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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第四章 スミレの故郷 幻獣人族の里
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211 幻獣人族の里の露天風呂

 幻獣人族の里に温泉があったのでせっかくだから入ってみることにした。

 当然ながら男女別々だ。


 オレとユヅキ。

 シノブとスミレに別れて中に入る。

 スミレが男湯に入ってきそうになったのをシノブが止めていた。



 他に使っている人の姿はなくオレ達だけみたいだな。

 脱衣場で服を脱ぎ、風呂場に向かう。

 一応腰にタオルは身につけておいた。



 里の温泉は空を眺めることの出来る露天風呂だった。何十人も入れそうなくらいのかなりの広さだ。

 さすがにシャワーなどの設備はないが充分立派な作りだ。


「レイ達の土地にあった温泉にも負けてないだろ?」


 ユヅキが少し得意気に言ってきた。

 確かにオレ達が作った施設よりもむしろ立派かもしれない。

 ちょっと悔しいと思ったのは内緒だ。



 お湯で身体を軽く洗ってから天然温泉に浸かる。

 石鹸などはないようなので持参したものを使った。


 やはり天然の温泉は良いな。

 気分的なものかもしれないが普段よりも癒される気がする。


「なあユヅキ、スミレの両親っていないのか?」


 温泉に浸かりながらユヅキに気になっていたので聞いてみることにした。

 スミレだけでなくユヅキの両親も気になるが。


「気になるのか?」

「······まあね。話しにくいことなら聞かないけど」


 何か特別な事情があるかもしれないからな。


「話しにくいってわけじゃないけど······そうだな。この里に魔王軍が攻めてきた話は聞いただろ? その戦いでな······」

「ああ······そういうことか······」


 なるほど······ユヅキの言い方から察するにかつての魔王軍との戦いで犠牲になってしまったのか。

 スミレは両親がいなかったのか。


 ············ん? ちょっと待て。

 魔王軍が攻めてきたのって何百年も前の話だよな?


「スミレって年はいくつなんだ?」


 フウゲツさんも見た目は若いが年齢不詳だった。

 幻獣人族は普通の人間と違って何百年も生きられる種族なのだろうか?

 スミレもシノブと同じくらいに見えるが実際はもっと上、下手したらオレよりも年上なのかもしれない。

 だとしたら見た目はお爺さんの長って何歳なんだろう。


「スミレはおれより三つ年下でな。今年で············」



――――――――ガララッ


 ユヅキと話していたら入り口の扉が開き誰か入ってきた。


「ユヅキにレイとやらか。お主らも来ていたのか」


 入ってきたのは幻獣人族の長だった。

 アイラ姉達との話は終わったのかな?


「長も入りに来たのかよ」

「アイラ嬢とエルフの娘達も来ているぞ。向こうでフウゲツが案内しておる」


 ということはシノブとスミレと鉢合わせたかな。

 全員で温泉タイムになったわけか。

 ここはアルネージュや王都の温泉施設のように防音されていない。

 確かに女湯の方からアイラ姉達の声が聞こえる。

 まあ会話内容までは聞こえないが。


「レイよ。アイラ嬢からある程度話は聞いた。スミレがずいぶんとお主に懐いているようじゃな。女性に手が早く今回のように誤解されることも多いともな」


 ············一体どんな話をしたんだアイラ姉?

 否定できないのが少しツラい。


「スミレが儂と同等以上の力を身につけた経緯も聞いた。加護とやらについてもな。異世界人であるお主らと絆を深めることで力を与えられるらしいな」


 加護についても話したのか。

 まあフウゲツさんもある程度知っていたし問題ないか。


「ああ、おれも気になってたんだよな。スミレの奴とんでもなく強くなってたし。その加護ってどうすればもらえるんだ?」


 ユヅキが答えにくい質問をしてきた。

 隠すことじゃないけどどう言えばいいんだ?


「えーと······仲良くなるというか、深い関係になればスキルが付くんだよ」

「へえ~、深い関係か。ってことはエイミとミールの二人のエルフとレイは()()()()()()ってことか? あの二人に加護を与えたのはレイなんだろ?」


 そういえばミールがオレから加護を受けていると暴露していたっけ。

 ユヅキはそれを聞いていたな。


「············スミレは誰から加護を受けているのじゃ? アイラ嬢か、それともシノブ嬢ちゃんか? まさか······」


 長が低い声で聞いてきた。

 何かまずい雰囲気だ············。

 正直にオレだと言って大丈夫だろうか?


 黙っているオレを見て長は察したようだ。


「スミレを奴隷として扱っていないというのは理解した。だが深い関係とはスミレに何をした? まさかスミレに手を出し······」


 またヤバい雰囲気になってきた。

 どうしよう······何をした、というよりオレは()()()方なのだがそんなこと言っても火に油を注ぎそうだ。

 そう思ったがすでに遅かったようだ。


「やはりお主とは一度拳を交える必要がありそうじゃな! スミレにふさわしい男か儂自ら見極めてくれるわ!」


 長の全身から魔力、いや闘気(オーラ)が溢れ出した。

 さっきスミレと闘ったばかりなのに元気な人だな。

 というかここで闘う気なのか!?

 オレは温泉でゆっくりしたかっただけなのだが。

 そう言った所で聞いてくれそうにない。



 ユヅキも無駄だと思っているのか止める気はなさそうだ。






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