特別編:お通夜に現れた珍客達
【衝撃!旦那の同僚】
正式には家族葬ではなく、親戚一同も呼んだ盛大な葬儀にはなったんだけど、私も、そして旦那も同僚達には来てほしくなかった為、それぞれの職場には『家族葬だから参列しないでね?』って言っておいた。
なのにである。
何故か旦那の同僚が、しかも大挙して押し寄せてきたのだ。
もう、挨拶だけでもめんどくさい。
しかも他のみんなが礼服を着てるってのに、その集団だけ夏だったからか、半袖カッターシャツ姿。
何だかすごく浮いてる。
この時初めて旦那の会社がまともでない事に気付いた。
旦那は後に、「忌引休暇が本当なのか、確かめに来たんじゃないか?知らんけど」って言ってた。
親戚の叔母さんとか叔父さんならまだしも、実父でそんな事しないって。
いや、元々そんなでっち上げなんてしないけどさ。
数年前、旦那が仕事を辞めるって言った時、私は大賛成したんだけど、多分この出来事もあったからなんじゃないかな?
ちなみにうちの会社からは誰も来ませんでした。
いや、普通はそうだよね?
【恐怖!泣き女】
それはお通夜が始まる30分ぐらい前だろうか?
1人の、多分5~60代ぐらいの女性が現れる。
道端に立てられた看板を見て来たって話だ……って言うか、そんな衝動的に来た割にはしっかりと喪服に着替えて準備万端だな、おい!
しかもその女性は何も名乗らず、帳簿も書かずに一頻り祭壇の前で泣いて、そしてお通夜の前に帰って行った。
旦那も誰かわからず、叔母に聞いてもわからない、本当に誰だかわからない謎の女性。
そう言えば噂で聞いた事がある。
何でも誰かが亡くなるとその葬儀やお通夜に顔を出し、拝んでいくのが趣味っていう人がいるらしい。
その類の人か、はたまた義父の昔の女性なのか……?
よくわからなかったけどその時は妙な気分だった。
【迷惑!真夜中の珍客】
お通夜も終わり、私と旦那はホールの控室で一夜を明ける。
歩いて行ける場所にコンビニもあったし、施設もすごく新しく、広くて快適な空間だった。
棺もホールにそのまま置いてあり、叔母や義姉夫婦、義弟も帰り、穏やかな夫婦2人の時間を過ごせるのかな……?なんてそうは問屋が卸さない。
いや、まだお通夜が終わって1時間2時間程度ならば許せる。
でもせめて22時を回ったらご勘弁願いたい。
ちなみに22時以降に来た客は合計3組。
1人目はまるで浮浪者のような見た目のめっちゃカジュアルな服装でやってきたおじさん。
近所の飲み友達同士だったって事だけど、めっちゃ酒飲んでるのがわかる服装。
そして次は、義父が通ってたっていう雀荘のスタッフの人達。
仕事が終わってから来たんだろうな。
って言うか、お義父様、麻雀までしてたんだ。
そして最後に、既に0時を回って私達も入浴を済ませ、布団も敷いたし、流石にもう誰も来ないだろうからそろそろ寝ようか?って話してた時だった。
いきなり鳴り響くチャイム。
嫌な予感しかしなかったけど、開けたらそこにいたのは夫婦風の人と数人の初老の男性、そして派手なお姉さん。
何でも義父の行きつけの居酒屋の店主夫婦が常連客を引き連れて、大挙してやってきたのだ。
うん、そりゃ、居酒屋だから深夜まで営業するよね?
それはわかるけど、何もそんなにぞろぞろ引き連れて来なくても……。
ま、一応ちゃんと対応はしたけどね。
私はすっぴんだったけどさ(泣)
何だか義父の生き様が感じられたような、そんな来客の内容でございました。