15 謎の仮面男現る(※)
謎の変態キャラの登場です。
当初から登場予定でしたが、思っていた以上に最低なキャラになってしまいました。
かなり見苦しい表現がありますのでご了承ください。
(リンside)
今わたしはお風呂の湯船に顔まで浸かっています。今日は驚きの連続でした。
今のわたしのレベルは54。
今日だけで一気に強くなれました。
しかしこのペースのレベルアップは絶対におかしい。たとえ一日中、魔物との戦闘に明け暮れても、レベルが3~4上がればいい方です。
格上の魔物を倒したとしてもこれは異常です。
レイさん、シノブさん、アイラさん。
三人にはやはり何か秘密がある。
あのキラービーの巣を一気に殲滅したあのアイテムはなんだったのでしょうか。
そしてレイさん······
クイーンビーの上位種の攻撃からわたしを庇ってその毒をまともに受けてしまった。
しかしレイさんはなんともなかったように無事でした。そのことにはホッとしましたが、やはりおかしいです。
でも身を挺してわたしを庇ってくれたレイさんはとてもたのもしかっ······って何言ってるんですかわたしは!?
あんなに一方的に嫌っていたのに、それでもわたしを守ってくれるなんて······わたしも態度を改めるべきかもしれません。
どうしよう······レイさんのことを考えると顔が熱くなってきます。
これはまさか恋?
いえ、そんなことはないはずです。
しかし今度顔を合わせた時にどんな顔をすればいいか。
············少しのぼせたようです。
シノブさんもとっくに上がりましたし、わたしも上がるとしましょう。
お風呂から上がり、脱衣場に向かいます。
そんな時、突然入り口の扉が開きました。
「「え?」」
入ってきたのはレイさんでした。
ここはレイさん達の所有する建物です。
入って来ても不思議ではありません。
しかし問題なのはわたしが裸だということです。
突然のことで反応できませんでした。
レイさんも同じだったようでわたしを見て固まってます。
ってわたし裸ですよ!?
目くらいそらしなさい!
「こ······の痴れ者がぁーーっ!!」
わたしは混乱して周囲の物を投げつけます。
「ご、ごめんっ」
「謝ってすますかぁっ!!」
レイさんが慌てて外に出ます。
わたしも素早く服を着て追いかけます。
「ちょっと見直したわたしがバカだったですかっ、やはり白黒はっきりつけておくべきですね、尋常に勝負しろーーっ!!」
わたし自身何言ってるんだかわかりません。
レイさんがわざとやったわけではないとわかってはいるんですが頭がグルグル回ってそれ所じゃありません。
「逃がすかぁーーっ!!」
逃げるレイさんを全力で追いかけます。
しばらく走ってレイさんを見失いました。
······レイさん、速すぎます。
わたしの頭も少し冷えてきました。
何をやってるんでしょうかわたしは······。
ここは······どうやら町の外まで追いかけてたみたいです。
―――――ガサガサッ
「誰です!?」
草の茂みから何者かの気配がします。魔物?
いえ、魔物特有の邪悪な気配ではありません。
レイさんでしょうか?
「これは失礼、お嬢さん。私は怪しいものではありません」
茂みから変な男が出てきました。
「な、な、な······なんですかあなたはっ!!?」
わたしは思わず叫びました。
だって出てきた男が変なんです。変態です。
黒いマスクで顔を隠し、体は下着一枚············男性用のふんどしというやつですか······?
それ以外何も身につけていません。
足すら裸足です。
そしてふんどしと言っても布面積が異常に少ないです。
あれでは大事な所しか隠せてないじゃないですか!
変態以外の何者でもありません。
変態仮面男です!
怪しいものではないって、怪しすぎるでしょう!
「そんなはしたない格好してっ、何者ですかあなたは!?」
男性の身体を見慣れていないわたしは顔が熱くなってきます。
しかしここで怯んではいけません。
もしかしてこの男はレイさんでは? と一瞬思いましたがレイさんはこんな奇怪な格好をする常識外れな人ではないはずです。
「私の名は正義の仮面。お嬢さん、私の格好が何かおかしいですかな?」
「何かおかしいって······おかしな所しかないじゃないですか!!」
男の顔と······大切な部分は見えていませんがそれ以外はまる見えです。
ほとんど裸じゃないですか!
何が正義の仮面ですか! ただの変態です。
「どう考えても怪しい人物です! 拘束させてもらいます!」
とにかくこんな怪しい変人を野放しにするわけにはいきません。
見たところ武器は持っていない。
防具も·········もちろんない。
ですが色々な意味で危険人物です。
「ほう、私を捕まえるつもりですか? ですが意味も無く捕まるつもりはありません」
「問答無用です!」
わたしは大剣を構えます。
「いいでしょう、相手になりましょう。聞く所によるとあなたは男嫌いだとか。
ならば私の特殊なおしおきで男の強さを教えてあげましょう」
む、わたしのことを知ってるのですか
まあそんなことはどうでもいいです。
お仕置きしてやるのはわたしの方です。
こんな男、叩きのめしてやります。
「くらえぇーーっ!!」
わたしは大剣を振り上げます。
男は素早くかわしますが、そんな動きは予想通り。男の動きに合わせて今度は振り下ろします。
「ふん!」
「な、そんな!?」
この男、わたしの大剣を受け止めました!?
しかも片手で······なんという力ですか!
大剣を引き戻そうとしてもビクともしません。
ならば······わたしは大剣を手放し後ろに下がります。
「ヘルフレアーーッ!!」
「炎」属性の中級魔法です。
裸同然のその格好でこれをくらえばひとたまりもないでしょう。
魔法は男に直撃しました。
えっと······死んでないですよね?
つい、全力で撃ってしまいましたが············。
しかしそんな心配は無用でした。男は無傷です。
直撃したはずなのにまるで効いていません。
「くっ······だったらアクアリウス!!」
続けてわたしは「水」魔法を放ちますが、やはり効きません。
「今度はこちらの番ですな」
男は両手を頭の後ろに回して、よくわからない不気味な動きをします。
何をするつもりでしょうか······。
「とうっ」
「え······ひぃっ!!?」
男は股間······男性の大切な部分をわたしの顔に向けてきました。
い、今避けてなかったら顔に当たってましたよ!?
「な、なんてものを近づける気ですかっ!?」
「これがわたしのおしおきです。さあ覚悟はいいですか?」
ひぃぃっ、この男、本気ですか!?
いやです、あんなのに触りたくありません!
わたしは全力で避けます。
やっぱりこの男は変態です。
それも最悪の······ひぃっ、今鼻先をかすりましたよ!?
男の人のなんてまともに見たことすらないのに、そんなモノを近づけないでください!
「シャインバレットッ!!」
わたしは「光」魔法を撃って男から距離をとります。このままでは本当にあの男の魔の手がわたしに······。
もう手加減するつもりはありません!
わたしはスキル(覚醒)を使いま―――
「とうっ」
「きゃっ!?」
男が一瞬で距離を詰めてきて、わたしに足払いをかけました。
まともに受けてわたしは仰向けに倒れました。
「痛っ······ひぃっ!?」
見上げると男がわたしのすぐ上で構えていました。もう逃げ場はありません!?
男の大切な部分がわたしの目の前に迫って······。
「さあ、覚悟!!」
「いやぁぁぁあああーーーーっ!!!???」
生あたたかい感触と共に、わたしの意識は闇に落ちました。·········きっとこれは夢です。
悪夢だったのです。