169 最後の門番
ゾンビ軍団を撃破してからは魔物も現れず一気に迷宮を進んでいる。
あれで迷宮内の魔物は全部だったのかな?
だが奥へ進む程に禍々しさが増していっている。
邪気とやらが濃くなってきているのがオレでもはっきりとわかるくらいに。
最下層一歩手前、地下49階層までたどり着いた。ここまで休まずに来たがみんな疲労している様子はない。
「皆、疲れていないか? 体調に不安があるのなら隠さずに言うのだぞ」
アイラ姉が確認を取るが誰も体調に異常はなさそうだ。
「ふふっ、心配無用だアイラ。レベルも上がり寧ろ絶好調だ」
リイネさんが言う。
強がっているとかではなく本気で言ってるなこれは。
他のメンバーもやる気充分だ。
となると外の様子が気になるな。
リンやセーラ、アルケミアにエンジェにグラム達。
騎士団や学園生徒達も高レベルの人がたくさんいたから大丈夫だとは思うが。
念の為にリンに念話で連絡を取ってみた。
―――――リン、外の様子はどんな感じ?
―――――レイさんですか? 今の所は大きな問題は起きていません。騎士団はもちろん一般生徒の方々も頑張っています。
一般生徒も充分に戦力になっているようだ。
特に同じクラスのフェルケンはレベル120くらいになっていたはず。
カトリア先生や他の人もレベル70~80くらいはあった。
ちょっと鍛えすぎたかなと思ってたけど結果としてはよかった。
―――――ただレベル100超えの魔物が目立ってきています。湧き出る勢いが衰える様子はまだ見られません。レイさん達の方は大丈夫ですか? ミウさんのお兄さんが心配していましたが············。
グレンダさんも参戦していたのか。
王国騎士団も第一から第三騎士団まで参戦しているらしい。
ちなみに王国騎士団は第七騎士団まであり、残りは王城や王都の一般区画を守っているようだ。
オレ達の現状をリンに伝えて念話を切った。
外は大丈夫そうだが悠長にしてはいられないな。
「レイさん、今もしかしてリンさんと話していたのですか?」
ミールがそう聞いてきたので頷いた。
ミールとも念話できるのでオレの様子から察したようだ。
オレはみんなに外の現状を話した。
「フム、グレンダ殿も来ていたのか。なら外は心配なさそうだな」
アイラ姉はグレンダさんを信頼しているようだ。
「お兄様なら大丈夫ですよー!」
「はい、ぼくも大分強くなりましたけどまだ兄さんには敵いませんからね」
ミウとユーリも同様の反応だな。
「しかし念話というのは便利なものだな。迷宮の中に居ても外と連絡を取れるとは」
リイネさんが言う。
確かに結構重宝しているからな。
加護を〈中〉まで上げなければいけないからまだリンとミールとしか出来ないが。
「アイラ~、私達ももっと絆を深めて念話できるようになりましょう~」
「ええいっ、離せキリシェ! 今はそれどころじゃないだろう!」
抱きつくキリシェさんを強引に剥がすアイラ姉。
············その内、念話できるようになりそうだな。
「拙者とユーリ殿もできるでござるが······」
「しっ······シノブさん、今それ言うのはやめましょう!」
シノブとユーリが何やらひそひそ言っていた。
まあお喋りはこれくらいにして先を急ごう。
迷宮を攻略しない限りアンデッドが無限に湧き出てきそうだからな。
49階層はほぼ直線上の道を進むだけのようだ。
魔物の気配もない。
奥まで進むと巨大な禍々しい扉があった。
MAPを見る限り、この先が最下層······50階層最奧だ。
50階層は広大なフロアが一つあるだけの階層だ。
「な、なにか出てきたよっ!」
エイミが叫ぶように言う。
扉の前の空間が歪み、何かが出てきた。
よくわからない金属で出来た人型のゴーレムのような見た目だ。
············ゾンビじゃない?
「最下層の道を守る門番でありますか」
「俺では鑑定できん。かなりの高レベルのようだな」
ルナシェアとロディンが剣を構える。
他のみんなも臨戦態勢に入る。
「············手応えありそう」
スミレはやる気満々だな。
[アビスガーディアン] レベル300
〈体力〉300000/300000
〈力〉15000〈敏捷〉13000〈魔力〉15000
〈スキル〉
(物理耐性〈大〉)(魔法耐性〈大〉)
(状態異常耐性〈極〉)(身体強化〈極〉)
(闇剣術〈レベル9〉)(分身)(邪気吸収)
強い············レベル300。全ステータス1万超えかよ。
こいつが迷宮の守護者じゃないのかと言いたいくらいの強敵だ。
その上なんかヤバそうな武器まで持っている。
(奈落の剣〈アイテムランク7〉)
攻撃力+3000〈闇属性増大付与〉
かなり強力な剣だな。
攻撃力がオリハルコン製の武器を上回っている。
だがこいつを倒せばもう最奧だ。
手加減無しでさっさと倒してしまおう。