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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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175 冥王の異変

 (聖剣術)のスキルを得たことで格上の冥王相手に大分有利に戦うことが出来ている。

 やはり「聖」属性は他の魔法よりも威力が桁違いだ。


 オレとシノブはアイラ姉を援護する形で冥王を攻めている。


〈解放条件を満たしました。新たなスキルを手に入れました〉


 お、さらに新たなスキルが手に入った。

 エリートグールが持っていたやつと同じ(連携)のスキルだ。



(連携)

味方と力を合わせることで攻撃の威力が大幅に上昇する。



 よし、これでさらに有利に攻められるぞ。

 アイラ姉とシノブも同じスキルを得ていた。

 しかしずいぶん簡単にスキルが手に入るな。

 やはり格上を相手にすると得られる経験値が高いからか?


「図に乗るのもそこまでだ」


 冥王が魔法を放った。「闇」属性の範囲魔法か?

 床から鋭い針のような棘が無数に突き出してきた。



―――――――!!!


 数が多く避け切れなかった。

 いくつかの棘がオレの身体を貫いた。

 ()っ······。


 突き刺さった棘を引き抜き、冥王から距離を取った。痛覚が軽減されているのか痛いと言っても我慢できないほどじゃなかった。

 身体の傷も(強化再生)の効果ですぐに治った。



 アイラ姉も言っていたが自分の傷が一瞬で治るのを見るとなんか人間やめたみたいな妙な気分だな。

 おっと、そんなことを気にしている場合じゃないか。

 アイラ姉とシノブは冥王の魔法を器用に避けていた。


「シノブ! 私に合わせろ!」

「承知でござる! アイラ殿」


 アイラ姉とシノブが左右から冥王を攻めていった。


「「破邪十字剣っ!!」」


 二人の剣技が冥王を斬り裂いた。

 冥王の身体から紫色の液体が吹き出す。

 「聖」属性の剣技のため、(眷属生成)スキルで魔物が生まれることはないみたいだ。


「ダークフォース」


 二人の剣技に怯むことなく冥王が両腕に魔力を集めて魔法を放った。

 とんでもないくらいの魔力が込められている。

 あれはヤバい······!


「レイ!?」

「師匠っ!?」


 オレは咄嗟に二人の前に立ち冥王の魔法を抑え込んだ。

 魔力を魔力で相殺············。

 だが冥王の魔力はオレよりも上だ。

 少しでも気を抜くと押し負けそうだ。


「うおおおーーっ!!!」


 力任せに魔力を解放して何とか相殺できた。

 「聖」属性と「闇」属性では「聖」の方が強いようだ。そのおかげで何とかなった。

 けど結構ヤバいな······。

 今のでかなり魔力を消費したため少しふらつく。


「我が魔力を抑え込むとは······我も本気を出す必要があるようだな」


 冥王がそう言うと目の前の空間から何かを取り出した。収納魔法か。

 取り出したのは死神とかが持ってそうな大鎌だ。



冥王の大鎌(デス·ハーケン)〉鑑定不能

(神眼)の効果が打ち消されました。



 くそっ······鑑定出来ないか。だが冥王の武器だ。

 聖剣クラスかそれ以上の力を秘めていると考えた方が良さそうだ。


「ハーケン·デス·ワルツ」


 冥王が大鎌を振るうと斬撃が飛んできた。

 なんとか避けたが床が抉れ、斬撃が当たった壁は大きく切り裂かれていた。

 あんなの直撃したら真っ二つになるな。


 冥王は二度、三度と斬撃を飛ばしてきた。

 アイラ姉とシノブもその攻撃をかわしたが、冥王は素早くシノブの背後に回り込んでいた。


「シノブ!?」


 冥王の大鎌がシノブを切り裂いた。

 寸前で気付き、回避行動をしていたため胴体が泣き別れすることはなかったがシノブの背中は大きく切り裂かれていた。


 オレは大急ぎでシノブの容態を見る。

 その間、アイラ姉が冥王を相手にしている。


「大丈夫か、シノブ?」

「······申し訳ないでござる。不覚を取ったでござる」


 すぐに特級ポーションで治そうとしたが、それよりも早く(強化再生)の効果でシノブの傷は治っていった。


 さすがは不死身と言われていた竜の持っていたスキルだな。

 あの時奪っておいて正解だったな。


「人族が再生能力を? どういうことだ······まさか女神の加護を受けているのか?」


 さすがの冥王も驚いているようだ。


「よそ見とは余裕だな! 弐の太刀············

紅葉乱舞撃っ!!!」


 アイラ姉が奥義で冥王を追い詰める。

 目にも止まらぬ連続攻撃に冥王も受け流し切れていない。


「シノブ、動けるか?」

「心配かけて申し訳ないでござる。もう大丈夫でござるよ!」


 シノブの傷はすっかり回復していた。

 治ったとはいえ、あれだけ酷い傷を受けたのに冥王を恐れている様子も見られない。

 よし、それならアイラ姉の援護に行こう!


