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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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170 好敵手

 学園地下迷宮最下層一歩手前でレベル300超えの強敵が現れた。

 オレ達とそんなに変わらない大きさの人型のゴーレムみたいな奴だ。



「侵入者よ、生ある者よ······去れ。この地はまもなく消滅する」


 人型のゴーレム············門番と呼ぼう。

 門番が言葉を発した。

 ゴーレム姿だった時のグラムのような中性的な声だ。


「喋れるでありますか?」


 ルナシェアが驚きの声をあげた。

 言葉を発する魔物を見るのは初めてではないが、やはり驚くな。

 しかし今聞き捨てならないことを言ったぞ。

 この地はまもなく消滅する?


「ここは人の住む領域だ。侵入者、いや、侵略者はお前達の方だろう?」


 アイラ姉が武器を構えて言う。


「理解している。だが、この地に特異点が現れた。冥王様はそれを欲している」


 特異点?

 何のことだかよくわからないな············。


「特異点とは何のことだ?」

「お前達が邪気と呼んでいるものだ。この地には濃密な特異点が数多く発生している」


 アイラ姉の問いに門番は素直に答えた。

 冥王が邪気を欲している?

 冥王が邪気を生み出しているわけじゃないのか?


「その話とこの地が消滅することに関係があるのか?」

「問答している時間はない。もう一度言う、去れ。冥王様は大事な儀式の真っ最中。何人(なんびと)たりとも近寄らせん」


 問答無用か············。

 話が通じるかと思ったが堅物タイプだな。

 言葉だけでどうにかなる相手じゃない。


「ならば無理にでも通してもらおう。侵略者はお前達の方だ。この地が消滅すると聞いて放っておくわけにはいかない」


 戦闘は避けられないか。

 アイラ姉の言葉に門番も剣を抜いた。


「冥王様の邪魔はさせられぬ。向かって来るのならば容赦はせぬ」


 そう言うと門番の姿が五つに分かれた。

 まったく同じ姿の門番が5体になった。



分身(わけみ)

体力と魔力を消費することで自らの分身を作り出す。



 このスキルか。

 本体と分身体4体に分かれたみたいだな。

 幻影とかではなく分身体にも実体があるみたいだ。


 分身体のステータスは本体の半分程だがそれでも充分に高い。

 スキルも本体とほぼ変わらない。

 反則的なスキルだな。


「私が本体と戦う。皆は分身体を頼む」


 アイラ姉の言葉に皆が頷く。


(神眼)スキルを持っているエイミ、ミール、ミウは問題ないがアイラ姉とシノブを除く他のみんなは奴を鑑定できず、どれが本体かわからないみたいだ。

 見た目はまったく同じだからな。


 アイラ姉に本体は任せてオレ達はそれぞれ分身体を相手にしよう。

 分身体のステータスならば2~3人がかりで充分戦える。


 オレとシノブは分身体を1体ずつ相手にして残りの2体は他のみんなに任せることにした。


 オレは聖剣エルセヴィオを構える。


「············」


 門番の分身体も無言で剣を構えた。

 分身体は喋れないのかな?

 (分身)スキルは武器まで再現できるみたいだな。攻撃力は半分になっているがそれでもオリハルコン製の武器に匹敵する。


 門番の分身体の持つ剣に魔力が集中していく。

 (闇剣術)とかいう剣術を使うみたいだな。

 名前からしておそらく(聖剣術)の「闇」属性版だろう。


「はあっ!」


 オレは聖剣を振るい先制攻撃で速攻で倒した。

 聖剣エルセヴィオの攻撃力は4500。

 さらに(勇者の闘気)の効果でオレのステータスが底上げされている。

 分身体のステータスじゃ相手にならない。

 倒れた分身体は霧のように消滅した。


 すぐに他のみんなの手助けをしようと向かったが······。


「············!? ······っ······」


 門番の分身体が2体とも消滅するところだった。

 全然心配いらなかったみたいだ。



〈スキルスティール発動。(分身)を手に入れました〉


「これで終わりでござる!」


 シノブも分身体を倒したようだ。

 しかも(スキルスティール)で奴の(分身)スキルを奪っていた。

 分身体からでもスキルを奪えるのか。

 忍者好きのシノブにはぴったりのスキルかもしれないな。

 というかオレも欲しいし後で付与してもらおうかな。



 それよりも分身体4体は倒した。

 後はアイラ姉が相手にしている本体だけだ。



 アイラ姉と門番が激しい攻防を繰り広げている。

 やはり本体は一筋縄ではいかないようだ。

 だがアイラ姉の方が圧倒している。


「生ある身でこれ程の力を持つとは」

「お前もなかなかやるではないか」


 結構いい勝負をしている。

 相手は魔物の一種のはずだが、まるでお互い好敵手を見るように言葉を交わしている。

 冥王の命令に従ってるだけでそんなに悪い奴じゃないのかも。


「だがこれで終わりだ。黒曜流(こくようりゅう)翠幻(すいげん)!!」

「ならば私も奥義で応えよう! 百花繚乱············

桜花無双撃!!」



――――――――!!!!!


 お互いの剣技がぶつかり合った。

 アイラ姉はもちろん、門番の剣技の威力も凄まじい。

 アイラ姉なら············大丈夫だよな?


「······っ」


 アイラ姉の肩から血が吹き出した。

 まさかアイラ姉が押し負けたのか!?


「············見事」


 門番の方は身体が完全に砕け散った。

 アイラ姉の勝ちのようだ。

 負けるわけないとは思っていたがびっくりした。



〈レベルが上がりました。各種ステータスが上がります〉


 お、レベルアップしたか。

 今のでオレのレベルは500になった。

 アイラ姉も594まで上がっていた。


「見事、は私のセリフだ。私もまだまだのようだな」


 砕け散った門番の破片を見ながらアイラ姉が言った。



 これで最後の門番は倒した。

 後は迷宮の最奧にいる守護者を倒すだけだ。




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