いや、思ったよりイケメンなのにびっくりした(なお喪主本人は普段嫁からブサイクと言われ続けて自信喪失気味な模様)
何だかんだで嫌なご対面ではあったんだけど、旦那を含めた姉弟も叔母2人も誰も泣き崩れる事もなく、取りあえずみんな冷静そのもの。
うちなんて母親が死んだ時、弟は泣き崩れてたもんね。まあ当時弟は小学生だったからしゃあないけど。
私も何だかんだで両親が死んだ時はどっちも泣いちゃったもん。
こういう部分でも家によって結構温度差があるんだって事がわかった。
その日は夜だったけど、ちゃんと葬儀屋と納棺師の人も来てくれて、義父はかなりきれいな死化粧を……って、お父様、かなりのイケメンだったんだ。
髭モジャでわからなかった。
考えてみればウチの旦那も顔の作りは何だかんだで端正だし、義姉は私から見てもかなりかわいい系。義弟なんて普通に俳優になれそうなレベルだ。
やっぱすげえなこの一族。
ちなみに私はそんな旦那をからかって普段から「このブサイク!」って言い続けている。
実際はそんな事思ってないんだけど、じゃれあいみたいなもんだ。そして軽く落ち込んでる旦那を私が慰めてあげる。うん、酷いマッチポンプだ。
だけど当時の私はついつい心配になって旦那の顔をジッと見てしまった。こいつ、よそで女作って来るんじゃ無いだろうな?ってね。
実際に後で義母から聞いていた話では、義父はとある大きな企業の偉いさんだったらしく、当時は毎日遊び歩いていて、多分よそに何人も女性がいたんだろうって話だ。って言うか、実際相手の女性の名前まで知っていた。お母様、マジ怖え。
それに対してうちの旦那はお酒も飲まないし煙草もしない。本当に父親からDNAを受け継いだんだろうか?ってレベルだ。
結局心配するような事なんてひとつも無かったんだけどね。数年前、私と同じように専業の投資家になってからは、ずっと一緒にいるんだもん。はっきり言ってアリバイしかない。逆にちょっとぐらいお日様に当たりなさい。
ちなみに私達が実家に着く前に葬儀屋はもう決まっていて、私達が着いて30分程でやってきた。
「えー、喪主の方ってどちらでしょうか?」
葬儀屋のおじさんが尋ねてくる。
そう言えば喪主について全く話し合いをしていなかった。
ちなみにウチの場合、母親の時は父親が、父親の時は姉が喪主をした。
本来だったら旦那のお婆さんがするべきなんだろうけど、それ以前にお婆さんは現在90代で施設暮らし。認知症も進行していて、ここ数年で何度か会いに行ってるんだけど、その度に孫の顔当てクイズ大会が始まる始末だ。
何だか嫌な予感がするなって思っていたら、案の定、私と旦那以外のそこにいた全員が一斉に旦那を指差す。
こうして私は晴れて、喪主の嫁になったのでした。