146 リイネ達の戦い
ジェネラルゾンビというでかい魔物はリイネさん達に任せてオレとシノブは周囲の雑魚ゾンビを倒していく。
まあ雑魚といってもコイツら平均レベル80くらいあるけど。
「幻影刃っ!!」
リイネさんがジェネラルゾンビに剣技を放った。
リイネさんが何人にも分身したように向かっていく。ジェネラルゾンビは腕でなぎ払うがすべて幻だ。
本物のリイネさんはすでに後ろに回っていた。
「グオオーッ!?」
リイネさんの高速の突きでダメージを与えていく。
「私もいくわよ~! スラストアロ~!!」
キリシェさんが次々と矢を放ち追い打ちをかけた。
「風」属性を纏っているらしくまるで弾丸のように矢がジェネラルゾンビを襲う。
ちなみに矢には〈自動回収〉という能力が付与されていて勝手に手元に戻ってくるようだ。
「おおっ!? お二人ともすごいでありますな! 小生達も負けていられないであります! リン殿、いくでありますよ!」
「はい、ルナシェア様!」
ルナシェアが「聖」なる気を放ち魔物を弱体化させた。
忘れがちになるが、こうして見るとルナシェアはちゃんと聖女なんだな。
リンも大剣を構えてルナシェアに続いた。
「グオオオオオーッ!!!」
一方的に攻撃されていたジェネラルゾンビが大きく叫ぶ。
どうやらスキルを使ったようだ。
(咆哮)
自分よりも格下の相手を威圧し、怯ませる。
自身の力を一時的に上昇させる。
それなりに厄介なスキルだな。
「キリシェ、大丈夫か? ルナシェア殿にリンも」
「ええ~、私は大丈夫よ~」
リイネさんとキリシェさんは怯んではいないようだ。
「小生も問題ないであります!」
「わたしも大丈夫です!」
ルナシェアとリンも問題なさそうだ。
加護スキルによって耐性が上がっていたためか、それともジェネラルゾンビにとってみんなは格下ではないのか。
まあとりあえずは安心した。
「なら一気に決めるぞ」
リイネさんの言葉に頷き、みんなが魔力を集中させる。
「ガアアアッ!!!」
ジェネラルゾンビが叫び声をあげてリイネさん達に向かっていく。
「荒れ狂え灼熱の業火よ······」
「巻き起これ疾風の嵐~」
リイネさんとキリシェさんが魔法の詠唱を始めた。
二人はシノブに(詠唱破棄)のスキルを付与されているため詠唱しなくても魔法を撃てるのだが、詠唱すればそれなりに魔法の威力が上がるらしい。
「「バーニングストーム!!」」
リイネさんの「炎」、キリシェさんの「風」魔法が融合して灼熱の嵐となってジェネラルゾンビを襲う。
「グアアアーーッ!!?」
ジェネラルゾンビが炎の嵐に呑まれて叫び声をあげる。
〈体力〉がすごい勢いで減っている。
もう一息だな。
「倒れろぉーーっ!!」
リンが大剣を振り下ろして追い打ちをかける。
「これで終わりであります! 聖魔退斬剣!!」
トドメにルナシェアが(聖剣術)を繰り出し、ジェネラルゾンビを完全に滅した。
かなり強い相手のはずだったが一方的に勝っちゃったな。
ジェネラルゾンビを倒したことでリイネさん達のレベルが上がった。
特にトドメを刺したルナシェアは大きくレベルアップしていて100を超えていた。
「こっちも終わったでござるよ」
オレとシノブも周囲のゾンビを全滅させた。
ようやくオレとシノブもレベルアップした。
(獲得経験値10倍)スキルの力を持ってしてもレベルアップしにくくなってきたな。
その後も順調に進み35階層までたどり着いた。
拓けた場所があったので周囲に結界を張り休憩することにした。
「わたしもずいぶん強くなったつもりだったが、レイやシノブには及ばないな」
リイネさんが一息ついて言う。
「うふふ~、アイラもすごかったけど二人も本当にすごいわ~。アイラが自慢するわけね~」
キリシェさんもおっとりした口調で言う。
アイラ姉はオレ達のことをどんなふうに話しているのだろうか?
「小生もまだまだでありますな。もっともっとレベルアップしたいでありますよ!」
「ルナシェア様、気持ちはわかりますがあまり危ないことはしないでくださいね」
元気よく言うルナシェアに対してリンは苦笑いしながら言った。
ここに来るまでにジェネラルゾンビのような高レベルの魔物と何度も戦っているのにみんな疲れた様子はないな。