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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第二章 始まりの町アルネージュでの出来事
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27 リンVS正義の仮面 再戦(※)

※(注)変態キャラが現れます。

お見苦しい表現もありますので苦手な方はとばしてください。


(セーラside)


 お風呂から上がって外に出ると建物の裏手で何やら物音がしたので覗いてみると正義の仮面さんが何かをやっています。


「はあっ!!」


 魔力の塊が全部で4つ。それぞれ赤、青、緑、紫と色が違います。

 その魔力の塊を放ち、小さな的を破壊しました。

 あれは4つの属性魔法を同時に放ったようです。

 なんという技術······そして高い魔力がなければ不可能なことです。

 どうやら魔法の訓練をしているみたいです。

 しかし、何故ここで?



「そこにいるのは誰です?」


 正義の仮面さんがこちらに気付いたようです。

 ここは素直に出ていきましょう。


「ひっ······」


 リンはまだ彼に怯えているようです。

 ······確かに相変わらずの格好ですね。

 正直、目のやり場に困るのですが······。


「ほう、聖女セーラ殿とリン殿でしたな」

「お久しぶりです、先日は命を救っていただきありがとうございます」


 私は先日のお礼を言います。

 格好はおかしいですが、それ以外はまともな人です。······この格好、なんとかならないんでしょうか?


「なに、当然のことをしたまでです。気にすることはありません」

「あの、正義の仮面さん······顔は見せてはくれないのですか? それと······何故そのような格好を?」


 私は疑問に思ったことを聞いてみました。


「申し訳ありませんが正義とは正体を隠して行うもの、素顔を晒すのはご勘弁を。そしてこの姿は私の正しき戦闘スタイルです。裸になることで動きが俊敏になり、戦いやすいのですよ」


 そういうものなのでしょうか?

 身を守るものがないのに戦うスタイルとは思えないのですが。


 そういえば普段はどこで何をしている方なのでしょうか?

 町中をこんな格好で歩けば目立つはずですが彼の噂などは聞いたことありません。


「ではセーラ殿、私はこの辺で失礼させてもら―――――」

「ま······待てコラァーーッ!!!」


 この場を去ろうとした正義の仮面さんをリンが怒鳴って止めます。

 さっきまで怯えていたはずですが今は憤怒の表情です。


「何かご用ですかな? お嬢さん」

「なにか······じゃないですっ!! 前回わたしにあんなことをしておいてなにか言うことはないんですかっ!?」


 リンが興奮気味に言います。

 前から思っていましたがリンは彼とは初対面ではないようです。

 まあ第三地区で自由行動していたリンが正義の仮面さんと出会っていても不思議ではないですね。

 しかし、あんなことって何をされたのでしょう?


「彼となにかあったのですかリン?」

「セ、セーラ様······いえ、その······」


 私がリンに問うと顔を真っ赤にして口ごもります。

 どうしたのでしょうか?


「彼女は前回私に問答無用で戦いを挑んできまして、少々お仕置きして頭を冷やさせたのですよ」


 リンの代わりに正義の仮面さんが答えます。

 状況がなんとなく想像できました。

 男性に良い印象のないリンが不審者と言える格好をした彼を目にすれば捕らえようとするでしょう。

 正義の仮面さんからすれば理不尽に戦いを挑まれたものでしょうか?


「あれのどこが少々ですか!? あ。あんなことをして······わたしの純潔を返してくださいっ」


 リンが肩で息をしながら叫びます。

 リンがここまで怒るなんて一体何をされたんでしょうか?


「では私に何を望みます? 謝罪ですかな?」

「もう一度尋常に勝負です! 今度こそボッコボコにして捕まえてやります!」


 なにやら話がどんどん進んでいきます。

 止めた方がいいのでしょうか······。

 しかし今のリンは簡単に止まりそうにありません。


「ほう、それはつまりもう一度私のお仕置きを受けたいと?」

「なぁっ!? だ、誰がそんなことを言ったぁっ!!」

「ならば私に勝負を受ける理由はありません。失礼させてもらいましょう」

「ぬっ······ぬぐぐぐっ······!!」


 よくわかりませんがリン、落ち着いた方がいいですよ。


「い、いいでしょう! やれるものならやってみろです! わたしはあれから強くなったんですっ、もう不覚は取りませんよ!!」


 リンの今のレベルは101。

 たとえ王国最強の騎士でも今のリンに勝つのは難しいでしょう。

 しかし正義の仮面さん相手ではどうなるでしょうか?


「リン、よくわかりませんが彼は私達の恩人ですよ? やめておきなさい」

「すみませんセーラ様、止めないで下さい。ここで退くわけにはいかないんです」


 なにがそこまでリンを動かすのでしょうか?

 とても止めらなさそうです。

 少し様子を見ましょうか······。



「覚悟しろっ! うおおーーっ!!!」


 リンが雄叫びを使い力を上げました。

 そして収納袋から武器の大剣を取り出します。

 本気ですね······大丈夫でしょうか?


「死にさらせぇーーっ!!!」


 リンが思い切り大剣を振りかぶります。

 殺すつもりですか、リン!?

 しかしリンの大剣を正義の仮面さんは軽く受け止めました。


「ほう、確かに以前より力が上がってますな」

「余裕ですね······だったらこれならどうだぁーーっ!!」


 リンが次々と攻撃を加えますが、全て防がれています。改めてこの方とんでもない実力です。


「すべてを焼き尽くせ!! デスクリムゾン!!!」


 リンが魔法を放ちます。

 「炎」の上級魔法です。

 本気で殺すつもりとしか思えません。

 しかし、これすらも正義の仮面さんは簡単に防ぎました。


「もう終わりですかな?」

「ひっ······」


 正義の仮面さんが動こうとするとリンの表情に再び怯えが見えます。

 ······もう止めた方がいいでしょうか?