 アイラ姉は休むことなく剣技を出し続けて冥王を追い詰めていた。


「終の太刀············幻想無限桜(げんそうむげんざくら)!!!」


 アイラ姉最大最強の奥義だ。

 アイラ姉の放った一閃が冥王の身体を大きく斬り裂いた。

 その上「聖」属性の効果で冥王の身体は再生することなくボロボロと崩れている。


「さっきのお返しでござる! ホーリーブレス!!」


 さらに追い打ちでシノブが「聖」魔法を放った。

 さすがの冥王でもかなり効いてるようだ。

 あと一押しだな。


「アイラ姉、シノブ! 離れて!! くらえっ!! 蒼牙閻彗翔!!!」


 トドメにオレは(聖剣術)の奥義を放った。

 前にルナシェアが使っていた強力な剣技だ。

 オレのありったけの魔力を聖剣に込めて冥王に振りかざした。



――――――――――!!!


「こ、こんなことが············冥王たる我が生者に敗れるなど······」


 さすがにしぶとい············。

 まだ〈体力〉がそれなりに残っている。

 まだまだ追い打ちをかけるべきか······。



――――――――ピシッ


 その時、邪気を集めていた容器に異変が起きた。

 容器に亀裂が走り邪気が漏れ出している。


「······!? 特異点が······っ」


 冥王が慌てたような素振りを見せる。

 確かに何かヤバそうだ。

 儀式とやらに力の大半を割いているということだったがオレ達との戦いで集中出来なくなったのか?


「············このままでは······くっ、やむを得ん······!」


 冥王が容器ごと邪気をその身に吸収していく。

 容器の邪気だけじゃない。

 迷宮中の邪気を············いや、迷宮そのものを吸収している!?


「なんだ? 何が起きている?」

「冥王の様子が変でござるよっ」


 アイラ姉とシノブも異様な雰囲気に攻撃を中断して下がった。


 ん、冥王のステータス表示が!?


745······822······879······955······992············――――――――――――――――――――


 冥王のレベルがすごい勢いで上がっていき、ついに鑑定出来なくなった。

 ダウンしていたステータスが戻っているのか!?


 周囲の床や壁も消滅していってる。

 よくわからないがこのままここにいるのは不味い。


「アイラ姉! シノブ! みんなを連れて脱出しよう!」


 オレの言葉に二人が頷く。

 冥王の召喚した巨大グールと首無しグールはたった今倒し終えたようだ。


「冥王に何が起きている!?」


 リイネさんが聞いてきたがオレにもわからないから答えようがない。

 そんなことよりもすぐにここから脱出しよう。

 アイラ姉とシノブもそれぞれみんなの元に行く。


「「「転移!」」」


 オレ達は転移魔法を使い、みんなを連れて迷宮から脱出した。






 迷宮の外············学園のグラウンドに転移した。

 グラウンドには魔物の姿はもうなかった。

 セーラやリン、アルケミア達や騎士や学園関係者など魔物と戦っていた人達の姿はある。


「レイさん、皆さん!? 突然アンデッドが消えたんですけど迷宮を攻略出来たんですか!?」


 オレ達に気付いたリンが声をかけてきた。

 魔物の姿はないが禍々しい気配は消えていない。

 むしろ増大しているような············。


「いや、まだだ! とにかく一度ここから離れた方が―――――」



――――――――――!!!!!


 オレの言葉の途中で学園の校舎から禍々しい気配が吹き出した。

 学園の校舎は一瞬で跡形も無く消滅した。

 文字通りの消滅だ。

 何もなかったように更地になっている。


 校舎の中には誰もいなかったので人的被害はないがゾッとする光景だ。



 そして地面をすり抜けるように冥王が姿を現した。




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