるだろうけど聖剣特有の力とかは再現できないわよ」


 ユウの問いにテリアが答えた。

 ユウ達の(物質具現化)は万能だが限界もある。


 他にも聖剣を上回る()()についてもいくつか書かれていた。


「ねえルル、龍人族の住む大陸にはこういう伝説の武器とかってないの?」

「あるにはあるのう。龍剣ドラグレイアーという巨大な大陸をも斬り裂く武器とかのう。こちらの聖剣と同じく所在は不明になってしまっているが」


 龍人族にも聖剣と似たような伝説の武器が語り継がれているらしい。

 こちらの聖剣のように所在は不明のようだが。


「そっか、残念だな~。ぼくもそういう武器を使ってみたかったんだけど」

「すまんの、期待に応えられなくて······」

「あはははっ、ルルが悪いわけじゃないから気にしなくていいよ」


 シャルルアは申し訳なさそうに言うがユウはあまり落胆している様子ではないようだった。








「やっぱりここにいた! 帰ってたんならウチにも顔を出してよ、ユウ!」


 そう言って店に入ってきたのは新たな聖女として本殿で活動しているはずのエレナだった。

 冒険者の依頼を終えて帰る予定日は伝えていたのでユウ達が顔を出すのを待っていたがなかなか来ないので様子を見に来たようだ。


「ごめんごめん、この後行くつもりだったんだよエレナ」


 少しばかしお冠のエレナにユウは笑いながら答えた。実際口から出任せではなくシャルルアの件がなければ真っ先に寄るつもりだったのだ。


「私ばっかり本殿で色々やってるんだからユウも今度は一緒に来てよ!」

「え~、ぼくは勇者としては動きたく······」

「う~······」

「わかったよ。今度呼ばれる時はちゃんと行くから機嫌直してよ、エレナ」


 可愛らしく膨れっ面を見せたエレナに対してユウが折れることにしたようだ。


「あれぇ? エレエレなんだかものすごくレベルが上がってないですかぁ?」


 ミリィがエレナを見て言う。

 エレナのレベルはユウ達が依頼で出かける前は26だったはずだが今は70を超えていた。


「もしかして聖女様達が言ってた成長促進スキルを持ってる冒険者に鍛えられたの?」

「そうよ。たった一日で一気にレベルアップしちゃったわ。その人達、ユウ達の知り合いって聞いたんだけど? レイさんとアイラさん、シノブさんって名前だけど」


 聞き覚えのある名を聞いてユウ達は驚いた反応を見せた。


「レベル上げに協力してくれる冒険者ってレイさん達のことだったのね。やっぱり王都に来てたんだ」


 テリアが言う。


「シノブって人は一番年下の子だよね? ポーションでお姉さんの怪我を治してくれたんだったね」

「そーですねぇ。まだ王都にいたんですかぁ、あの常識外れの人達ぃ」


 ユウが言うようにシノブという子は瀕死の重傷を負っていたリーナを希少な薬を使って治してくれた人物だ。


「今度ユウ達も連れて来てほしいって言ってたわよ」

「そうだね。ぼくもあの時のお礼を言いたいし次はちゃんと行くよ」

「わたしも行くわよ。わたしもちゃんとお礼を言いたいからね」


 ユウはそう約束し、テリアもそれに同意した。





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