113 遺跡の迷宮攻略準備
ミウとエイミとミールの三人に加護スキルが付いた。
三人のステータスは大幅に上がっている。
スキルレベルもいくつか上昇しているのがあるな。
[ミウネーレ] レベル55
〈体力〉1880/1880
〈力〉690〈敏捷〉880〈魔力〉1520
〈スキル〉
(詠唱短縮)(同時詠唱)
(魔力回復速度上昇〈中〉)
(異世界人の加護〈仮〉〈NEW〉)
[エイミ] レベル56
〈体力〉1910/1910
〈力〉630〈敏捷〉840〈魔力〉2050
〈スキル〉
(詠唱破棄)(同時詠唱)
(魔力回復速度上昇〈中〉)
(森の精霊の加護〈大〉)
(異世界人の加護〈仮〉〈NEW〉)
[ミール] レベル59
〈体力〉2040/2040
〈力〉750〈敏捷〉970〈魔力〉1980
〈スキル〉
(詠唱破棄)(同時詠唱)
(魔力回復速度上昇〈中〉)
(森の精霊の加護〈大〉)
(異世界人の加護〈仮〉〈NEW〉)
「············すごいです······ワタシのステータスが信じられないくらい上がっています」
「い、異世界人の加護って······どういう意味?」
二人は自分のステータスを確認して驚いている。
「レイさんは実は別世界の住人なんですよー、だからこんなすごいことができるんですー」
ミウがあっさりバラしてしまった。
まあ、もう隠す気もなかったし別にいいけど。
「別世界············ですか?」
「ど、どどど······どういうことっ!?」
いきなりそんなこと言われても混乱するよな。
どう説明しようか······
とりあえず二人にミウにも説明した範囲で事情を話した。
オレが別世界から来たこと。加護を与えられること。元の世界に帰る方法を探していること。
そして国王からの依頼で学園の地下迷宮の監視(?)をしていることを。
「す、すごい大きな話······信じられないよ。そもそも学園に迷宮が現れてたなんて······」
そういえば学園の地下に迷宮があるのを知っているのは一部の人だけだったっけ。
「ですが姉さん、今の話が本当なら色々納得できます。ワタシ達がこれだけ強くなったのにレイさんのステータスはまだ見えません。国王からも頼りにされるでしょう」
ミールは冷静だな。
「ミウネーレさんはレイさんが異世界人だということを最初から知っていたんですね」
「あたしは以前からレイさん達に色々助けてもらってましたからー」
「だ、だからアルネージュの町の英雄って言われてるんだね······」
まだ色々と混乱していたがミウの説明もあってまとまってきたようだ。
「学園長にも二人のこと頼まれているよ。何か功績をあげさせて奴隷から解放させたいってね」
「············そうですか」
「学園長······わたし達のことそこまで考えてくれてるんだ······」
オレの言葉に二人は少しうれしそうにしていた。
「レイさん、改めてお願いします。ワタシをもっと鍛えてください」
「ミ、ミール······!? 何を言ってるの」
「功績や奴隷うんぬんは置いておくとしてワタシはもっと力が欲しいんです。どんなことにも乗り越えられる力が············もう二度と大切なものを失わないためにも」
「ミール······」
ミールの瞳に強い決意が見えるな。
鍛えるのはオレとしては構わない。
エイミは戸惑い気味に、ミウは元気良く自分も鍛えて欲しいと言ってきた。
まあその話は後でするとしてまずはここから脱出しないとな。
そろそろ魔物の気配も集まり出している。
オレはそう言い、三人は頷いた。
「仕上げにこれも渡しておくよ」
オレはアイテムボックスから武器を取り出して三人に渡した。
(ヒヒイロカネとオリハルコンの合金杖)
攻撃力+850 魔力+2400
〈魔力自然回復力上昇、アンチマジック無効付与〉
こういう時のためにアイラ姉に素材を渡して色々な武具を作ってもらってたものだ。
ヒヒイロカネとはオリハルコンに匹敵する特殊金属だ。
オリハルコンのみで作った杖だと攻撃力は高いが魔力はあまり上昇しなかった。
なので色々と素材を組み合わせた結果、ヒヒイロカネがもっとも相性が良かった。
ミスリルや白金などと組み合わせた杖も作ったが能力はヒヒイロカネの半分くらいしかないのでアイテムボックスに死蔵している。
以前にフェニアに渡したのもその1つだ。
「す、すごいよ······伝説級の杖だよ、これ······」
「すごいですー、王都のお店で作ってもらったあたしの杖より遥かに強いですよー、レイさん、これもらってもいいんですかー?」
エイミとミウが杖を手にして興奮している。
「············え······これは」
ミールも目を見開いて驚いているな。
さて、これで攻略の準備はバッチリだろう。
「シャアアーーッ!!」
さっそく魔物が現れた。
しかもさっきエイミとミールを喰おうとしていた巨大蛇の同種だ。
レベルは91とさっきの奴より低いがステータスはほぼ同等だ。
「姉さん、やりますよ!」
「うん、任せてミール!」
二人が杖を構え魔力を集中させる。
「「エクスプロード!!」」
二人の力を合わせた複合魔法が炸裂した。
巨大蛇は一瞬でこんがり焼けて倒れた。
エイミとミールのレベルは56と59だが加護のおかげでステータス的にはレベル100以上のものだろう。
もはやこの魔物は二人の敵じゃない。
「······これが今のわたし達の力······」
「自分でも信じられません······こんなにあっさりと」
エイミとミールは今の自分の力に戸惑っている。
でもすぐに馴染むだろう。
巨大蛇を倒したことでエイミはレベル60、ミールは62に上がっていた。
この調子でレベルを上げながら攻略していこう。
「次、次はあたしが倒しますー!」
出番がなかったミウが少し不満そうだ。
「じゃあ先に進もうか。エイミ、ミール、ミウも準備はいい?」
「「「はい、もちろん」」」
三人ともやる気は充分のようだ。
さて本格的に攻略開始だ。
最深部には何が待ち受けていることやら······。