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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第二章 始まりの町アルネージュでの出来事
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26 聖女セーラの驚愕(※)

(セーラside)


 オークキングの脅威は去りました。

 騎士や冒険者達の活躍もありますがやはり一番はレイさん、アイラさん、そしてシノブさんの活躍が大きいです。


 あの絶望的な力の差を感じたオークキング。

 そのオークキングをアイラさんは圧倒していました。

 追い詰められたオークキングは配下のグレートオークを糧にオークガイアへと進化しました。



 オークガイア。

 記録上でも聞いたことのないオークキングよりもさらに上位種。

 オークキングでも絶望的だと思っていたのに、そのさらに上が現れては並みの騎士達では何百、何千人が束になっても勝ち目はないでしょう。

 そんなオークガイアですらアイラさんには敵いませんでした。しかも最後のトドメを私に譲ってくれる余裕まであったほどです。



 オークガイアを倒したことで私のレベルは125になりました。

 ありえない高レベルです。

 リンもレベル101まで上がっていて国最強の騎士に匹敵します。

 この事実を知った大司教様は大変驚かれてました。



 オークガイアの亡骸は回収され、鑑定が行われました。

 生きている内は鑑定を妨害されますが、死んでいるなら鑑定可能になります。

 そうして鑑定した結果、オークガイアのレベルはなんと130。

 凄まじい力を秘めていました。正直ゾッとしました。


 とても並みの騎士や冒険者達で勝てる相手ではありません。そんなオークガイアを圧倒したアイラさんはどれ程のレベルなのでしょうか?

 オークガイアを倒した後も残りのグレートオークを倒して回ったそうです。

 その時死人を生き返らせたという話もありましたがいくらなんでもそれはデマですよね?

 ······彼らを見てると否定できませんが。



 彼らが何者なのか気になりますが、まずは今回のお礼を言うのが先です。

 私はリンを呼び、こっそりと神殿から抜け出しました。まだ神殿内は慌ただしかったですし、当分私がいないことに気付かないでしょう。

 リンと共に彼らの住む第三地区に向かいます。

 前にも思いましたが、この第三地区は楽園のようです。邪気は消え、草木は育つようになり彼らが植えた果実や野菜がたくさん出来ています。


 彼らが来る前は邪気に冒され、草木も生えない土地だったというのが信じられないくらいです。

 住人達は皆彼らに感謝していました。

 私よりも聖女らしいことをしています。

 私ももっと頑張らなくては······。



 そうこう考えている内に彼らの自宅に着きました。

 立派な屋敷です。わずか数日でどうやって建てたのでしょうか?

 玄関をノックするとレイさんが迎え入れてくれました。アイラさんとシノブさんは留守のようです。

 中も立派なつくりです。

 並みの貴族よりも立派なものでしょう。


「とりあえず飲み物でも持ってくるから適当に寛いでて」

「そんなに気を使わなくていいのですが······」

「いいからいいから、大した手間じゃないし」


 そう言ってレイさんは奥の方に行ってしまいました。お礼に来たのに気を使わせてしまいました。

 それにしてもなんて綺麗な部屋でしょうか。

 汚れ一つなく、高級そうな素材のテーブルやイス。

 それに多くの書物があります。


「一体レイさん達はどうやってこの屋敷を建てたのでしょうか?」

「本当ですね。彼らが来る前は何もなかったはずですが」


 リンも不思議に思っているようです。

 しかし、この並べられている書物も気になります。

 こんなに綺麗な紙の書物を見るのは初めてです。

 紙は高級なものなので書物自体が高級品です。

 それがこんなにたくさん、数えるのが大変なくらい並んでいます。


 一体何の書物でしょうか?

 魔導書? それとも武術、剣術の秘伝書でしょうか? つい気になって手に取ってしまいました。

 綺麗な絵が描かれています。

 これは何でしょうか?

 ほぼすべてのページに絵が描かれています。



 男性や女性といった人物が描かれています。

 文字もありますが見たことのない文字です。

 翻訳魔法を使って意味を理解します。

 これは絵を順番に読んでいくと物語になっているようです。こんな書物があるのですね。

 リンも別の書物を取って見ています。



 読み方がわかったので読んでみましたが、何と感動的な物語でしょうか。

 (いにしえ)の神の呪いを受けた少女が多くの仲間に助けられて呪いに打ち勝つものでした。

 最後は呪いの力に負け、消えそうになった少女を親しかった男性が命懸けで少女を救いました。

 これで終わりかと思いましたがまだ続きがあるようです。

 気になっていくつもの書物を続けて手に取ります。


 まさか今度はこのような展開になるとは······少女の苦難が続きます。

 この先は一体どうなるでしょうか。続きを······。



「えっと······飲み物とオヤツを持ってきたんだけど」


 その言葉にハッとしました。

 レイさんが戻ってきたみたいです。

 つい夢中になっていました。リンも私と同じだったようです。

 書物をもとの場所に戻します。


「す、すみません······勝手に見てしまって」

「いや、まあ別に見るのはいいんだけど」


 レイさんが苦笑いしながら言います。

 実に興味深い書物でした。よく見ると様々な物語があります。

 こんな素晴らしい物語があったのですね。

 続きが気になるので今度貸してはもらえないでしょうか?



