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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第四章 スミレの故郷 幻獣人族の里
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189 スミレとユヅキ

 元の姿に戻ったオレはスミレを捜して事情を説明してから家まで戻ってきた。

 やはりというかスミレとおれっ()は知り合いだったようだ。



「······ユヅキが作物泥棒?」


 スミレが言う。

 おれっ娘はユヅキという名前のようだ。

 まあ鑑定で表示されてたから知っているけど。


「や、やっと見つけたぞスミレ! ずっとお前のことを捜して······」

「ユヅキといえど作物泥棒は死すべし」

「え、ええーっ!? ま、待てよスミレ······」

「問答無用」


 スミレを見て表情が緩んだユヅキだったが、スミレの反応に驚愕の表情に変わる。

 感動の再会とはいかなかったようだ。


 作物泥棒の件に関してスミレは相当にお(かんむり)のようだ。

 オレとシノブでスミレを宥めた。


 それにしてもスミレをずっと捜していた、か。

 ひょっとしてこの子もスミレ同様に里を追放されたのかな?






 その後アイラ姉もやってきて事情を説明して、問題の作物泥棒、ユヅキの事情聴取となった。


「フム、つまり作物泥棒を捕まえたらスミレの知り合いだったと」


 状況を把握したアイラ姉が言う。

 ユヅキはさっきまでのふてぶてしい態度は無くなり緊張した表情だ。


 一応オレ達はそれぞれ自己紹介をした。


「おれはユヅキ、です。里ではスミレの教育係をしてい······ました」


 どうやら敬語は苦手のようだ。

 アイラ姉が無理に話さず普通でいいと言った。

 オレ達とスミレの関係を説明し、ユヅキからも事情を聞いた。



 ユヅキの話を簡単に纏めると里から出たスミレをずっと捜していたようだ。

 (気配察知)のスキルを頼りにスミレの気配を探し、この町にその気配が濃く残っていたので探っていたらしい。


 作物泥棒をしていたのは単純にお金が無く、稼ぐ方法もわからないためだったらしい。

 ユヅキも里を出るのは初めてで外の世界の勝手がわからなかったようだ。


「でもスミレは里を追放されたんじゃなかったっけ?」


 オレはそう確認するとスミレはコクリと無言で頷いた。里を追放されたスミレを何故捜していたんだ?


「追放? ······追放······ああ、そういえばそんな話だったな。けどそんなのどうでもいいんだよ」


 いや、良くはないだろう。

 どういうことだ?

 追放されたと聞いていたがユヅキの反応を見るとそこまで深刻な問題ではなかったのか?


「というわけで帰るぞスミレ! 長がどれだけ心配してると思ってんだ! お前だって里に戻りたいだろ?」


 つまりはユヅキはスミレを迎えに来たようだ。

 追放されて二度と帰れないと思っていたらまさかの迎えが来たわけか。

 しかしスミレの反応は別だった。


「············嫌、帰らない」

「············は?」


 帰ることを拒否するスミレ。

 そして心底理解できないといった反応のユヅキ。


「ボクは外の世界で生きていく。もう里に帰るつもりはない」


 どうやらスミレは外の世界での生活がよほど気に入っているようだ。

 まあもともと追放されたことを気にしていなかったみたいだが。


「いやいやいや、何言ってるんだよスミレ!? せっかく帰れるチャンスなんだぜ!? 二度と帰れなくなってもいいのかよ!?」

「············構わない」


 ユヅキが慌てて言うがスミレは淡々と言い返した。

 ユヅキはスミレのこの反応は予想外だったようで心底困った表情をしている。


「お爺ちゃん達に言っておいて。もう会うことはないだろうけどお元気でって」

「言えるかっ!! 長からはお前を連れ戻すよう厳命されてるんだよ! そんな報告したらおれが殺されるだろ!?」

「大丈夫、ユヅキが怒られれば済むこと。ボクはそれでいい」

「良くねえよっ!!」


 普通は追放された方が帰らせてくれと頼むんじゃないかな?

 立場が逆な気がするのだが。

 オレもアイラ姉もシノブも、そしてエアリィも二人のやり取りを見守った。

 状況を完全に把握出来てないので下手に口を出すのもな。



「と、とにかく戻って来い! 一度里に帰れば······」

「いや」

「長や他のみんなもお前を心配してたんだぜ? だからここは素直にだな······」

「いや」

「せめて一度くらい顔を出して······」

「い・や・だ」


 スミレは結構頑固だからな。

 頑なに首を横に振り続けている。



「だったら力ずくでも連れて帰るぞ! 何ヵ月もかけてようやく見つけたのに引けるかよ!」

「上等、返り討ちにする」

「スミレ、お前体術でおれに勝ったことねえだろ。なんでそんなに自信満々なんだよ?」


 しびれを切らしたユヅキが実力行使に出るようだ。

 確かにユヅキのステータスは初めて会った時のスミレよりも遥かに上だ。

 けど現在は············。



[スミレ] レベル455

〈体力〉82200/82200

〈力〉34200〈敏捷〉41800〈魔力〉27950


〈スキル〉

(幻獣化〈✕〉)(身体強化〈極〉)

(同時詠唱)(暴食)(強化再生)

(異世界人の加護〈小〉)



 これが今のスミレのステータスだ。

 冥王を倒した影響で凄まじくレベルアップしている。ユヅキは鑑定魔法を使えないのかな?




 当然、今のスミレに敵うはずもなく、数分後には完膚なきまでに叩きのめされたユヅキの姿があった。





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