「だ、だったらこれならどうです! ふあぁーーっ!!!」


 リンの体が光り輝きます。

 これはスキル(覚醒)を使用したようです。

 (覚醒)は獣人族特有のスキルで一時的に全ステータスを3倍にする効果があります。

 ただし効果が切れたら反動でしばらくまともに動けなくなるので使いどころが難しいスキルですが。


 レベル101のリンが3倍の強さになったらステータスだけならばあのオークガイアすらも上回ります。


「これがわたしの本気です! 覚悟しなさいっ」


 覚醒したリンが攻撃を仕掛けます。

 目で追うことが難しいスピードです。


「ほう、なかなかの動きです。だが······」


 リンの全ての攻撃が防がれています。

 覚醒したリンでもまったく敵いません。


「それでは私には勝てませんよ」

「くっ······こ、こんなっ」


 今のリンですらまったく敵わないなんて······。

 一体この方はどれ程のレベルなのでしょうか?


「そろそろ私も攻撃させてもらいましょうか?」

「ひっ······」


 リンが再び怯えています。

 しかしまだ勝つことを諦めてはいないようです。


「こ······のっ! スキありぃーーっ!!!」


――――――――ゴッ!!!!!


 リンの一撃が炸裂しました。

 ······リン、それはいくらなんでもあんまりでは?

 リンは思い切り正義の仮面さんの股間を蹴り上げました。

 そこは男性の最大の弱点のはず······

 しかも今のリンは覚醒した状態です。


「思い知りましたか! そんな弱点をさらけ出している方が悪いのですっ!!」


 そうかもしれませんが、それは反則だと思います。

 大丈夫なのでしょうか?

 正義の仮面さんの方に視線を向けると······。


「残念ですが効きませんな」


 平然と立っていました。

 え、本当に平気なんですか?

 思い切り直撃していたはずですが······。


「そ、そんな······なんでっ」

「ここは私の弱点ではありません、最大の武器なのです」


 堂々と仁王立ちを決めています。

 本当に平気なようです。


「く······ううっ」


 逆にリンは少し苦しそうにしています。

 覚醒の効果が切れそうです。


「私の最大の武器の威力、お見せしましょう! とうっ!!」


 正義の仮面さんが地面を蹴り、高く跳び上がりました。なんという跳躍力ですか······。

 跳び上がった状態からリン目がけて落ちていきます。


「え······? うぶっ!?」


 リンの顔面を股間で押さえつけるように締め付けています。リンは抜け出そうともがきますが、しっかり締め付けられているので抜け出せないようです。


 ······何という光景でしょうか。

 最大の武器の威力を見せるとはこういう············。

 あまりのことに声が出ません。


「私の勝ちですな」

「······あ······ううっ······」


 正義の仮面さんが立ち上がります。

 リンは覚醒も解けて動けないようです······。


「ではセーラ殿、私はこれで失礼を。彼女の介抱はよろしく頼みます」

「は、はいっ······」


 反射的に返事をしてしまいました。

 正義の仮面さんはそのままどこかに走り去って行きました。リンは覚醒の反動で動けなさそうですが、怪我などはなさそうです。

 ······ですが精神的には大丈夫でしょうか?

 私が同じことをされたら正気でいられる自信はありません······。


「リン、大丈夫ですか?」

「は、はい······セーラ様······お恥ずかしいところを見せました······」


 恥ずかしい所を見せたというより見せられていたような······。


「ううっ······あの男、あんなモノをわたしの顔に押し付けて······しかもセーラ様の前で······もうお嫁に行けません······」


 リンのショックは大きそうです。

 どう声をかけていいかわかりません。

 リンが動けるようになるまで、ここで休みながら慰めることにします。



 結局あの方はどういう人物だったのでしょうか?

 乙女であるリンにあんな······ことをするのはどうかとは思いますが。

 良い人なのかただの変質者なのか判断に困ります。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「セーラ殿にリン殿、ここにいたでござるか」


 しばらく休んでいたらシノブさんがやって来ました。よく見たらもう夕暮れ時ですね。

 長いこと休んでいたみたいです。


「師匠にお二人が来てると聞いたでござるが、なかなか帰らないので探したでござるよ」


 師匠というとレイさんのことでしたか。

 心配させてしまったみたいですね。


「すみませんシノブさん、その······色々ありまして」

「リン殿はどうしたのでござるか?」


 シノブさんに言われてリンを見ると顔を赤らめながら身体をモジモジさせています。


「その······セーラ様······シノブさん、か、身体が熱くて······」


 もう覚醒の反動は収まってるはずですが、様子がおかしいです。

 ······これはもしかして獣人族特有の発情期の症状では?

 リンも年頃ですし症状が出てもおかしくはありませんが。

 ですが、今までそんな兆候はなかったのに突然すぎますね······

 先ほどの正義の仮面さんの()()のせいでしょうか?


「すみませんセーラ様、シノブさん······少し頭を冷やしたいので······もう一度お風呂を借ります!」

「あ、リン殿······今は男湯のじか――――」


 よほど身体が苦しかったのか、シノブさんの言葉を最後まで聞かずにリンは行ってしまいました。



 なにやら騒動の予感がしますが······大丈夫でしょうか?








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