 それはさておき、せっかくレイさんが持ってきてくれた飲み物とオヤツを頂きましょう。

 まずは飲み物を頂きます。


「······美味しいですっ」


 果実を搾った物でしょうか。

 甘く冷えていてとても美味しいです。

 続いて食べ物の方ももらいましたが、どれもとても美味しかったです。

 特にこのぷりん(?)というデザートが絶品でした。

 優しい甘味、それでいて後味も良く、食感も最高の素晴らしいものです。


 聖女候補となり、色々な甘味を食べられるようになりましたがここまで美味しいものは初めてです。

 毎日でも食べたいです。

 リンも夢中で食べています。


「口にあったみたいでよかったよ」


 レイさんはそう言いましたが、これは口にあった所ではありません。

 甘味の革命です。王都の高級甘味店でも食べられません。

 お礼に来たはずなのに借りがどんどん増えていくみたいです。


 そうです。元々は報酬の話をするために来たのでした。軽く雑談してから本題に入ります。


「神殿からの報酬はレイさん達が望む物は出来る限り応えるそうです」


 冒険者への報酬は基本的にお金になりますが、レイさん達の功績はお金だけでは足りないという判断です。

 彼らが望む物がわかれば目的などがわかるかもという狙いもあるのでしょうが。


「望む物······か」


 レイさんが考え込みます。

 正直何でも出来そうな彼らが望む物なんてあるのでしょうか?


「アーティファクトについて聞きたいことがある、って所かな」


 レイさんの口から出た言葉はそれでした。

 なるほど、アーティファクトですか。

 希少な古代の魔道具。


「聞きたいこととは何でしょうか?」

「それについてはアイラ姉達が帰ってからでいいかな? セーラ達にも色々話したいことがあるし」


 話したいことですか。

 私も聞きたいことがたくさんあります。


「アイラ姉達は多分夕暮れ前には帰ると思うけど」

「わかりました。それまで待たせてもらってもいいでしょうか?」

「そっちが大丈夫なら構わないよ」


 夕暮れくらいなら抜け出したことはバレないでしょう。······多分。

 適当に過ごしていいと言われましたがどうしましょうか。

 さっきの書物の続きでも読みましょうか······。

 いえ、それは何か失礼な気がします。

 読みたいですが。


「そういえば屋敷の外にある建物はなんなのですか?」

「ああ、あれはお風呂だよ」


 お風呂? それにしては大きな建物ですが。


「良ければ使ってみてもいいよ。リンは使ったことあるから使い方はリンに聞いて」


 リンは知っていたのですか。

 ちょっと興味が出てきました。


「セーラ様、あれは素晴らしいものです。レイさんもこう言ってますし是非入りましょう」


 それならばお言葉に甘えて行ってみましょうか。

 外に出て隣の建物に向かいます。


「ここでお召し物を脱いで下さい」


 リンに言われるままにします。

 リンも同じように脱ぎます。

 リンの可愛らしい獣耳がピョコンと顔を出しました。リンは私の為にと自分が獣人であることを極力隠していますがそんなことを気にしなくてもいいですのに。


「ささ、入りましょうセーラ様」


 リンに押されるように中へ入ります。

 広いです。20~30人は入れる広さのお湯が溜まっています。こんなに広いお風呂は初めてです。


「まずは身体を洗います。その石鹸をタオルに············そしてシャンプーとリンスを············」


 リンの言うとおりにしながら身体を洗います。

 なんて泡立ちの良い石鹸でしょうか。

 そしてシャンプーとリンス。

 これで洗うと髪が信じられないくらいサラサラになりました。

 なんですか、これは? 是非欲しいです。

 リンの髪が妙にサラサラだと感じたのはこれのためでしたか。


「リンはこれを知っていたのに教えてくれなかったのですか?」

「い、いえ······すみませんセーラ様、色々あって忘れていたというか······」

「ふふ、別に責めてるわけじゃないですよ」


 ですが、教えて欲しかったのは本音ですけど。

 このシャワーという雨のようにお湯が出るものもレイさん達が作ったのですね。

 見たことのない技術です。

 魔法付与も複雑にかけられていて普通の職人達が作ろうと思ったら何年かかるかわかりません。

 彼らの謎がどんどん増えていきます。



 その後はお湯に体全体浸かってとても心地よい気分を味わいました。

 長湯は危険ということなので、ほどほどに上がります。もう少し浸かっていたかったのですが。


 外に出ると風が心地よいです。

 せっかくですからこのままリンとこの第三地区を見て回りましょう。

 見渡す限りにある色とりどりの果樹園、そして畑。

 これらすべてがレイさん達がもたらしたものだというのです。

 果実も見たことのないものばかり。

 種類がとても多く、どれも美味しいです。

 一体どこの地方のものなんでしょうか。


 種から成長促進魔法で育てたという話ですが、いくらなんでも成長が早すぎです。

 秘密だらけの彼らですが、聞いたら教えてくれるでしょうか?


 アイラさん達が帰ってくるのは夕暮れ時。

 今はまだお昼を過ぎたばかりですから時間はまだまだあります。

 次はリンの通っている孤児院に行ってみましょうか。そう思いましたが、何やら建物の裏で特殊な魔力を感じました。


 この裏は特に何もなく人もあまり来ないという話でしたが、誰かいるようです。

 気になって覗いてみると······。


「ほお~······はっ!!」


 黒いマスクを被ったほとんど裸の人物······正義の仮面さんがいました。

 何故こんなところに?

 そして何をしているのでしょうか。













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