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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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勇者(候補)ユウの冒険章④ 3 魔道具専門店トゥラヴィス

―――――――――(side off)―――――――――


 次の日、ユウ達は王都の町並みを見て回っていた。

 エレナは今日は家族水入らずで過ごすので町を回るのはユウ、テリア、ミリィ、マティアの四人だ。



 今日はエレナの両親は貴族の仕事がお休みらしく病気が治り、ようやく普通の生活を送れるようになったエレナの家族団欒を邪魔しては悪いとユウ達が遠慮したのだ。


 エレナ達は気にしなくてもいいとは言っていたが。というわけでユウ達は王都の商店街を回っていた。






「そういえば王都にはレイさんやアイラさん達も来てるはずなのよね。どこに住んでるのかしら?」


 テリアが言う。

 以前のお礼をちゃんと言えてなかったので直接会って言いたいようだ。


「あ~、あの常識外れの三人組ですかぁ。まだ王都にいるとは限らないんじゃないですかぁ?」


 ミリィの言う通り、ヴィーラルの町で予定よりもずいぶん長居をしてしまったのでまだ彼らが王都にいるとは限らない。

 とっくにアルネージュの町に帰っている可能性がある。


「ぼくも色々迷惑かけちゃったから一言謝りたいんだけどね」


 ユウもテリアのように直接謝罪とお礼を言いたいようだ。


「············ふあ······」


 マティアはあまり関心なさそうにあくびをしていた。


「あーー! ユウ君達だ!」


 色々な店を回っていたら騒がしい声が聞こえた。

 昨日魔物から助けた女性リーナだった。


「こんにちはお姉さん。買い物かな?」


 ユウが笑顔でリーナに挨拶する。

 リーナも同じく元気良く返してきた。


「うん、そうだよー! 買い出しが終わって帰るところだったの。ユウ君達も買い物?」

「わたし達は王都は初めてだから色々見て回ってるのよ」


 テリアが答える。


「だったらウチの店にも来てよー! 色んな魔道具が置いてあるから退屈しないよー!」





 リーナの案内で魔道具専門店〝トゥラヴィス〟に着いた。

 それほど大きな店ではないが大通りから近く、それなりに良い場所だ。


「たっだいまーっ! 帰ったよ、リーア!」


 リーナが元気良く中に入る。

 それに続いてユウ達も中に入った。


「おかえりなさいませお姉様。おや、お客様ですか?」


 店の中では一人の女性が店番をしていた。

 リーナよりも幼い顔立ちでユウ達と同じか少し下くらいの年齢に見える。


「紹介するね。この子はリーア! あたしの自慢の妹だよー!」


 リーナが紹介し、ユウ達もそれぞれ自己紹介をした。昨日のリーナと出会った経緯も説明する。


「そういうことがあったのですか。姉がご迷惑をおかけしましたわ。お姉様が紹介しましたがわたしはリーア。よろしくお願いいたしますわ」


 リーナの妹、リーアが丁寧にお辞儀した。

 騒がしい姉のリーナと違い、比較的静かで礼儀正しい子だ。


「この店って二人だけでやってるの?」


 ユウが店内を見回して言う。

 他に店員の姿はない。

 客はそれなりに入っているが。

 それほど大きくない店といっても、経営するには二人はまだ幼いように感じる。


「去年、わたし達の親代わりだった親方が亡くなってしまい、それ以来わたしとお姉様の二人で経営していますのよ」

「そうだったの······変なこと聞いちゃってごめん」

「いえ、気になさらないでください、ユウさん」


 リーアは特に不快に思うことなく言う。

 ()()()()ということは本当の両親はどうしているのだろうか、と気になったがユウ達はあえて聞かなかった。


「それにしても色んな魔道具がありますねぇ。これ全部二人で作ってるんですかぁ?」


 ミリィが店内の商品を手に取り言う。

 様々な魔道具があり、何故か☆印と✕印の物がある。


「☆印はわたしが作ったもので✕印はお姉様の作ったものですわ」

「☆印はともかく······なんでこっちは✕印なのよ?」


 テリアが問う。


「☆印は効果保証付きの良品ですわ。✕印はお値段九割引きのサイフにやさしい粗悪品ですのよ。

尚、当店では✕印の商品に対するクレームは一切受け付けておりませんわ。使用は自己責任でお願いします」


 リーアがニッコリと微笑みながら説明した。


「ち、ちょっとリーア! 粗悪品はいくらなんでも酷いよーっ!? ただちょっと説明文と効果が違うだけじゃん!?」


 リーナがリーアの説明に抗議する。


「そうですわねお姉様。最近の苦情は野営のために火を点けようと〝発火符〟を使用したら突風が起きてテントまで吹き飛んでしまった、とか」

「あ、あれは炎系と風系の配合を間違えただけだよーっ!」


「他には魔物を眠らせるために〝催眠杖〟を使用したら混乱してしまい眠らせるどころか手がつけられないほどに暴れだしてしまった、とか」

「えーと······それは············」


「後は洞窟の中を明るく照らすために〝太陽灯〟を使用したら大爆発を起こし洞窟全体が崩れてしまった、とか」

「············うー······」


 リーアの言葉に返す言葉の出ない姉のリーナだった。幸いにも致命的な被害は出なかったらしいが、そんなものを売り出してよく店が潰れないものである。


「ねえねえ、他にはどんな魔道具があるの?」


 ユウが目をキラキラさせながら言う。

 店の魔道具に興味津々のようだ。


「お試しに効果を確認致しますか? お姉様が実践して使って見せますわよ」

「え、あたし!?」

「他にもお客様がいますし、店のアピールですわよお姉様」



 リーアの言葉に驚いた反応のリーナ。

 リーアは気にした様子もなく笑顔で言った。







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