表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第四章 スミレの故郷 幻獣人族の里
272/736

223 劣勢

(ミールside)


「拙者の(スキルスティール)であの怪物のスキルを奪ってみるでござる! 皆には援護を頼みたいでござる!」


 シノブさんは相手のスキルを奪うことができる(スキルスティール)というものを使えます。


 確か相手のレベルを上回り1分以上触れ続ければいいんでしたよね。



[シノブ] レベル770

〈体力〉109500/109500

〈力〉69850〈敏捷〉80200〈魔力〉62050


〈スキル〉

(全状態異常無効)(薬物錬成)(連携)

(魔法・スキル付与)(獲得経験値10倍)

(スキルスティール)(同時詠唱)(暴食)

(強化再生)(限界突破)(聖剣術〈レベル9〉)

(各種言語習得)(分身)

(異世界の絆〈1/5〉)



 シノブさんの方があの巨大獣のレベルを上回っています。

 ステータス的にもシノブさんが僅かに上ですね。

 無効系スキルさえ奪ってしまえば倒すことは可能でしょう。


「シノブちゃん、そんなことできるの?」

「はいでござる。以前ある迷宮の守護者を倒した時に手に入れた力でござる。ただ絶対にうまくいくかはわからないでござるよ」


 フウゲツさんが疑問に思うのも無理はありませんね。スキルを奪うスキルなんて反則でしょう。


「いいわ、シノブちゃんを信じるわよ。ゲンライ!」

「ぬはははっ! 任せておけ、足止めくらいなら儂らでもできるわっ!」


 フウゲツさんと長がお互いに頷き合います。


「ユヅキ達は後方からの援護を頼むわよ!」

「ああ、わかったぜ!」

「「「お任せください!!」」」


 ユヅキさんや護衛の人達が頷きます。

 ワタシと姉さん、そしてスミレさんもシノブさんの援護に動きます。

 念のためにレイさんに念話で状況を伝えました。



「「アースインパクト!!」」


 ワタシと姉さんが協力して「土」魔法で巨大獣を拘束しました。

 鋼鉄並の強度を持った「土」が巨大獣の全身に巻きつきます。

 ユヅキさん達もワタシ達に魔力を送って援護してくれています。


「――――――――ッ!!!」


 巨大獣は拘束をいとも簡単に砕きました。

 巨大獣の視線がこちらに向きます。


「ぬおおあああっ!!!」


 長が(真·覚醒)スキルを使って巨大獣に攻撃しました。(幻獣化)スキルと合わさってステータスだけなら巨大獣を上回っています。


「うふふっ、私も本気でいくわよ」


 フウゲツさんの身体が変化していきます。

 どうやらフウゲツさんも(幻獣化)スキルを使ったようです。


 長と違ってフウゲツさんの(幻獣化)は人よりも獣よりの姿です。

 フウゲツさんの全身がサラサラな体毛に覆われ、体長も一回り大きくなりました。



 その姿は九本の尻尾を生やした大型の狐。

 九尾の狐と言うんでしたっけ?

