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2 聖女セーラと護衛騎士リン

魔物に襲われている人達を助ける、異世界もののテンプレです。

 異世界に迷い込んだオレとアイラ姉とシノブは北東にあると思われる町を目指すことにした。

 距離にしておそらく40~50㎞くらいありそうだ。

 歩いていくには遠すぎるが当然乗り物なんてない。オレ達は走って向かうことにした。

 毎日アイラ姉の特訓に付き合っているので、これくらい軽いマラソンだと思えばどうってことない。



 走り出すといつもより速く動けることがわかった。レベル250だから体力が現実世界より上がってるんだろうか?

 いや、そもそもこちらも今のオレにとっては現実だ。

 アイラ姉とシノブもいつもより動きが良いことに驚いている感じだ。


「なんだか体が軽いでござるな!」

「ウム、これは気分がいいな!」


 シノブとアイラ姉がどんどんスピードを上げていく。やばい············あの二人、速すぎる。

 絶対にそこらのバイクよりも速いぞアレ······。

 オレもなんとか二人に付いて走っていく。


 しかし不思議なことに全力でずいぶん走っているがまるで疲れない。

 スタミナも上がってるんだろうか?



―――――グォオオオーーッ!!!!!



 しばらく進んでいくと、凄まじい唸り声が響いてきた。


「レイ、シノブ、止まれ! あそこだ!!」


 アイラ姉の目線の方を見ると巨大な1つ目の魔物がいた。しかも誰かが襲われているようだ。


 立派な馬車を数人の男が守るように剣を構えている。見たところ、質の良さそうな鎧を着た騎士のようだ。

 それなりに腕は立ちそうな感じだが魔物が強すぎるため押されている。


「助太刀するでござるよっ」

「ウム、このまま見殺しには出来ん!」


 シノブとアイラ姉が魔物に向かっていく。

 しかし二人とも武器らしいものは持っていない。せいぜいアイラ姉の持っている木刀くらいだ。

 ············木刀であんな化け物倒せるだろうか?



[サイクロプス]  レベル70

〈体力〉1725/2100

〈力〉950 〈敏捷〉120 〈魔力〉0



 魔物を見るとステータスが見えた。

 軽く5mは超えてそうな巨体だ。だが見た目は恐ろしいがレベルもステータスも低い。


「はあっ!!」


 アイラ姉が木刀で魔物、サイクロプスを攻撃するとその巨体が吹っ飛んだ。


「おおっ!?」 「何者だ!?」 「あ、あのサイクロプスを軽々と吹っ飛ばしたぞっ」


 男達が驚きの声をあげる。


「グガァアアーーッ!!!」


 サイクロプスが立ち上がり、アイラ姉に襲いかかっていく。しかし今度はシノブが飛び蹴りでサイクロプスを吹っ飛ばした。


「見た目は恐ろしいが大したことないでござるっ」

「シノブ、油断をするな!」


 気楽に言うシノブをアイラ姉が一喝する。

 サイクロプスが再び立ち上がる。しかしもう体力は······。


〈体力〉115/2100


 かなり減っていた。あと一息で倒せそうだ。


「これで決める! ······百花繚乱、桜花無双撃っ!!!」


 アイラ姉が流れるような動きで無数の斬撃を放つ。

 中二病全開のアイラ姉の奥義だ。

 元の世界でもかなりの威力だったがこっちの世界では更に凄くなっている。

 ちなみに中二病なのはアイラ姉は無自覚だ。


「グ······アアアッ······!!」


 サイクロプスは断末魔の叫びをあげて倒れた。

 もうピクリとも動かない。体力も0になっている。倒せたようだ。


「大丈夫、アイラ姉、シノブ!?」


 オレはすぐに二人の所に駆け寄る。

 一方的に倒したとはいえ、あんな化け物を相手にしたんだ。念のために聞いたが二人とも怪我はない。

 ······結局オレは何もしなかったな。


「ウム、問題ない」

「いつもより体が軽かったでござるよ」


 二人とも大丈夫そうだ。

 さて、この化け物の死体はどうしようか。

 ゲームとかだと素材が手に入って町で売ればそれなりのお金になると思うんだけど。

 そもそも売れるものかわからないし、こんなでかいの持っていけるわけないか。



〈サイクロプスを回収しますか?(Yes)(No)〉



 ん? なんか表示されたぞ。

 とりあえず(Yes)を選んでみる。

 するとサイクロプスの巨体が一瞬で消えてしまった。メニュー画面のアイテム欄を見ると項目が1つ増えていた。


〈サイクロプス×1〉


 どうやら魔物の死体はアイテム扱いらしい。

 アイテムの出し入れも自由に出来るみたいだ。


「サイクロプスの死体が消えたぞ」「まさか収納魔法か? だがあれだけの巨体を······」「それよりあの三人は何者なんだ」


 おっと、騎士達が戸惑っている。

 さて、どうしようか?


