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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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163 白熱の闘い(※)

※(注)引き続き変態男が登場しています。


(ミールside)


 ついにアイラさんと仮面男の決闘が始まりました。

 その闘いを見るために学園のほとんどの生徒が集まっています。


 レイさ············仮面男は目立ちますし有名でしたからね。

 アイラさんも同じくらい有名です。

 その二人の対決ですから皆興味を持つのも無理はないでしょう。



 ザワザワと騒いでいた見学者達も二人の闘いが始まると静かになりました。


 最初にアイラさんが仕掛けていきました。

 仮面男はアイラさんの攻撃を紙一重でかわしていきます。

 アイラさんの動きは速く、目で追うのがやっとです。


 今の所は仮面男が優勢に見えますね。

 しかしアイラさんがやられっぱなしのままとは思えません。


 アイラさんは自身に強化魔法を使い、ステータスを上昇させました。

 先程よりも速さとキレが増しています。


「その余裕、すぐに崩してやろう」

「やってみて下さい」


 アイラさんと仮面男が再びぶつかり合います。

 アイラさんが模擬剣を振るい、仮面男がかわして反撃し、それをさらに避けてアイラさんが反撃する。

 息をつく暇もない激闘です。

 周囲の見学者も歓声をあげています。


「さすがは正義の仮面様ですわっ、あのアイラさんに一歩も引いていませんわ」

「一体何者なのだろうな······あの男は」


 見学者の中にフェニアさんとフェルケンさんの姿が見えました。

 相変わらずの崇拝ぶりのようですねフェニアさん。

 見学者の中にはフェニアさんのような方が何人か見受けられました。


「アイラ~、頑張って~!」

「あのアイラと互角か············それほどの強さだとはな······」


 キリシェさんとリイネさんもアイラさんを応援しています。


「やはりあの仮面の男············相当の強さでありますな」

「まさかアイラさんでも苦戦するとは思いませんでした」


 こちらではルナシェアさんとリンさんが観戦していますね。

 それにしてもワタシもあのアイラさんとここまで接戦するとは思いませんでした。


 魔力はレイさんの方が上ですから、そこを活かして勝利を掴もうとすると思っていました。

 ですが見る限り体術もほぼ互角············むしろ仮面男が優位に見えます。

 (神眼)の効果を持ってしても仮面男のステータスを見ることは出来ません。


 あの黒いマスクはステータス上昇の効果があるのでしょうか?


「ア、アイラさんもすごいけどあの仮面の人もすごいよ······」

「アイラさんー、頑張ってくださいー!」


 ワタシの横では姉さんとミウネーレさんが観戦しています。

 少し離れた所ではシノブさん達も見えます。


「それにしてもレイ君遅いね······」

「レイさんは寝起きが弱いですからね。もう少ししたら来るんじゃないでしょうか」


 まあ実は目の前にいるんですが。

 誰もレイさん=仮面男とは思っていないようですね。



「とてつもない強さじゃのう、あの仮面の男。我がマスターよりも強いのやもしれぬな」


 エンジェさんも観戦していたようです。

 グラムさん達メイドさんの姿も見えました。

 まあ正体はそのマスターなんですけどね。

 エンジェさんでも仮面男の正体は見破れないようです。


「しかしあの男の仮面(マスク)······あれはもしや······」


 エンジェさんが何やら気になることをつぶやいているような············。



―――――――ザワワッ


 アイラさんと仮面男の闘いに新たな動きがあったようです。

 仮面男の攻撃を受けてアイラさんが膝をついています。


「終わりですかな?」


 仮面男が言います。

 その言葉にアイラさんは不敵な笑みをうかべました。


「ふふっ······どうやら私は()()()()来てからずいぶんと腑抜けてしまっていたようだ。礼を言うぞ······目が覚めた気分だ」


 アイラさんが立ち上がり構えました。

 明らかに雰囲気が変わりましたね。



 アイラさんが仕掛けていきました。

 先程よりも動きのキレが増しています。

 今まで本気じゃなかったのですか?

 仮面男はアイラさんの攻撃を避けたり受け流したりしていますが防戦一方になっています。


「百花繚乱············桜花無双撃(おうかむそうげき)っ!!」


 アイラさんが奥義を放ちました。

 花が舞うような美しい動きで仮面男を連続で斬りつけていきます。


「これはなかなか······」


 仮面男もアイラさんの動きに合わせるように攻撃を受け流しています。


「私の奥義すらも受け流すとはな············だが、まだまだっ! 弐の太刀、紅葉乱舞撃(こうようらんぶげき)!!!」


 さらにアイラさんが追い打ちをかけます。

 あまりの動きの速さに最早目で追うことすらできません。

 さすがに素手で受けるのは無理だと判断したのか仮面男はアイラさんと同じ模擬剣を持ち、受けていました。


「武器は使わぬのではなかったのか?」

「貴女がそれだけの強敵だということです。私に武器を使わせたのは貴女が初めてです」

「それは光栄なことだな······!」


 二人の剣が交わるたびに大地が揺れるような衝撃が起こります。

 学園長達が必死に結界を張っていますが、このままだと破れそうです。


 アイラさんと仮面男が一旦距離を取りました。


「次の一撃ですべてを決めてやろう。これを受けて立っていた者はいない」

「いいでしょう。私も全身全霊を持って応えましょう」


 アイラさんが剣に、いえ······全身に魔力を集中させています。

 それだけで結界を破れそうな圧力を感じます。

 仮面男もそれに応えて全身に魔力を集中しています。


 見学者達は息を呑んで静まります。

 リイネさん達は学園長に協力して結界を強化していました。


「行くぞ! 仮面男······いや、正義の仮面!」


 アイラさんが動きました。

 仮面男もそれに合わせて構えます。


(つい)の太刀············幻想―――――」



――――――ブワアアァァァッ!!!


 アイラさんが奥義を放とうとした瞬間、校舎の方から禍々しい気配が吹き出しました。

 これは······もしかして地下迷宮から放たれているのでしょうか?

 とても嫌な感じがします。


「なんだ······?」

「邪悪な気配がしますな」


 アイラさんと仮面男も動きを止め事態を把握しようとします。



 これは決闘どころではない事態かもしれません。




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