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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第四章 スミレの故郷 幻獣人族の里
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219 神樹の元での戦い

(フウゲツside)


 里の守りはユヅキ達に任せて私はゲンライ達が向かった神樹の元に急いだ。

 襲いかかってくる魔物を蹴散らしながら先を急ぐ。



 神樹の元に近付くにつれて戦闘音が激しくなっていく。ゲンライ達が魔人族と戦っているようね。

 神樹の根元までたどり着いた。

 天まで届くかと思うくらいの大樹。

 神樹グランフォネスト。


「ぬおりゃああーーっ!!」


 ゲンライが力任せに魔物を投げ飛ばしていた。

 他の護衛役もゲンライを守りながら魔物と戦っている。



 魔物は里を襲っているのよりも強い力を感じるわ。やっぱり神樹が本命だったようね。

 トロールキングにネオサイクロプス······大型の魔物の中でも上位の奴らだわ。

 そしてそれらを率いてきたと思われる魔人が一体。


「どうした魔人族よ!? この程度で儂らをどうにかできると思っていたのか!」


 ゲンライは心配なさそうね。

 他も油断さえしなければ大丈夫そうだわ。


「チッ······さすがは高い戦闘能力を持つと言われているだけあるな。人族の国ならば余裕で落とせる程の戦力だというのに」


 全身が黒く染まった皮膚の男。

 私達とたいして変わらない体型だから大型の魔物と比べると小柄に見えるわね。

 魔人族はコイツ一人だけみたい。


 見た所この魔人は魔物を操るスキルを持っているようだけど、コイツ自身の戦闘能力はたいしたことなさそうね。

 周囲の魔物も強力だけどゲンライ達を倒せる程じゃない。

 心配のしすぎだったかしら?

 まあ杞憂に終わればそれが一番なのだけど。


「ゴアアアッ!!」

「させないわよっ」


 私はゲンライ達に襲いかかった魔物を「風」魔法で切り刻んだ。


「む、フウゲツも来たのか。里の方はどうした?」

「ユヅキ達に任せたわよ。スミレちゃんにシノブちゃん達も手伝ってくれてるから心配いらないわ」


 ゲンライの質問に簡単に答えた。

 客人の手を煩わせるわけにはいかないとか言っていたけど、そんなこと言ってる場合じゃないのはわかってるみたいで特に反論はなかった。


「それよりも貴方が元凶の魔人ね? ずいぶん良い度胸ね。こんな魔物で私達の里を落とせると思ってたの?」


 私がそう言うと魔人は一瞬苦々しい表情をしたけどすぐに平静になった。


「舐めるなよ幻獣人族。俺は魔神様の加護を受けている······貴様らごとき俺一人で充分だ」


 虚勢? それとも本気で言ってるのかしら?

 この魔人からはそれほどの力は感じないけど。

 魔神の加護······ね。

 魔人族の崇める神はディヴェードだったかしら?


「あらそうなの。でも私は()()()()()()を受けているのよ」


 言うと同時に私は魔人に攻撃を仕掛けた。

 問答無用で里に攻めてきたのだから今更話し合いや遠慮は無用よね。

 残っていた魔物が魔人を庇うように動き私の攻撃を受けた。


 もうゲンライ達の手によって周囲の魔物はほとんど倒されている。


「ふん、魔神様以外の神など所詮紛い物にすぎん! 今その力の違いを見せてやろう」


 紛い物ねえ?

 どちらかと言うと魔神の方が()()()()の中では異質だと思うのだけど。

 魔人はそう言うと倒れている魔物に手をかざした。魔物は魔人の身体に吸い込まれるように消えてしまった。

 まさか魔物を吸収して取り込んだの?


「っっっ!! おおおっ」


 魔人は倒れていたすべての魔物をその身に取り込んだ。正気なの?

 これだけ強力な魔物を吸収するなんて。

 魔物を吸収したことで魔人の身体に変化が起きる。

 筋肉が肥大化して膨れ上がり、魔物同様の巨体になっていく。


 確かに虚勢ではないくらいの力を発するようにはなったわね。

 でもそんな力、本当に制御できるの?


「クハハハッ! さあ貴様らを血祭りにあげてくれる!」


 魔人はその巨大な腕を私に振り下ろしてきた。

 ゲンライが私の前に出て魔人の腕を止めた。


「ぬぅおおっ!!」

「フンッ、邪魔だ!」


 魔人は力任せにゲンライを吹き飛ばした。

 今の魔人の力はゲンライを上回るようね。


「「「(おさ)っ!!」」」


 ゲンライの護衛達が魔人を取り囲む。

 そして一斉に攻撃を仕掛けた。


「貴様らなど今の俺の相手にならぬわっ!」


 魔人は両腕で護衛達をなぎ払った。

 ゲンライを上回る力にはさすがの護衛達も抑え切れないみたい。

 まあでもこの程度なら死にはしないでしょう。


「ぬはははっ!! 少しはできるようだな! ならば儂も本気でゆくぞっ!」


 ゲンライが立ち上がり魔人に向かっていった。

 本気といっても(真·覚醒)スキルは温存しているわ。あれは一時的に圧倒的に強くなれるけど効果が切れるとしばらく動けなくなるからまだ使う時ではないと判断したようね。

 (幻獣化)するかもまだ様子見するみたいね。



 ゲンライと魔人が攻防を繰り広げる。

 力は魔人の方が上回っているようだけど戦闘技術はゲンライが上みたいね。

 息もつかせない程の連続攻撃で魔人をどんどん追い詰めている。

 魔人は防戦一方になっているわ。


「獅神剛爆掌!!!」

「ぐおああっ······!?」


 ゲンライの奥義が直撃して魔人に大きなダメージを与えた。

 これで勝負ありかしら?






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