1 プロローグ
タイトルが思い付かなかったので、そのまんまです。突然異世界転移してしまった三人の冒険が始まります。
「レイ、起きろ」
気の強そうな、それでいてやさしげな声に気付き目を覚ます。
オレの名前はレイ(零)。
運動神経はそこそこいいが特に目立つ所もない普通の高校生だ。
そしてオレに声をかけてきたのはアイラ(愛羅)
実の姉ではないが、オレはアイラ姉と呼び慕っている頼りになる存在だ。
ちなみに年はオレより一つ上だ。
長い黒髪に凛々しい顔付きで、かなりの美人だ。
「アイラ姉······あれ、ここは?」
起こされて周りを見渡すとまったく見覚えのない草原にいることに気付いた。
おかしいな、ここは一体どこなんだ?
「ウム、私にもわからん。気付いたらここにいたのだ」
アイラ姉がキッパリと言う。
自信満々な口調だがアイラ姉にもここがどこかわからないらしい。
「どうやら見渡す限り草原で人の気配はないでござるよ」
そう言ってアイラ姉の横から現れたのはシノブ(忍)だ。
シノブはオレの親戚にあたる女の子で、まだ中学に入ったばかりの年齢だ。
忍者かぶれの口調と格好なのは中学生ということで察してほしい。
忍者かぶれといってもこの子、運動神経は抜群で本物の忍者並みの動きができるほどだ。
(本物の忍者を見たことはないけど)
さらにオレと一緒にアイラ姉の地獄のシゴキも受けているので度胸と根性も人並み以上にある。
今は訳あってオレを師匠と呼び、オレの家に居候中だったのだが。
「シノブもいたのか。本当にどこなんだここ?」
オレは少し前のことを思い出す。
確か今は夏休み中で、アイラ姉の実家にシノブと一緒に顔を出しに行ったんだったな。
そして叔父さん達、アイラ姉の両親に挨拶をしてのんびりしようとしてた所を、アイラ姉に蔵の整理を手伝ってほしいと半ば強引にシノブと一緒に連れて行かれたんだったっけ?
その蔵の整理をしていた時に見たことない虹色に光る宝石を見つけ、それに触れた辺りで記憶がない。
もしかしてよくゲームやアニメなんかである異世界トリップとかいうやつだろうか?
いやいや、現実にそんなこと起こるわけ······。
そんなことを思っていたら目の前に何か現れた。
[レイ] レベル250
〈体力〉5200/5200
〈力〉4550 〈敏捷〉3000 〈魔力〉6800
なんかステータス画面みたいなのが現れたぞ。これがオレのステータスか······ってゲームかよ!?
しかもレベルがいきなり250って高いのか低いのかわからん。
「おお、なんだ? 目の前に何か文字が出たぞ」
アイラ姉もオレと同じようにステータス画面を開いたようだ。
驚きの声をあげている。シノブも同様だ。
ステータスだけでなくアイテムや魔法の項目もある。まるでゲームの中に入ったみたいだな。
アイラ姉とシノブのステータスも見える。
[アイラ] レベル380
〈体力〉17800/17800
〈力〉6400 〈敏捷〉8200 〈魔力〉4000
[シノブ] レベル220
〈体力〉3800/3800
〈力〉3100 〈敏捷〉5500 〈魔力〉2200
アイラ姉のレベルはオレより100以上高い。
唯一オレがアイラ姉を上回っているのは魔力くらいだ。でもいくら魔力とやらが高くてもオレは魔法なんて使えないぞ?
いや、魔法の項目もあったし使えるのかもしれないな。シノブはオレよりレベルが低いがそれでも220もある。
しかし比べる相手がいないから強いのか弱いのかわからん。
「とりあえず人のいる場所まで移動した方がいいと思うでござるよ。ここにいてもほとんど情報が手に入らないでござるし······」
シノブの言うことにオレとアイラ姉は頷き、人のいる町とかを探すことにした。
しかし見渡す限り広大な草原だ。
どっちに行けばいいのかそもそもわからない。
ゲームのような世界なら町の場所がわかるような探知魔法とか使えないだろうか?
そんなことを考えたらメニュー画面にMAPの文字が浮かんだ。
それを選ぶと広大な地図が表示された。
これはもしかしてこの世界の地図だろうか?
見たことのない地形だ。
少なくとも地球の地図ではない。
ここが現在地だとするならば北東に進めば大きな町があるようだ。
「フム、どうやら北東の方に町があるようだぞ」
アイラ姉もMAPを確認したようだ。
オレ達は北東に進むことにした。
こうしてオレとアイラ姉とシノブの三人は訳もわからず異世界に迷い込んでしまったのだった。