149 未知の領域へ
休憩を終わりにしてオレ達は迷宮攻略を再開した。
休憩していたはずなのになんか余計に疲れた気がするよ············。
今まで通り出てくる魔物を倒しながら先に進んでいく。学園の地下迷宮はエンジェのいた遺跡の迷宮とは違い、罠などがほとんどないためサクサク進める。
あまり時間をかけずに40階層までたどり着いた。30階層同様に広大なフロアが一つあるだけの階層だ。
部屋の中央には下へ続く道が拓かれていた。
「ここにはデュラハングールという首なしのゾンビの魔物がいたぞ。レベルは220で今のわたしやキリシェでは厳しい相手だった。戦闘はほとんどアイラに任せてしまったな」
やはりここにもボスモンスターが現れたようだ。
自分では太刀打ちできない相手だったとリイネさんが悔しそうに言った。
「そのような魔物が············小生も戦ってみたかったでありますな」
「さすがに危険ですよ、ルナシェア様」
ルナシェアとリンが言う。
40階層のボスのレベルが220か············。
それだと50階層の迷宮の守護者は300~400くらいだろうか?
それくらいなら何とか倒せると思うが······。
「迷宮探索はここで終了でござるか?」
ここより下はアイラ姉達も行っていない未知の領域だ。学園長の許可も出てないだろうし進むのはマズイだろうな。
「少しだけなら先に進んでみないか?」
「私も興味あるわ~」
リイネさんとキリシェさんがそんなことを言い出した。おいおい、いいのか?
「······小生も興味あるでありますな」
「わたしは············やめた方がいいかと······」
ルナシェアも行きたい派か。
リンは反対のようだが。
オレとしても正直興味はある。
けど危険性を考えたらやめるべきだろうな。
「なに、少し様子を見るだけだ。レイは転移魔法とやらが使えるのだろう? 危なくなれば引き返せばいい」
リイネさんはよほど自分の力を試したいようだ。
確かに転移魔法で迷宮から脱出できるが············。
エンジェのいた迷宮の例もある。
エイミとミールのように罠などで分断され、危険な目に合う可能性がある。
それにこの先も転移魔法が使えるとは限らない。
遺跡の迷宮では転移魔法は使用できなかったからな。
とはいえリン以外は行きたそうにしている。
リンもルナシェアの護衛という立場ではなかったら賛成派だったかもしれない。
シノブはオレに判断を委ねてきた。
············結局リイネさん達の意見を聞き入れることにした。
少しでも危険を感じたらすぐに引き返すことを条件に先に進んでみることにした。
オレが先頭になり下に続く道を進んでいく。
41階層からは雰囲気······というより迷宮の造りが明らかに変わった。
今までは学園の地下という見た目の迷宮だったが、ここからはまるで地獄へ迷い込んだみたいだ。
周りの壁は生物のように不気味に脈打つよくわからない材質になっているし、嫌な気配が充満している。
とても学園の地下とは思えない。
「ず、ずいぶん雰囲気が変わりましたね······」
リンが周囲を警戒しながら言う。
確かに今までとは違いすぎる。
迷宮も大詰めだからだろうか?
「確かに不気味でありますな············アンデッドが現れても不思議じゃないであります」
ルナシェアも周囲を警戒している。
リイネさんも表情を引き締めているな。
キリシェさんはいつも通りのおっとりした表情だ。
この人、メンタル面はこのメンバーの中で一番強いのかも。
転移魔法は············使えそうだな。
ならとりあえずは安心か。
「敵でござる!」
シノブが言う。
床から湧き出るように人型のゾンビが姿を現した。
1、2、3、4············全部で6体か。
どいつも騎士のような鎧を着て、武器まで持っている。ゾンビではなくまるで人間みたいだ。
[エリートグール] レベル150
〈体力〉40520/40520
〈力〉2640〈敏捷〉1490〈魔力〉2000
〈スキル〉
(無限再生)(連携)(身体強化〈中〉)
(腐蝕)(邪気吸収)
強い············レベルは140~150か。
6体とも似たようなステータスだ。
とても雑魚とは呼べない強さだな············。
鎧は全員同じようだが武器は剣だの槍だの斧だのバラバラだ。
(連携)
味方と力を合わせることで攻撃の威力が大幅に上昇する。
厄介なスキルも持っているな。
ちょうど人数は同じだし一対一で各個撃破した方が良さそうだ。