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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第四章 スミレの故郷 幻獣人族の里
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197 テンプレは続く

(ミールside)


 スミレさんの故郷に行くために別の国のクラントールという町まで来ました。

 しかしこの町、色々に酷い町でした。


 食糧不足のため町の一般人は今日食べる物も困る生活をしているようです。

 奴隷時代のワタシ達よりも酷い生活かもしれません。



 自給自足をしようにもあまり良い土地ではありませんし、高い税を取っているため外からの商人もほとんど来ないそうです。

 この町の領主は何を考えているのでしょうか?


 さすがに黙っていられなくなったアイラさんとレイさんが自給自足できる土地を買うために商業ギルドに向かいました。


 ワタシ達はその間、町の教会で待機しています。

 この町の教会は王都の教会よりも孤児が多いですね。




「ほら、みんな仲良くね」


 姉さんが子供達を相手にしています。

 子供相手だと緊張したりしないのですよね。

 王都ではこういった依頼を何度も受けているので慣れています。

 まあ今日は依頼を受けたわけではありませんが。


「拙者にも任せるでござる」

「······ボクもやる」


 シノブさんとスミレさんも一緒になって遊んでいます。エンジェさんも同様ですね。

 子供達は痩せていますが元気はあるようです。


 教会の方々が頑張って食糧を確保しているのでなんとか生活できているみたいです。

 こうして比べてしまうと王都はずいぶん恵まれているようですね。








 しばらくそうして時間を潰していると、レイさんとアイラさんが戻ってきました。

 商業ギルドでの交渉はうまくいって、土地を手に入れたようです。


 さっそくその土地に行ってみると、すでにアルネージュにあるような作物が実っていました。

 土地の規模も結構広いです。


 そんなに時間が経ってなかったはずですけど、もうやることを終えたのですか?


「初めてじゃないからアイラ姉と二人でさっさと完成させたよ」


 レイさんが何でもないように言いますけど、これ普通にやったら年単位で時間がかかることですよ?


「············ん、おいしい」


 スミレさんが実っているリンゴをさっそく食べています。

 他にも色々な作物がありますけど種類はアルネージュの半分くらいですかね。

 充分すぎるくらいですけど。


「アイラ殿、それでこの作物をどうするでござるか? 商業ギルドに売り込むでござるか?」

「いや、これらは無料で配ることにしよう。あくまでも近所の住人にお裾分けする感覚でな」


 シノブさんの問いにアイラさんがそう答えました。

 売り出せば強欲な領主に税を取られますし、それに一般の住人はあまりお金を持っていないだろうとのことです。

 ワタシ達の目的はお金儲けではありませんからね。


 ついでと言わんばかりにアイラさんは家も建てて、ワタシ達はこの町にいる間はそこに住むことになりました。



 初めは突然出来た作物や果実が実る土地に町の住民は驚いていましたが、無料で配ると宣伝すると頭を下げて受け入れてくれました。


 レイさん達の作った作物はとても美味しく栄養たっぷりですからね。

 王都でも高級品扱いなんですよ。







 それから二日ほど経ちました。

 ユヅキさんはまだ戻ってきていません。


 レイさん達が手に入れた土地の噂は町全体にまで広がったようで遠くの地区からも作物を分けてほしいという希望者が来ます。


 中には盗もうとしたり強盗まがいの輩が現れたりしましたがアイラさん達をどうにかできるはずもなく撃退されていました。


「食べ物が欲しい人はちゃんと並ぶですです!」

「マスター様からの慈悲です。感謝の気持ちを忘れないように」


 さすがにワタシ達だけでは手が回らなくなってきたので、レイさんがダンジョンコアから助っ人を召喚していました。


 ディリーさんとアトリさんがやってくる住人達を整列させています。

 彼女達(正確にはスライムなので性別はありませんが)はこう見えてレベル200近い実力なので粗暴な人が来ても問題なく対応できます。


 ディリーさん達の他にもレベル60~90の方も数人召喚して人手不足は解消されました。


 メイド姿の方達を召喚したため、レイさん達は他国の貴族だと勘違いされていますけどね。




 食糧が行き渡ったためか殺気立っていた町の雰囲気が少し和らいだ気がします。

 しかしどこにでも野暮な輩は現れます。


「この屋敷の主人を出せ! この土地の作物は我々が管理する!」


 身なりの良い格好の男が衛兵達を引き連れてやってきました。

 多分貴族、それもかなり位の高い人みたいですね。ワタシ達と同じか少し上くらいの若い人ですけど。

 周囲の人々が萎縮するように道を開けます。


「やれやれ······またこの手の輩が現れたか」


 アイラさんがうんざりした表情で前に出ました。

 レイさんもそれに続きます。



 こういう人物の相手は疲れそうで申し訳ないのですが、ここはアイラさん達に任せましょう。






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