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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第五章 幻獣人族の里 神樹の迷宮編
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232 泥酔エイミとほろ酔いミール

 迷宮から脱出したオレ達は里の長の屋敷まで戻ってきた。

 ちょっとしたハプニングがあったがまあたいした問題でもなかった。

 だがもっと大きなハプニングは迷宮の外で待っていた。





「きゃははははっ! レイ君だ〜、おかえりなさい〜!」


 長の屋敷に入ってすぐにエイミがそう言って抱きついてきた。

 いきなりのことで反応できなかった。

 ············一体どうしたんだエイミは?

 明らかに様子がおかしいんだが。



[エイミ] レベル516 (状態:泥酔)

〈体力〉30960/32890

〈力〉19800 〈敏捷〉22500〈魔力〉34580


〈スキル〉

(詠唱破棄)(同時詠唱)(神眼)

(魔力回復速度上昇〈極〉)

(森の精霊の加護〈大〉)

(異世界人の加護〈仮〉)

 


 ステータス画面を見てみたら状態が泥酔になっている。お酒でも飲んだのか?

 お酒の匂いは特にしないが······。


「先ほど神樹の実を食べてからずっとこの調子でござる」


 シノブが事情を説明してくれた。

 神樹の実を食べたのか。

 神樹の実にはアルコールでも入っているのか?


「ワシも詳しくはわからぬが神樹の実はエルフの神経に作用してしまうようじゃ。先代勇者の仲間にもエルフの娘がおったが当時もこのように酔っておったわ」


 儀式の手伝いを中断して戻ってきていたエンジェがエイミの容態を見てそう言った。


「あの······エンジェ様? 私その話初耳なんですけど」

「あまりの痴態を晒した故に仲間内だけの秘密にしておったからのう」


 フウゲツさんにとってもエイミのこの状態は予想外な事態だったようだ。

 当時の勇者の仲間が痴態を晒したって······詳しくは聞かないでおくか。


 エルフ以外は神樹の実を食べてもこのような影響はないらしい。

 種族的な相性の問題だろうか?

 まあそんなことはいい。

 ミールも食べたらしいがそっちは大丈夫なのだろうか?



[ミール] レベル525 (状態:ほろ酔い)

〈体力〉61250/61900

〈力〉35500〈敏捷〉42700〈魔力〉64680


〈スキル〉

(詠唱破棄)(同時詠唱)(神眼)

(魔力回復速度上昇〈極〉)

(森の精霊の加護〈大〉)

(異世界人の加護〈中〉)



 ミールの方は泥酔ではなくほろ酔いとなっている。

 少し顔が赤くなっているがエイミのようにはなっていないようだな。


「おそらくレイさんの加護によって耐性が上がっているからじゃないでしょうか? 少し頭がボーッとしますが姉さんのように正気を失ってはいませんよ」


 なるほど、ミールはエイミよりも強い加護を受けているからそこまで酷く酔ってはいないのか。

 とはいえミールも足元がおぼつかずフラフラしている。


「シノブ、酔い醒ましの薬とかないのか?」

「やめておいた方が良いと思うぞ? 原因がわからぬのじゃし下手に薬を与えてさらに状況が悪化しても困るじゃろ? 酔っておるだけでしばらくすれば元に戻るはずじゃ」


 シノブに薬を出してもらおうとしたらエンジェの待ったがかかった。

 まあ確かにエンジェの言う通りかもな。

 特級万能薬なら後遺症なく治るかもしれないが保証はないし、酔い醒まし程度に使うものでもないか。


「レイ君、レイ君〜、きゃははははっ」


 普段のエイミからは考えられないくらい積極的に絡んでくる。

 押しのけるのもどうかと思いオレはされるがままにしている。


「······レイ、長殿達への迷宮の報告は私とユヅキでしておくからエイミ達の酔いが醒めるまで相手をしてやれ。くれぐれも()()()()冒さないようにな」


「ごめんなさいねレイ君。私も報告を聞くからエイミちゃんの相手をよろしくね」


 アイラ姉がそう言い、フウゲツさんとユヅキと一緒に長の部屋に行ってしまった。

 ············逃げたんじゃないよな?

 エンジェもその後を追い退室した。

 この場にはエイミとミール、シノブにスミレだけが残った。



「姉さん、酔いが醒めるまで横になっていた方がいいですよ。部屋に戻りましょう」

「やだぁ! レイ君と一緒にいる〜!」


 ミールがエイミを連れて行こうとしたが、エイミはオレの服を掴み駄々をこねて言った。

 相手をすると言ってもどうすればいいんだろうか?


「······レイ君はわたしと一緒はイヤ······?」


 エイミが顔を赤らめて上目遣いでそう言ってきた。ヤバい······その仕草がすごく可愛らしい。


「いや······そんなことないけど······」

「うにゅ〜、だったら一緒にいようよ〜」


 エイミが再び抱きついてきた。

 キスしそうになるくらい顔が近い。

 前にキスしたことを思い出してエイミの唇に目が行ってしまう。


「姉さん、ズルいですよ? ワタシだって我慢してるんですから」


 ミールまでエイミのように抱きついてきた。

 そうだった······ミールもエイミ程じゃないとはいえ酔ってるんだった。

 可愛い女の子に迫られて悪い気はしないけどこのままじゃマズイ気がする。


「エイミ、ミール······ズルい。ボクもご主人様にくっつく」

「ちょっ、ちょっと待つでござるスミレ殿!?」


 酔ってないはずのスミレまで迫ってきたのをシノブが止めてくれた。



 アイラ姉に間違いは冒すなと釘を刺されたけどこのままじゃ本当にマズそうだ。




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