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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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89 フェルケンの妹フェニアの思惑

(エイミside)


 ミールが決闘でフェルケンに勝った。

 それはミールの実力だとは思うけど、昨日までのミールだったら勝つことは無理だったはず。

 レイ君とアイラさんのおかげだよね。



 昨日の特訓でミールはレベル53まで上がっていた。

 ちなみにわたしのレベルは46。

 たった一日の特訓でこんなにレベルが上がるなんてありえないことだよ。

 一日どころか一年かけてもこんなに上がらないと思う。



 レイ君達って何者なんだろう?

 初めて会った時はいきなり着替えてたところに入ってきたから驚いたけど······。

 すぐに謝って扉を閉めてくれたから怖い人ではないとは思った。


 わたしの話相手なんてミールくらいしかいなかったからどうしても他の人とはうまく喋れない。

 エルフの里にいた頃はこんなわたしの態度に腹を立てて怒鳴られるのなんてしょっちゅうだった。

 レイ君はこんなわたしでも気にせず接してくれる。



「············う·····んっ······」


 ミールが保健室のベッドで寝息を立てている。

 フェルケンとの決闘から2時間くらい経ったかな?

 ミールの魔力も回復してきている。

 今は保健室にいるのはわたしとミールだけだ。

 さっきまではレイ君達もいたんだけど学園長と何か話があるみたいで行っちゃった。


 学園長はお母さんと友達だったみたいでわたしとミールに何かと良くしてくれる。

 一時的に奴隷から解放されているのも学園長のおかげ。

 もしかしてレイ君達が途中入学してきたのも学園長が何かするためなのかな?



「失礼します」


 そんなことを考えていた時に保健室に誰か入ってきた。

 エルフの女の子が三人。

 特別クラスじゃない別のクラスの子だけどフェルケンの妹のフェニアといつも一緒にいる子達だ。

 三人とも緑色の髪でそれぞれショートヘアー、セミロング、ロングヘアーと長さが違うからわかりやすい。


「あら、エイミさんだけですか? これはちょうど良かったです」


 セミロングの子が言う。

 どういうことだろう?

 あんまりいい感じがしないけど············。


「フェニア様の指示ですので悪く思わないでくださいね」


 今何かしらの魔道具を使ったのが見えた。

 その言葉の後、わたしの意識は遠くなりそのまま闇に落ちた。







(フェニアside)


 アタクシはフェニア=フォマード。

 エルフの中でも高位のフォマード家の長女ですわ。

 今日はフェルお兄様があの忌まわしきハーフエルフと決闘を行いました。

 信じられないことにあのフェルお兄様が負けてしまいました。


 きっとあのハーフエルフが事前に何か仕掛けたに違いありませんわ!

 でなければフェルお兄様が負けるなんてありえない。



 そもそもあのハーフエルフが一緒の学園、それも同じクラスにいることも許せないのにフェルお兄様を罠に嵌めるなんてもはや我慢なりませんわ!


 フェルお兄様も甘過ぎますのよ。

 あんなハーフエルフなど問答無用で追い出せばいいですのに。

 ()()()父親のせいで勇猛果敢な父様が二度と戦えない身体になってしまったというのに。


 学園長も何故あのハーフエルフの肩を持つのか············理解できませんわ!



 こうなったらアタクシの手であのハーフエルフ達を学園から追い出してやりますわよ。


 そうと思えばさっそく行動開始ですわ。

 ハーフエルフの妹の方、ミールはフェルお兄様との決闘の後でろくに動けないはずですわ。


 アタクシの指示に忠実に従うエルフの三人娘。

 三人に保健室にいる二人を修練場に連れて来るように指示しましたわ。

 ミールは眠っているようならそのまま連れてきて構わないと。


 決闘でフェルお兄様をどんな罠に嵌めたのか暴き出してやりますわ。

 多少手荒になってもそれは自業自得ですわよね。



 アタクシは修練場で三人が戻ってくるまで準備を進めます。人払いは済ませ、防音も完璧。

 さらには結界も張りましたわ。

 何が起きてもしばらく誰も気付かないでしょう。




 しばらくすると三人が戻ってきましたわ。

 ミールは普通に眠っていたようですが、姉の方は気を失わせて連れてきたと。

 フフッ、それでいいのですわよ。


 気を失わせていた姉のエイミを目覚めさせ、今の状況を理解させます。

 あわあわと情けない姿を見せていましたがどうやら理解してくれたようですわ。


「さあ白状しなさいエイミさん、あなたの妹はフェルお兄様をどんな罠に嵌めたのかを」

「ミミミ、ミールは罠なんてつ、使わないよ······」


 まあ素直に話すなんて思っていませんわ。

 ふと鑑定魔法でエイミを見るとレベルが46になっていました。

 妹の方は53もありますわ!?


 ············どういうことですの?

 フェルお兄様でもレベル31だというのにこの二人はそれ以上になっていますわ。

 ありえませんわ!

 先日までこの二人はレベル20もなかったはずですわよ!?



 まさか何かしらの禁術に手を出したのでは?

 このハーフエルフ達ならありえなくはありませんわね······。

 だとするならば尚更許せませんわ!



 一体どういうことなのかはっきりさせなくてはなりませんわね!






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