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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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238 鉱山の町ラズス

 鉱山の町ラズスまで聖女ルナシェアが同行することになった。

 王都観光をある程度回ったので、ラズスに向かうことにした。


「モフモフで気持ちいいっすね!」

「そうでありますな。フェルは小生の自慢であります」

「············触ってると眠くなる」


 ノギナ、ルナシェア、スミレの三人が仲良くフェルと戯れている。

 ノギナも最初はルナシェアが聖女だと聞いて恐縮してたけどすぐに普通に接するようになっていた。

 ルナシェアが気楽に接してほしいと言ったのだがすぐに実践するとはノギナもなかなかに肝が据わっているな。



 オレ達は王都を出て人通りの少ない場所に集まる。ルナシェアが指示を出してフェルが伏せの態勢になった。


「霊獣様に乗っても大丈夫なんすか?」

「問題ないでありますよ。小生も何度か王都を出て走り回っているでありますし」


 いつの間にかルナシェアはそんなことをしていたのか。

 フェルも大分ルナシェアに懐いたみたいだな。



 一人一人順番にフェルに跨がっていく。

 オレは最後に乗った。

 モフモフの気持ちの良い毛並みで乗り心地は最高だな。


「それじゃあフェル、出発であります!」


 ルナシェアの合図でフェルが立ち上がる。

 初めはゆっくり歩き出したが徐々にスピードを上げていった。

 まさに風を切るようなスピードだな。

 ノギナは最初は速すぎるスピードに怖がっていたがすぐに慣れたようだ。

 スミレも無表情だが楽しんでいるように見える。



 霊獣の周囲は特殊な力でも働いているのか、物凄いスピードだというのに振り落とされることもない。

 おかげで周りの景色を楽しみながら進めている。

 このスピードなら魔物に襲われる心配もいらないだろうし。






 1時間程走ったら目的の鉱山の町に着いた。

 思ってたよりもあっさりたどり着いたな。


 ここが鉱山の町ラズスか。

 鉱山の町と聞いたから失礼ながら暗いイメージの町を想像してたけど結構賑わっている。

 さすがに王都やアルネージュよりは規模は小さいがクラントールよりは発展しているかな。


「フェル、お疲れ様であります」

「クウウッ」


 ここまで走ってくれたフェルを(ねぎら)うルナシェア。

 オレも頭を撫でたら嬉しそうに遠吠えした。

 ずっと走りっぱなしだったのに疲れている様子がまるでないな。


 しかしこのままフェルを連れて町に入ったらかなり目立つ気がする。

 そう思っていたらルナシェアが指示を出してフェルの身体が小さくなった。

 初めて見た時のような子犬サイズだ。


「フェルって身体の大きさを変えられたの?」

「そうであります。先程までが最大サイズで今の姿が最小でありますが」

「さすがは霊獣様っすね」


 もはやなんでもありだな。

 まあファンタジー世界だし細かく突っ込まないでおくか。

 子犬サイズなら目立たずに連れていけるな。



 さっそくラズスの町を見て回る。

 奥の方にあるのが鉱山みたいだな。

 王都やアルネージュなどにも運ばれる結構重要な資源らしい。

 種類豊富な鉱石が採れてたまにミスリルとか貴重な物も出るとか。


「ええーーっ! う、売り切れぇ!? そんな〜······わざわざ王都から来たのに〜······」

「魔鉱石は今回は採掘量が少なかったらしくてな。国に卸す分しか確保できなかったんだよ」


 鉱山で採れた鉱石を取り引きしている店からそんな声が響いてきた。

 声の主はオレと同じくらいの年齢と思われる女の子だった。


 聞こえてきた話の内容から察すると女の子は王都から魔鉱石という素材を買いに来たが売り切れだったようだ。


「魔力を含んでいる鉱石のことっすね。鍛冶でも結構重宝する素材っすよ」


 ノギナが言うには希少というわけではないが色々と用途があり人気のある鉱石のようだ。

 魔鉱石か············。

 オレのスキル(素材召喚)で試してみたら普通に出せた。

 アイテムランクは白金(プラチナ)とミスリルの中間くらいみたいだな。


「魔鉱石ならオレが少し持ってるけど?」


 女の子はかなり落ち込んでいる様子だったので声をかけてみた。

 持っていると言っても今出したんだけど。

 女の子はオレの持っている魔鉱石を見て目の色を変えた。


「あーーっ!? ほ、本当だ。しかもすごい魔力を秘めてる······! こんな高純度の魔鉱石初めて見たよー! 売って、お金なら出すから売ってください〜!」


 すごい勢いで食いついてきた。

 まあ売るのは構わないけど。

 売り切れらしいし、ここの商売の邪魔にもならないだろう。


 ノギナとルナシェアに魔鉱石の相場を教えてもらい、定価よりやや安い金額で売ってあげた。


「ありがとー! あたしはリーナ。王都の魔道具専門店〝トゥラヴィス〟の天才魔道具職人だよ! 王都に来たら是非寄ってね!」


 リーナと名乗った女の子はお礼を言って元気良く去っていった。

 靴が特別な魔道具らしく物凄いスピードであっという間に見えなくなった。

 王都の魔道具専門店〝トゥラヴィス〟か。

 まだ行ったことのない店だな。


「王都でも有名な魔道具店でありますね。高品質な魔道具が揃っていてリヴィア教会の方々もよく利用しているでありますよ。去年その店の有名な魔道具職人が亡くなり、養子の姉妹が受け継いだそうであります」


 王都にそんな店があったのか。

 ちょっと興味が出てきたな。今度行ってみよう。

 あの子が受け継いだ姉妹の一人ってわけか。



 魔道具職人って言ってたし高品質の魔道具を作れるすごい子だったんだな。





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