120 勇者の聖剣
豪華な宝箱の中にはさらに豪華な剣が入っていた。
(聖剣エルセヴィオ)
攻撃力+4500〈勇者の闘気、自動修復付与〉
かつて勇者が使用していた聖剣の一振り。
えらく豪華な剣かと思ったら聖剣かよ。
オレのオリハルコンの剣より性能は遥かに上だ。
かつて勇者が使用していた聖剣って············なんでそんなものがここに?
(勇者の闘気)
自身とパーティーメンバーの全ステータスを大幅にアップさせる。
敵意を向けてくる者の全ステータスを大幅にダウンさせる。
付与されている能力もすごいな。
自分達のステータスをアップさせた上に相手のステータスをダウンさせるのか。
かなり強力······どころじゃないとんでもない剣だな。
(自動修復)まであるから破損しても勝手に直るようだ。
この聖剣ってオレが使うことは出来るのかな?
ゲームとかでは聖剣は勇者にしか使えないとかよくある設定だけど。
試しに手に持って振ってみた。
うん、なんか普通に使えるっぽいな。
「す、すごいレイ君······聖剣に認められたんだ」
「やっぱりレイさんがこの時代の勇者様なんですねー」
驚いたような声をあげる二人。
やはり普通は使えないものらしい。
正直勇者とか面倒ごとの予感しかしないので勘弁してほしい。
「レイさんが勇者ならワタシ達はその従者になりますね。国からも崇められますよ」
ミールがそう言うが本当にやめてくれ。
「いや、面倒そうだし勇者にはなりたくないな。そもそもオレに勇者のスキルはないよ」
「えー」
オレがそう言うとミウが残念そうにするが仕方ない。
確か以前結界の町エイダスティアで会ったユウという少年が(勇者の資格)のスキルを持っていたな。
本物の勇者はあっちだろう。
三人から話を聞くと勇者も聖女同様に候補が何人かいるものらしい。
そしていくつかの試練を乗り越えて本物の勇者になると。
ユウという少年もその候補の一人か。
そういえばエイダスティアでは色々あったけど今何してるのかな?
今度転移魔法でエイダスティアに行って様子でも見てくるかな。
まあその話は後でいい。
この聖剣の効果はすごいが迷宮から出たら国王にでも献上しよう。
本物の勇者が使ってくれ。
まあでもせっかくだしこの迷宮内では使わせてもらおうかな。
この先を進めば迷宮の最奥だ。
おそらく守護者とやらがいるだろう。
「勇者がどうこうよりもこの先はいよいよ最奥だ。迷宮の守護者と戦う覚悟はできてる?」
オレの言葉に改めて気を引き締める三人。
どうやら覚悟はあるようだ。
まあここまで来たんだものな。
なら進むとしようか。
この先はもう一本道だ。罠などもない。
そのまま進んでいくと大きな扉があった。
いかにも最後ですと言わんばかりの扉だ。
この扉の先に守護者がいるのだろう。
「開けるよ。みんな警戒を緩めないように」
一声かけてからオレは扉を開いた。
扉はすんなり開き、中は先程と同様の豪華な大部屋だった。
そしてオレ達が入ってくるのを待っていたように部屋の中央に魔法陣が現れた。
これは召喚陣という生物を召喚させる魔法陣だ。
オレ達は武器を手に構えた。
魔法陣からは一体の魔物が現れた。
現れた魔物は予想通りスライムだった。
こいつがこの迷宮の守護者かな?