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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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121 遺跡の迷宮の守護者

 遺跡の迷宮の最奥までたどり着き、魔法陣から魔物が姿を現した。

 魔法陣から出てきたのは黄金に輝くスライムだった。

 コイツが迷宮の守護者か?


 しかし思ったより小さいな。

 直径1メートルもないくらいの球状のスライムだ。

 ······本当にコイツが守護者なのか?


「よくぞここまでたどり着いたのう、今代の勇者よ」


 どこからか声が響いた。

 少し高めの中性的な声だ。今の声どこから?

 ミウ達も驚いてキョロキョロと周囲を見回している。


 ············もしかしなくても今の声って······。


「どこを見ておる? ワシはここじゃぞ」


 黄金のスライムがこちらに近付いてくる。

 やっぱりこのスライムが喋ってるのか?

 今までのスライムは鳴き声すら出さなかったんだが。


「「「スライムが喋った!?」」」


 三人とも驚いている。

 まあオレも驚いたけど。



[エンシェントジェリー] レベル255

〈体力〉145000/145000

〈力〉7550〈敏捷〉9280〈魔力〉10500


〈スキル〉

(物理耐性〈極〉)(魔法耐性〈大〉)

(状態異常耐性〈大〉)(形状変化)(自己再生)

(発声)(魔力吸収)(身体強化〈大〉)



 鑑定してみたらとんでもないステータスだった。

 レベルもステータスも、初めて異世界に来た頃のオレを上回っている。



[エンシェントジェリー]

試練の迷宮の守護者にして悠久の時を生きる古代種。

次代の勇者のために聖剣の一振りを守っている。



 やはりコイツが守護者のようだ。

 しかし()()の迷宮と書かれているな。

 聖剣もあったし説明文を見る限りここは勇者の試練のための迷宮なのかな?


「えっと······お前がこの迷宮の守護者なのか?」


 言葉が通じるみたいだしとりあえず問いかけてみる。


「その通りじゃ、ワシは勇者に試練を与えるためにここにおる」


 問いが返ってきた。

 見た目はぷるぷるのスライムだが悠久の時を生きる古代種らしいから相当に長生きなんだろうな。

 しかし古代種って言うと竜や神獣なんかをイメージするんだがスライムだと違和感が半端ないな。


「オレは勇者じゃないんだけど?」

「いやいや、見ておったぞ? 聖剣を使いこなしておったし、ワシの眷属を勇者にしか使えない「雷」魔法で倒しておったろう」


 見ていたって迷宮内の出来事がわかるのか?

 というか「雷」って勇者専用魔法なのかよ。


「それにこの迷宮に入れるのは勇者とその従者だけじゃ。ここに来れたということは勇者の証じゃろう」


 そんなことを言われても困る。

 けどこの迷宮、勇者以外は入れないのか。

 だから今まで誰にも知られていなかったのかな。


「けどオレは勇者のスキルを持ってないぞ?」

「なぬ······? む、確かに勇者のスキルの気配がない。············何故じゃ?」


 スライムがジッとオレを見る。

(スライムには目がないので実際の所わからないがそんな気配がした)

 何故と言われてもオレは知らん。


「じゃが先代勇者と同じ異界の気配はするぞ。お主は異界出身ではないのか?」

「それは······間違っていないが······」


 ということはかつての勇者はやはり異世界人だったのか。

 その辺を詳しく聞きたいがそんな雰囲気ではないな。


「まあ聖剣を使えるようじゃしスキルが無くとも問題無かろう。ならば最後の試練を与えるとしよう」


「いや、ちょっと待って。オレは別に勇者になりたいわけじゃないから。······あんた守護者ならオレ達を外に出せないのか? オレ達はここから脱出したいだけなんだが」


「なぬ? 本気で言っておるのか? 勇者になりたくないとは変わり者じゃのう」


 なりたい奴の方が変わり者だと思うぞ。

 ゲームでならいいが現実でそんなのは勘弁だ。


「しかしそいつは困る。ワシは勇者に聖剣を使いこなせるようにするためにここにいるわけじゃし············勇者でない者にその聖剣を持って行かれてはのう······」

「ならこの聖剣、返そうか?」

「··················」


 この聖剣を返すだけで済むならそれが一番なんだが。

 強力な剣で格好いいとは思うがオレには特に必要はない。

 どうしても手放したくない程じゃないからな。


 スライムはなんか黙ってしまった。

 何かブツブツ考えているように聞こえる。


「············さあ今代の勇者よ! 最後の試練じゃ! 

聖剣の力を使い見事ワシを討ち倒してみせよ!」


 コイツ、無理矢理押し通す気か!?

 なんか聞く耳持つ気はなさそうだぞ。


「レイさんー、戦うしかないみたいですよー?」

「だ、大丈夫っ······覚悟はできてるよ!」

「やりましょうレイさん、最初からそのつもりだったんですし」


 三人も武器を構えてやる気みたいだ。

 コイツを倒さなければ脱出できないんじゃ仕方ないか。


「ただ言葉が通じる奴を倒すってのは抵抗あるんだが······」


 スライムとはいえ話した感じ悪い奴には見えない。


「ワシの心配なら無用じゃ。ダンジョンコアを破壊せん限りワシもワシの眷属も不死の存在じゃからのう」


 つまりグラム達ゴーレムと同じわけか。

 もしかして最下層のスライム達が倒したら魔石も何も残さず消滅したのはそれが関係してるのかな?

 下層より上のスライム以外の魔物は普通に死体や魔石は残っていた。


「じゃがお主達は普通に死ぬぞ? だから全力で来るが良い」



―――――――グググッ······グググ······


 スライムの身体がグニョグニョ動きその形を変えていく。


(形状変化)

自らの身体を自在に変化させる。



 このスキルの力で戦闘形態に入るみたいだな。

 仕方ない······オレも覚悟を決めるかな。







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