「聖女様っ!?」「お待ち下さいっ」


 そう考えていたら、馬車の中から二人の女性が出てきた。


「助けていただき感謝いたします。私はセーラ=アーミュレントといいます。どうかお見知りおきを」


 セーラと名乗った女性が頭を下げる。

 肩に掛かるくらいの金色の髪の美しい女性だ。見た目は若い人だ。

 オレより少し上、アイラ姉と同じくらいの年に見える。聖女と呼ばれていたけど、確かに目を引くようなキレイな衣装を身に纏っている。

 でも、けして派手ではない。


「セーラ様! なにもセーラ様自ら頭を下げずとも······」


 隣の女性が慌てたように言う。

 見たところ聖女の護衛の女騎士みたいだ。他の騎士とは違い、見た目も美しい鎧を着ている。

 ヘルムで少ししか見えないがこの女騎士の髪も金色に見える。

 年齢はオレと同じくらいか?


「これはご丁寧に。私はアイラ、後ろの二人は男はレイ、女の子の方はシノブと言います。偶然見かけたので加勢したまでです」


 アイラ姉が聖女セーラにならって頭を下げる。


「あのサイクロプスを簡単に倒してしまうとは、かなり腕の立つ冒険者なのですね」


 セーラが微笑みながら言う。

 アイラ姉がうまく話を進め、オレ達は異国からの旅人だと紹介した。



 その後助けたお礼ということで馬車で近くの町まで送ってもらえることになった。

 馬車の中は広く、オレ達三人が増えてもまったく問題なかった。

 馬車の中にいたのはセーラと護衛女騎士の二人だけだったらしい。

 ちなみに女騎士の名前はリンと言うらしい。

 他の騎士達は外で護衛している。



「まったく、なんでその男まで······」


 リンという女騎士はオレを見てぶつぶつ言っている。


「恩人に対して失礼ですよ、リン。すみません、リンは男性の方が苦手でして······」


 リンに代わってセーラが謝罪してくる。


「苦手ではなく()()なんです、セーラ様。それに恩人はそちらのアイラさんとシノブさんです。そこの男はなにもしてなかったじゃないですか」


 確かにリンの言う通りである。

 オレはなにもしてなかったので反論はできない。


「リン殿、レイを悪く言うのはやめてもらえないか? レイは貴女の思っているような最低の男ではないぞ」

「そうでござるよ。師匠は強くて頼りになる方でござるよ」


 アイラ姉とシノブが庇ってくれる。

 それでどうにか文句は言わなくなったが不満そうではあった。

 なにか男に対して嫌な思い出でもあるのだろうか?



 その後町に着くまで軽い雑談をした。

 セーラは聖女と呼ばれているがまだ正式な聖女ではなく三人いる候補の一人らしい。

 こちらの世界の宗教、リヴィア教の象徴的存在が聖女だとか。


「最近は魔物が活発化してきているので、早く正式な聖女にならなくてはいけないのです」


 聖女は聖なる気によって魔物を鎮めることが出来るらしい。詳しくは聞けなかったが要するに聖女は魔物に対して絶大な力を持っているということだろう。


 正式な聖女になるためには〝試練〟を受けなければならないらしく、セーラはそのためにこの先の町に向かっていたようだ。


「サイクロプスなど強力な魔物はこの辺りでは滅多に現れないはずなのですが············やはり魔物の動きが活発になっているようです」


 あのサイクロプスはかなり強力な魔物だったらしい。

 確かに見た目は恐ろしかったがオレ達のレベルと比べたら大したことなかったんだが。



[セーラ]  レベル32

〈体力〉255/255

〈力〉85〈敏捷〉150〈魔力〉750



[リン]   レベル35

〈体力〉850/850

〈力〉380〈敏捷〉240〈魔力〉200



 そう思って二人のステータスを見て納得した。

 サイクロプスにはとても敵わないステータスだ。外の騎士達も一番高いのでレベル55だ。

 他は20~30くらい。


 やはりオレ達のレベルが高すぎるのか?

 この人達が弱すぎるなんてことないよな。


 セーラは聖女候補ということもあり魔力はかなり高い方らしい。

 リンも聖女セーラの専属護衛騎士なのでそれなりに強い方のようだ。





ステータス表示は分かりやすく簡潔にしています。

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