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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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240 神級鍛治師、アルネージュ滞在

 ドルフさんのお師匠さんのガルナンさんにスミレの大地の精霊剣の修復と強化を依頼した。

 ドルフさんの紹介状を渡し、必要な素材を出したら割りかしすんなり引き受けてくれた。


 他のドワーフ職人達も素材を欲しがっていたので適当に出して渡しておいた。


 今、ガルナンさんはスミレの大地の精霊剣を打ち直していて、ノギナはその様子を真剣に見ていた。

 こういう時のノギナは職人の目になっていて普段とのギャップがある。


 ノギナも(鍛冶)スキルレベルは7まで上がっているし腕は悪くないんだよな。

 ただランダムで付与される効果の当たり外れが大きいだけで············。


「············」


 真剣に見ているのはノギナだけでなくスミレもだった。大地の精霊剣はスミレのお気に入りらしいし出来上がりが気になるようだ。


「ドワーフの国には小生も行ったことがあるでありますが(神級鍛冶)のスキルを持っているのはごく一部でありましたよ」


 ルナシェアはドワーフの国とやらに行ったことがあるらしい。

 まあルナシェアはこう見えて聖女という立場だしセーラやアルケミア同様に各地を巡っていたようだからな。


 しかし鍛冶が得意なドワーフでも(神級鍛冶)のスキルを持っているのはごく一部なのか。

 ガルナンさんはドワーフの中でもかなりすごい人みたいだな。






「ふう······完成だ」


 ガルナンさんが汗を拭って言った。

 どうやら強化修復が終わったみたいだ。

 (リメラの宝玉)にフェルの牙に加え、オリハルコンやその他色々な素材を使っていたけどどんな感じに強化されたのかな?



(精霊剣アースレジェンド〈アイテムランク8〉)

攻撃力+4200〈大地の活力、石化攻撃、精霊の守り付与〉



 大幅にパワーアップしていた。

 見た目も伝説の剣と言われても遜色ないくらいの装飾が施されている。

 オレの持つ聖剣エルセヴィオとほとんど変わらない性能だ。


「··················」


 スミレは無言でその剣を翳して見ていた。

 表情はあまり変化ないが目がキラキラしているように見えるのでどうやら満足のいく仕上がりのようだ。



 しかしすごいな。

 こんな短時間で聖剣クラスの武器を作れるならこの世界にはもっと伝説級の武具が溢れていてもおかしくないと思うのだが。


「俺でもオリハルコンや霊獣の素材を扱うのは初めてだったからな。だが悪くねえ出来のはずだぜ」


 ガルナンさんが満足そうな笑みをうかべた。

 そうでした。

 オリハルコンは貴重だったのをまた忘れかけていた。いくら聖剣クラスの武具を作れる腕があっても材料がないんじゃどうしようもないのか。


 それにしても(神級鍛冶)のスキルを持つガルナンさんでもオリハルコンは初めてなのか。


「図々しいかもしれないでありますが小生の剣も強化をお願いしては駄目でありますかね?」


 さっきも頼んでいたが改めてルナシェアがガルナンさんに依頼した。

 ルナシェアもスミレの剣を見て羨ましくなったようだ。ガルナンさんはルナシェアに目を向けた。


「そういやおめえさんは?」

「リヴィア教会所属のルナであります! 神級鍛治師殿の腕を見込んでお願いしたいであります」


 どうやら聖女という身分は隠すつもりのようだ。


「おい、あれ聖女のルナシェア様じゃ······」

「しーーっ! あの方は身分を伏せて来ているんだよ。余計なことを言うな」


 他のドワーフ職人からそんなヒソヒソ話が聞こえた。やはりルナシェアの正体はバレているみたいだな。


「ルナねえ······どこかで見たような気がするがまあいいか。ならお前さんの剣を見せてみろ」


 ガルナンさんは細かいことは気にしないようだ。

 ルナシェアは言われたとおり腰の剣を差し出した。

 オレが貸しているオリハルコンの剣だ。

 もうルナシェアにあげたつもりだけどな。


「こいつもオリハルコン製かよ!? 一体どこでこいつを······」

「レイ殿からお借りしている品であります」

「またお前さんか······一体何者なんだ?」


 さっきよりも鋭い眼光でこちらを見てきた。

 何者と言われても正直困るんだが。


「ウチも何度かオリハルコンを打たせてもらってるっすよ。レイさんは希少な素材をたくさん用意してくれるっすからアルネージュでも大人気っす」

「その話、詳しく聞かせろ」


 ノギナが余計なことを言ってくれた。

 ガルナンさんがその話に食いついた。


 ノギナがアルネージュのドワーフ工房や自分の所にオレが定期的に貴重な素材を卸していることを話した。

 まあそれくらいなら秘密にしなくてもいいかな。


「ノギナ······だったな。ドルフの娘らしいがお前さんの腕の方はどうなんだ?」

「自分ではそこそこだと思ってるっすよ」


 ノギナが収納袋から自分の作品をいくつか取り出した。変な物も混じっているが比較的まともな効果の武具だ。


「付与まで出来るのか。確かに見所がありそうだな」


 それを見てガルナンさんは考え込む仕草をする。

 そしてしばらくすると考えがまとまったようだ。


「よし! しばらくアルネージュに滞在することにしたぜ。久しぶりにドルフの腕も見てえし、娘のお前も俺が徹底的に鍛えてやるぜ!」

「「「ガ、ガルナン師匠!?」」」


 突然のガルナンさんの言葉にドワーフ職人達が戸惑いの声をあげた。

 ガルナンさんは一時的にこの工房に滞在しているだけでここの責任者というわけでもないので問題ないとか。

 周りの人達の反応を見ると問題ありそうだけど。


 そもそもガルナンさんがこの国に来たのはドワーフの国は鉱石などの素材が不足気味らしく、資源豊かな所を求めていたかららしい。

 ならオレが希少な素材をたくさん持っていると知ったらそうなるか。



 ドルフさんの腕を見るとか、ノギナを鍛えるとかはアルネージュ滞在の建前だな。

 オレは構わないしノギナもガルナンさんの師事を受けることに嬉しそうにしているけど、ここの職人さん達が引き止めている。

 ガルナンさんはかなり慕われているようだ。


 結局ガルナンさんの考えは変わらずアルネージュに来ることになった。

 せめてものお詫びにドワーフ職人達には希少な素材をたくさん渡しておいた。



 ガルナンさんがアルネージュに来るなら転移魔法のことも話すことになるけど、まあいいか。

 さすがに内緒にして徒歩で向かうには遠いし。

 細かいことは気にしない性格で転移魔法を知って驚いてはいたけどそれよりも希少な素材のことで頭がいっぱいの様子だった。




 アルネージュに着き、お師匠さんの突然の訪問にドルフさんはかなり驚いていた。

 ガルナンさんはしばらくドワーフ工房ではなく第三地区にあるノギナの工房に滞在することになった。



 ちなみにルナシェアの剣の強化は後日行われ、聖剣クラスの名品が完成していた。






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