166 ゾンビ軍団との大決戦
学園迷宮攻略開始だ。
とは言ってもすでに41階層まで来ているから、最奥まであと少しだ。
MAPもしっかり表示されているから最短距離で進める。アイラ姉を先頭に迷宮を進んでいく。
魔物は以前戦ったエリートグールなど、アンデッドの中でも上位の奴が現れたが問題なく倒していく。
順調に進み、45階層までたどり着いた。
45階層はボスがいたような大部屋が一つあるだけのフロアだった。
その広大なフロアに大量のゾンビが待ち構えていた。
「······これは大層なお出迎えだな」
ロディンが額に汗を流しながら言う。
レベル150前後のエリートグールが複数。
レベル200超えのジェネラルゾンビが5体。
そして奧に1体さらにヤバイのがいる。
[デッドエンペラー] レベル280
〈体力〉255000/255000
〈力〉14200〈敏捷〉6500〈魔力〉10600
〈スキル〉
(冥王の加護〈大〉)(統率)(王の波動)
(無限再生)(腐蝕)(猛毒)(邪気吸収)
ゾンビにしては豪勢な衣装を身に纏った奴だ。
名前からしてゾンビ達の皇帝か?
身体はエリートグールよりも少し大きいくらいでジェネラルゾンビと比べたら小柄な感じだな。
明らかにオレ達を待ち構えていたような布陣だ。
「ようやく小生達の出番でありますな」
「あたしだって頑張りますよー!」
ルナシェアとミウが武器を構えた。
「スミレ殿、ユーリ殿。気合いを入れるでござるよ」
「············ん、手応えありそう」
「ぼくだってやれますよ!」
シノブ、スミレ、ユーリもゾンビ軍団を恐れている様子はないな。
「ふふっ············相手にとって不足はないな」
「私達もアイラ達をサポートするわよ~」
リイネさんは不敵な笑みをうかべ、キリシェさんは相変わらずの調子だ。
「こ、怖くなんかないよっ」
「姉さん、腰が引けてますよ」
エイミは顔を強張らせているがミールは冷静だな。
エリートグールはみんなに任せてオレ達はジェネラルゾンビとあのゾンビの皇帝をやるか。
ゾンビの皇帝のスキルに(王の波動)というのがある。
これは以前戦ったオークガイアという魔物が持っていたスキルと同じものだ。
(王の波動)
自身含む、すべての配下のステータスを50%アップさせる。
改めて厄介なスキルだ。
オークガイアの時は多少ステータスがアップしたところでたいした脅威じゃなかったが、このレベルのゾンビ達がパワーアップするのはヤバすぎる。
さっさと排除しよう。
「レイ、シノブ。私達は奧の奴を優先して倒すぞ!」
「承知でござるアイラ殿!」
アイラ姉もあのゾンビの皇帝を真っ先に倒した方がいいと判断したようだ。
「············!!」
ゾンビの皇帝が腕を前に構えると周囲のゾンビ達が一斉に向かってきた。
声は出していなかったが指示を出したようだな。
「はあっ!」
オレは聖剣を振るいエリートグール達を蹴散らした。
聖剣の力でオレ達全員のステータスが上がり、ゾンビ達のステータスは下がっている。
ルナシェアの聖女のスキルの効果もあり、
(王の波動)で上がった分は相殺されている。
勇者と聖女が特別な存在だと言われるのがわかるな。対魔物には最強の組み合わせだ。
「グオオーッ!!」
ジェネラルゾンビの1体が襲いかかってきた。
コイツはレベル200を超えていて、上の階層で戦った奴より強い。
だがオレの敵じゃない。
ジェネラルゾンビを一刀両断にした。
斬ったジェネラルゾンビは聖剣の力によって消滅した。
「とう! でござる」
シノブもジェネラルゾンビを1体倒していた。
シノブは武器のオリハルコンの小太刀に「聖」属性の力を纏わせていた。
もともと「聖」属性は強力だが相手がアンデッドだとさらに効果は絶大だ。
「どうした? この程度かっ!」
アイラ姉は2体のジェネラルゾンビを同時に相手にしていた。
「ホーリーブレス!」
オレは「聖」魔法を放った。
天井部分から「聖」なる光が降りそそぎゾンビ達を滅していく。
これでジェネラルゾンビは全部倒したな。
だが肝心のゾンビの皇帝は倒し切れなかった。
「··················」
喋らないのか喋れないのかゾンビの皇帝は無言でオレ達を見ている。
倒せはしなかったが今の「聖」魔法でそれなりにダメージを受けている。
奴は(無限再生)スキルを持っているが「聖」属性のダメージは回復が遅いようだ。
このまま一気に倒してしまおう。




