表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第四章 スミレの故郷 幻獣人族の里
237/736

191 移動手段の確保

 幻獣人族の里への旅を短縮するために転移魔法を使えそうな人に当たることにした。

 迷宮攻略組なら全員魔力が一万を超えているし、誰か使えるようになっていてもおかしくない。


 まあ、使えても幻獣人族の里に行けるとは限らないが。聖女のルナシェア達が有力かな。

 とりあえずオレだけで王都に戻って確かめに行くことにした。






「おお、我がマスターか。それならワシが使えるぞ?」


 まずは学生寮まで転移したのだがそこでエンジェと鉢合わせた。

 そして事情を説明して聞いてみたらあっさりそう答えた。


 そういえばエンジェの魔力は初めて会った時から一万を超えていたっけ。

 エンジェは転移魔法を使えるようだ。


「エンジェって幻獣人族の里に行ったことあるの?」

「里に入ったことはないが、近くの町などは転移可能じゃぞ。ワシは一時期世界中を旅したことがあったからのう」


 金髪ゴスロリ少女の姿だから忘れがちになってたけど、エンジェって長い年月を生きる古代種だったな。

 ルナシェア達に確認する前にもう解決してしまった。


 拍子抜けした感があるがまあいいだろう。

 ルナシェア達は聖女として忙しいだろうしよかったのかもな。



 戻ってすぐにエンジェを連れて再びアルネージュまで転移した。






「というわけでエンジェが里の近くの町まで転移できるらしい」


 アイラ姉達に報告してユヅキにエンジェを紹介した。エンジェが古代種のスライムだと聞いてかなり驚いていた。


「て、転移って······そんなこと出来るのかよ。さすがは古代種だな······」


 ユヅキが言う。

 まあ転移はエンジェだけでなくオレ達も出来るんだけどわざわざ言わなくていいか。


「フム、それならば明日にでもスミレの故郷に向かうことにしようか」


 アイラ姉の言葉に異論はない。

 そろそろ日が暮れる時間だし出発は明日でいいだろう。


 今日の所はオレ達もアルネージュの家で泊まるとしようか。

 部屋は余っているしユヅキも泊めることにした。

 今までは野宿していたらしい。


 お腹もすいてきたし夕飯の準備をするか。

 今日はオレとアイラ姉とシノブ、三人で食事を作ることにした。

 アルネージュの自宅だと食材も豊富だし作りがいがある。


 スミレとエアリィ、エンジェも手伝いを申し出てきて、ユヅキもさすがに何もしないのはどうかと思ったらしく結局全員で食事の準備をすることになった。

 おかげでずいぶん豪勢な夕飯となった。



「「「「「「いただきます」」」」」」

「い、いただきます······?」


 準備も終わり全員で手を合わせる。

 ユヅキだけは戸惑いながらも同じように手を合わせて食事を始めた。


 うん、美味しいな。

 やはりアルネージュの食材は格別だ。

 王都の料理もまずいわけではないんだが。


「かかっ、マスター達の作る料理は絶品じゃのう」


 エンジェもアルネージュで食事をするのは初めてだったな。

 スライムは雑食で基本何でも食べるらしいがエンジェは王都でも人間の食事を好んで食べていた。


「······うめえっ、久しぶりにまともに食べれた」


 ユヅキは感動したように食べていた。

 不定期に作物を盗ってそのまま食べていたらしく、まともに調理した料理は久しぶりだそうだ。


「······ん、最高」


 ユヅキよりもスミレの方が食が進むのが早いようだが。



 食事をしながらの雑談で幻獣人族の里がどういう所なのか聞いてみた。

 ユヅキの話を聞いた印象だと自給自足が基本の田舎村といった感じかな。


「スミレ殿の故郷、楽しみでござるな」

「······あんまり面白いところない」


 シノブはスミレの故郷に興味津々だな。

 まあオレも楽しみだ。

 もしかしたら元の世界に帰る手がかりも見つかるかもという期待もある。

 スミレはあまり帰りたくなさそうだが。


「アタシは留守番してるからお土産よろしくなノヨ」


 エアリィはちゃっかりしているな。

 エアリィの故郷の妖精族の里もいつかは行ってみたいな。




 食事の後片付けも終えて風呂に入ることにした。

 アルネージュの風呂を使うのも久しぶりだ。

 普段は孤児院の子供達に管理を任せて一般人にも解放している。


 学園に作ったのと違い男女で建物が分かれている。

 アイラ姉達は女性用の建物に向かい、オレとユヅキは男性用の方に向かった。


「······ユヅキって本当に男なの?」

「まだそんなこと言ってんのかよ! 男に決まってんだろ!?」


 いや、悪いが見た目ではわからない。

 というより見た目は女の子にしか見えない。


「それにしてもこの町にも温泉施設なんてあるんだな。他の町もいくつか回ったけど見かけなかったから、ウチの里だけかと思ってたぜ」


 ユヅキがそんなことを言った。


「幻獣人族の里にも温泉施設があるのか?」

「ああ、あるぜ。自然に涌き出てくるお湯を利用してるとか言ってたかな」


 へえ~、つまり天然温泉か。

 お風呂すら珍しいこの世界でもそういう所があるのか。そういやスミレは風呂のマナーを教えなくてもある程度知っていたな。

 故郷に似たような施設があったからなのか。



 ユヅキが脱いだ着物を丁寧に畳んでいる。

 男と言っていたけどその仕草も女の子にしか見えないんだが。


 変なこと考えてないでオレも早く脱いで入るか。

 ユヅキがオレの身体を顔を赤らめながら見てきた。


「ユヅキ、男同士でもジッと見られると恥ずかしいんだけど」

「いや、悪い。さっき変な男に酷い目に合わされてな······。レイの身体が少し似てた気がしたからつい······」


 変な男······正義の仮面のことだよな。

 本人ですとは言えない。

 ユヅキも正体がオレだとは気付いてないようだ。



 微妙な空気を振り払うようにオレとユヅキは風呂に入った。

 ちなみに生まれたままの姿を確認して、ユヅキは確かに男だったと追記しておく。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