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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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勇者(候補)ユウの冒険章③ 3 謎の少女

(テリアside)


 容器から飛び出してきた巨大な魔物がわたし達を見て唸っている。

 コイツ、さっき読んだ研究資料に書いてあったわね。


「グランキメイラ。何体もの魔物を組み合わせた化物みたい」


 資料にそんなことが書かれていたわ。

 いくつもの魔物の特徴を融合させて強力な魔物を作り出そうとしてたみたい。


 いくら魔物とはいえこんな実験ひどすぎるわ。

 当時の魔王軍は最低な奴らだったようね。


「グアアアッ!!!」


 魔物が襲いかかってきた。

 身体は大きいけどウルフの俊敏な特徴を持っていて動きが速いわ。


「グランドスプレッドですぅ!!」


 ミリィが「水」の上級魔法で攻撃した。

 魔物の身体の下からすごい勢いで水が噴き出す。

 けどたいしたダメージになっていないわ。


「ゲイボルグショット!!!」


 わたしは大きめの矢を作り出し魔物に向けて放った。矢は魔物に突き刺さったけどまったく怯んでいない。


「ゴオアアッ!!」


 魔物が口から魔力の塊を吐き出してきた。

 無差別に四方八方に放ってくる。

 結構な魔力を秘めてるわ。

 まともに喰らえばヤバイかも············。


「マジカルブレード!」


 ユウが剣を作り出し魔力の塊を弾く。

 わたしも矢を放って相殺していく。

 ミリィも避けたり相殺したりで防いでいるわ。


「テリア、ミリィ! ぼくに魔力を!」


 ユウが言う。


「ええっ、わかったわユウ!」

「ミリィの魔力を使ってください、ユウ様ぁ!」


 言われるままにわたしとミリィはユウに魔力を送った。ユウはわたし達の魔力に自分の魔力を上乗せして巨大な剣を作り出した。


「くらえっ! ファイナルソード!!!」


 ユウが巨大な剣を魔物に向けて放った。


「グアアアーーーッ!!?」


 ユウの放った巨大な剣が魔物に命中し、半身を吹き飛ばした。

 剣は建物の壁も貫通して大きな穴を開けていた。

 身体の半分を失った魔物はそのまま倒れて動かなくなった。

 ·········倒せたようね。


「さすがユウ様ですぅ!」

「あはははっ、テリアとミリィの魔力のおかげだよ」


 二人がそれぞれ言う。

 他に魔物が飛び出してくることはないみたいね。





 部屋をある程度見て回ったけど研究資料以外これといったものはなかった。

 さっきの魔物達は当時の勇者を倒すために強力な生物を作り出す際に出来た失敗作だったみたい。


 設備はそのまま残っているけどもうここは放棄されたみたいね。

 ここにいた魔王軍は当時の勇者に討伐されたのかしら?



「ユウ、一度町に戻るわよ。ここのことは冒険者ギルドあたりに報告すればいいわ」


 わたし達に出来ることはないわ。

 ここをどうするかはお偉いさんに任せましょう。


「待ってテリア、最後にあの奥の部屋を確かめさせてよ」


 ユウが指差す先には大きめの扉があった。

 いかにも特別な部屋といった感じの扉だわ。

 確かに気になるわね············。


「いいけど······魔物に警戒しなさいよ」


 まだ魔物が出てくるかもしれないわ。

 扉の鍵を開け、警戒しながら中へ入った。





 この部屋も同じような研究室だった。

 ただ部屋の中央に他とは明らかに違う特別な容器があった。

 大型の魔物でも入れそうな大きさの容器だ。


「女の子?」


 ユウが容器の中を覗き言う。

 中にはわたし達と同じくらいの年だと思う少女が入っていた。


「ユウ、見ちゃ駄目よ」


 わたしはユウの目を両手で塞いだ。

 容器の中の少女は何も身に付けていない裸の状態だった。

 他の容器と同じように中はよくわからない液体で満たされている。


 少女はその中で眠るように動かない。

 ············生きてるのかしら?


「人族············じゃなさそうですねぇ? でも何の種族かわかりませんよぉ」


 ミリィが少女を見て言う。

 拐われた人族ってわけじゃないのかしら?

 そういえばさっきの研究資料に何か書いてあるかも。

 最後の方のページにそれらしい情報を見つけた。


「············魔法生命体(ホムンクルス)············マティア······?」


 マティアってのがこの少女の名前かしら?

 ホムンクルス······? 作られし生命?

 勇者を倒すための最高傑作とか書かれてるけど············この少女が?


「··················ゆうしゃ?」


 容器の中の少女がピクリと動き、声を発した。

 少女がすごい魔力を集中している。

 ············嫌な予感がするわ。



―――――――――ピシィイッ!!!


 容器に大きな亀裂が走った。

 亀裂はどんどん広がり中の液体が漏れだしている。



――――――――――ガシャアアンッ!!!


 容器が割れて少女が出てきた。

 少女がゆっくりと立ち上がる。


 刃物のような鋭さがある長い黒髪をなびかせる。

 そして立ち上がると同時に全身を光が包み、一瞬で着物へと変わった。

 全体的に赤を強調したドレスのような着物だわ。


「············」


 少女の目がゆっくり開かれた。

 美しさを感じるような真紅の瞳だった。

 その瞳がユウを捉えた。


「············ゆうしゃ············ころす············」


 少女から凄まじい殺気が放たれた。






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