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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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173 冥王との決戦

 冥王が眷属の巨大グールと首無しグールを召喚した。

 冥王だけでも勝てるかどうかわからないのに、さらにボス級のゾンビ2体とか反則だろ。



 巨大グールは20メートルはありそうな巨体なのに対して、首無しグールは体長数メートルくらいだが、どっちも同じくらいのステータスだ。



「ガアアアーッ!!」


 2体のゾンビが襲いかかってきた。

 首無しグールは首が無いから声は出せないようだ。そんなことどうでもいいか。


「ホーリーブレス!!」


 ルナシェアが前に出て「聖」魔法を放った。

 どんなに強くてもやはりアンデッドは「聖」属性に弱いようだ。


「アイラ! 雑魚はわたし達に任せろ! 悔しいがわたしでは冥王の相手にもなりそうにない」


 リイネさんが首無しグールに攻撃しながら言う。

 雑魚と言ってもその2体はレベル300近い相手なんだが············。


 他のみんなもそれぞれ2体のゾンビを相手にする。

 確かにみんなにコイツらを任せて、オレ達が冥王を相手にした方がいいか。

 2体のゾンビは強敵だが、数人がかりなら充分倒せるはずだ。


「レイ、シノブ!」


 アイラ姉に呼ばれオレとシノブは頷き合う。


「レイ、お前達にすべてを任せることになってすまない············俺達の力不足だ」


 ロディンが複雑な表情でそう言った。

 力不足ではなく相手が悪すぎるだけだと思う。


 異世界に来たばかりの頃に冥王に出会っていたら、戦おうなんて思わなかっただろうな。

 勝ち目はないし命懸けで戦う理由もない。


 けど異世界に来てからずいぶん経った。

 親しくなった人もたくさんいるし、見捨てて逃げるなんて選択肢はオレにはない。


 冥王のステータスは弱体化しているためオレ達よりも少し上なくらいだ。

 絶望的に差があるわけではない。

 充分勝ち目はある。



「心配いらない。任せろ、ロディン」


 オレは自信満々にそう言った。

 まあ半分は虚勢だけどな。

 最悪転移魔法でみんなを連れて逃げることも考えた方がいいだろう。



 首無しグールをリイネさん、キリシェさん、ロディン、スミレが相手にして、巨大グールをエイミ、ミール、ミウ、ユーリが相手にしている。

 ルナシェアは中心になって「聖」魔法で両方を攻撃している。



 そしてオレとアイラ姉とシノブの三人で冥王の前に立つ。


「まさか生ある身で冥王たる我に挑むとはな」

「その儀式とやら、力ずくでも止めさせてもらうぞ」


 アイラ姉がオリハルコンの刀を構えた。

 オレも聖剣エルセヴィオを、シノブはオリハルコンの小太刀をそれぞれ構える。


「レイ、シノブ。冥王とやらは今までの魔物のように力押しで勝てる相手ではない。私に合わせろ」

「わかってるよ、アイラ姉」

「承知でござる!」


 出し惜しみはナシだ。

 オレは強化魔法をかけられるだけかけてステータスを底上げした。

 もちろんアイラ姉とシノブにもだ。

 さらに聖剣エルセヴィオの効果も上乗せさせた。


「聖剣か。だがその程度では我が力を抑えるには至らぬ」


 確かに冥王のステータスが下がってる様子はない。


「真空斬っ!!」


 アイラ姉が剣技を放った。

 「風」の力で斬撃が冥王に向かっていく。

 冥王はいとも簡単に斬撃をかき消した。


「エンドレスフレイム!!!」


 オレは手加減無しで「炎」の最上級魔法を放った。

 ゾンビの皇帝や門番なら一瞬で焼き尽くすくらいの熱量を持った「炎」だ。


高貴なる(ノーブル·)風の大精霊(シルフィスフィア)


 冥王は「風」の最上級魔法で相殺してきた。

 「闇」属性以外の魔法も使えるようだな。


「とう! でござる」


 その隙を突いてシノブが小太刀で斬りかかった。

 しかし冥王はあっさりと攻撃をかわしてシノブを弾き飛ばした。

 オレは弾かれたシノブを支える。


「大丈夫か、シノブ?」

「申し訳ないでござる師匠。あの冥王とやらかなりの強さでござる」


 怪我は負ってないようだな。

 オレとシノブはすぐに体勢を立て直した。


「レイ!」

「ああ、わかってるアイラ姉!」


 オレはアイラ姉の刀に「聖」属性魔法をかけた。

 さらにアイラ姉は自身の魔力で効果を上乗せする。


「百花繚乱············桜花無双撃っ!!!」


 アイラ姉が奥義を放った。

 もともと強力な上に「聖」属性の力も加わっている。

 冥王といえど他のアンデッド同様に「聖」属性が弱点のはずだ。


「うぬ······っ」


 さすがに効いたようだ。

 冥王の身体が切り裂かれ紫色の液体が流れる。

 あれはオレ達人間で言う所の血だろうか?


〈条件を満たしました。(騎士の剣術)は

(聖剣術)に進化します〉


 アイラ姉の(騎士の剣術)スキルが(聖剣術)に変わった。

 上位スキルに進化したようだ。

 ルナシェアと同じ「聖」属性特化の剣術を使えるようになったのかな。


「これ程の力を持つ人族がいるとは············まさか

ディヴェードの策略か? いや、奴が人族に手を貸すとは思えぬ······」


 冥王が何か思案している。

 ディヴェードって誰だ?

 変なフラグを立てるのはやめてほしい。

 まあそんなことよりもやはり「聖」属性は有効のようだ。


「ホーリーリュオーラ!!」


 追い打ちにオレは「聖」の最上級魔法を放った。

 まともに浴びればゾンビの皇帝もひとたまりもなかった魔法だ。


闇の衣(ダーク·ヴェール)


 冥王の全身が黒いカーテンのようなものに包まれ「聖」魔法を防いでいた。

 黒いカーテンはすぐに消えたが冥王は無傷だった。

 やはり一筋縄ではいかないか。


 ならオレもアイラ姉のように武器に「聖」魔法をかけるか。

 直接攻撃ならダメージが入っていた。

 オレは聖剣に可能な限りの「聖」魔法をかけた。



〈解放条件を満たしました。新たなスキルを手に入れました〉


 お、オレにも(聖剣術)のスキルが手に入った。

 しかもいきなり〈レベル7〉になっている。

 集中すれば頭の中にどういう剣技が使えるのかはっきり伝わってきた。

 シノブもオレのように(聖剣術)スキルを手に入れていた。



 よし、これで大分有利に戦えるようになったな。



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