115 迷宮下層
中層の門番っぽい魔物を倒して三人ともレベルアップした。
現在、エイミがレベル86。ミールがレベル91。
そしてミウはレベル85になっていた。
ここまで倒してきた魔物も合わせてかなりの経験値になったようだ。
アイラ姉とシノブがいれば、スキルの効果によってもっとレベルアップしていただろうけど、それは仕方無いか。
「三人ともお疲れ様、すごかったよ」
オレは三人に声をかけた。
加護やレベルの問題ではなく、三人とも優秀な特別クラスに入れるだけあって戦闘技術が高い。
「あ、ありがとう、レイ君」
「これもレイさんの加護のおかげですー」
エイミとミウが笑顔で応える。
「今の魔物、もし外に出ていたら災害級の魔物でしたね。下手すれば王国騎士団が壊滅する可能性がありました。それをワタシ達だけで倒せたのです。フフッ······今ならば国を落とすことも可能かもしれませんね」
ミールが何か怖いことを言う。
フフッ······と言っていたが無表情のままだった。
そんなミールと目が合った。
「冗談ですよ? レイさん」
······ミールでも冗談とか言うんだな。
冗談······だよな?
本気っぽく聞こえたのは気のせいだよな?
「冗談はいいとしてレイさん、レイさんからもらった加護······。〈仮〉となっていますからまだ正式な加護ではないということですよね? 〈仮〉でも充分すごい効果ですけど」
話の流れが変な方向に来たな······。
「どうすれば正式な加護になるのですか?」
やっぱり気になるか············。
説明しにくいんだよな······そもそもオレもまだはっきりわかっているわけじゃないし。
「あ、それわたしも気になってたよ······」
エイミまで便乗しないでくれ。
どう言えばいいんだ?
「あたしの弟のユーリはシノブちゃんに正式な加護をもらってましたよー。確か裸になって洗浄魔法を掛け合ったって言ってましたねー」
ミウが思い出したように言う。
そういえばそんなことを言っていたな。
絆を深めるにはやはり裸の付き合いが一番なのかな?
「裸に······つまりワタシもレイさんと裸になって抱き合えば······」
「ちょっ············ミミ、ミール! 脱ごうとしないでよっ」
ミールが服に手をかけたのでエイミが慌てて止めた。
「冗談ですよ? ············半分」
「半分!? じゃあもう半分は本気ってことっ!?」
「マジメな話、それだけのことをする価値はあると思いますよ。どうですレイさん? 身体はともかく、ワタシは姉さんと違って顔には自信がありますよ。 ムラムラしませんか?」
「わたし達双子! ほとんど同じ顔だよっ!?」
二人の漫才のような掛け合いが続く。
確かに二人は美少女の部類に入ると思う。
そんな二人が裸で迫ってきたら············オレも男だし理性がとびそうだ。
「あ、あたしもレイさんとなら裸で抱き合うのもー······」
ミウまでそんなことを言い出した。
このままこの話を続けるのはまずい!
「正式な加護がどうとかは後にしよう! 今は迷宮の攻略中だからそっちに集中しよう!」
オレは強引に話を終わらせた。
周囲に魔物の気配は今の所ないが油断はできない。
気を取り直して迷宮攻略を再開しよう。
さて、門番らしき魔物を倒したので下層へと向かう。
下層も通路やフロアの造りは上層、中層と変わらない。ただ罠が多くなってきている。
命の危険を感じるような罠も多く、より慎重に先に進んでいく。
「あ、ミルさんー、そこの壁気を付けてくださいー、罠がありますよー」
ミウが罠を見つけ忠告する。
ミウは罠を見つけるのが得意みたいだな。
オレよりも先に気付きみんなに注意している。
罠の索敵ならオレよりもミウの方が上っぽい。
「あっ、あそこに宝箱があるよっ」
エイミが宝箱を見つけ近付こうとする。
······ちょっと待ったその宝箱は!
「エイミ近付くな! それは魔物だ!」
「え············ひぃやああーーっ!!?」
突然宝箱が開きエイミを飲み込もうする。
叫び声をあげながらもエイミはそれを避けた。
[キラーボックス] レベル99
〈体力〉6500/6500
〈力〉1220〈敏捷〉1960〈魔力〉1770
〈スキル〉
(擬態)(連続詠唱)
やはり魔物だったか。
宝箱に擬態した魔物だ。
[キラーボックス]
宝箱に擬態する魔物の上位種。近付いてきた獲物を補食する。擬態をより完璧にするため身体の中には上質な宝石などが多数存在する。
いるとは思ってたが要はミミックか。
ステータスは結構高い。
スキル(擬態)は見なくてもなんとなくわかるがもう片方は······。
(連続詠唱)
魔力が続く限り連続で魔法を撃ち続けられる。
結構有用そうなスキルだ。
シノブがいれば(スキルスティール)で奪うことが出来たんだが残念だな。