 レイさんが(幻獣化)したフウゲツさんを見てそう言っていましたが。


 リンさんがコンコ族という狐の獣人でしたがフウゲツさんはその上位種族のようです。



 フウゲツさんはさらに(真·覚醒)スキルを使ってステータスを上げました。

 今のフウゲツさんなら冥王とも渡り合えそうです。


 (幻獣化)した長とフウゲツさんで巨大獣を翻弄します。

 夫婦だけ合って息がピッタリですね。


牙狼蒼王掌(がろうそうおうしょう)!!」

風神天星華(ふうじんてんせいか)!!」


 二人が奥義を巨大獣に放ちました。

 凄まじい威力でまともに受ければ並の魔物ならば原形すら残らないでしょう。


「―――――――ッッ!!!」


 巨大獣はそんな攻撃すらまったく効いていません。

 片腕で長をなぎ払い、もう片方の腕でフウゲツさんを掴みました。


「今の私に力勝負を挑むつもり? いいわ、受けて立つわよ!」


 (幻獣化)したフウゲツさんが巨大獣の身体に噛みつきました。

 しかし鋭い牙は巨大獣の身体を貫けていません。


「だったらこれはどうかしら!!」


 フウゲツさんの九本の尻尾が巨大獣に向き、尻尾の先から様々な属性の魔法が放たれました。

 「炎」「水」「風」「光」············高威力の属性魔法が巨大獣に降りそそぎます。


「―――――――ッ!!!」

「······っ!? きゃあっ!!?」


 いくつもの属性魔法の同時攻撃もすべて無効化されてしまいました。

 巨大獣の反撃を受けてフウゲツさんが地に叩きつけられました。

 ステータスでは巨大獣を上回っていても攻撃がすべて無効化されてはどうしようもありません。


「············お婆ちゃん!」

「ま、待ってスミレちゃん! あぶないよっ」


 飛び出そうとしたスミレさんを姉さんが止めました。フウゲツさん達と巨大獣のぶつかり合いはあまりに激しく巻き込まれれば今のワタシ達でも危なく迂闊に近寄れません。


 そんな中でシノブさんは隙を突いて巨大獣にしがみついていました。

 そろそろしがみついてから1分以上は経っているはずですが············。



〈上位妨害スキルの効果により

(スキルスティール)が打ち消されました〉



 (神眼)の鑑定で見ていたらそんな表示が出ていました。

 まさか(スキルスティール)まで通用しないのですか!?

 上位妨害スキルというのは(魔神の加護)のことでしょうか?


「申し訳ないでござる! 失敗したでござる!」


 巨大獣から離れ、シノブさんがワタシ達の前に立ちます。


「―――――――ッッ!!!」


 巨大獣が無数の魔力の塊を無差別に放ちました。

 ワタシ達はそれぞれ防御魔法で防ぎます。

 長とフウゲツさんは自力で耐えています。

 ワタシ達の魔力ならギリギリ防げましたがユヅキさんや護衛の人達が防ぎ切れずに大きなダメージを受けていました。



 このままではまずいです······。

 ですが物理攻撃も魔法攻撃も通用せず、シノブさんの(スキルスティール)も効かない。

 そんな相手どうやって倒せば······。


「――――――ッ!!!」


 巨大獣が再び魔力を集中しています。

 先程よりもさらに膨大な魔力が集められています。

 この魔物、魔力量まで無尽蔵なのですか!?


「あなた達は退きなさい!」

「ここは儂らに任せるのじゃ!」


 フウゲツさんと長がワタシ達と巨大獣の間に立ちました。

 あんな魔力量の攻撃を受ければいくらフウゲツさん達でも無事には済みませんよ!?


「儂らのことなら心配いらんわい!」

「ええ、ゲンライの言う通りよ。私達でアイツを再封印してみせるわ」


 虚勢を張っているようにしか見えませんよ。

 お二人を置いて逃げるわけには······。

 スミレさんが特に首を横に振っています。


「いや······お爺ちゃんとお婆ちゃんを置いて逃げない」


 スミレさんが二刀を構えてフウゲツさん達の横に立ちます。


「スミレ! わがままを言うでな······」

「······来る!」


「―――――――ッッッ!!!!!」


 問答している間もなく巨大獣が魔力を解き放ちました。

 とんでもない魔力量······防御魔法を全開にしても防げるか······。



――――――――――!!!!!



 もう駄目だとワタシは覚悟しました。

 しかし巨大獣が放った攻撃はワタシ達に届くことなく消滅しました。



「ふう、なんとか間に合ったな」

「フム、あれが例の封印されていた魔獣か」

「やはり封印が解かれていたようじゃな」


 ワタシ達とフウゲツさん達の前に立っていたのはレイさん、アイラさん、そしてエンジェさんでした。

 どうやらワタシの念話を受けて駆けつけてくれたようです。



 ですがどんな攻撃も受け付けない魔物······。

 レイさん達でも倒せるでしょうか?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