表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

ヤバい、臭い、そしてすっぽんぽん(なお、喪主は大して動じなかった模様)

 今回は義父のご遺体と対面した話です。

 苦手な方は読まないでください。

 旦那の実家に到着した頃には既に21時を回っていた。

 ちなみにどこかで食事をしたいっていう、旦那の提案は却下。私も腹ペコなんだ。それぐらい我慢してくれ。


 相変わらず旦那の家はデカい。

 場所は駅から徒歩10分の好立地。1区画全部使ってるんじゃないの?って思えるぐらいの広い土地に、超大きな2階建のお屋敷が1軒。大きな2階建のお屋敷が1軒。そしてそこらの一軒家よりも大きな2階建の倉庫が1軒。

 中庭には全然整備されてない、乾いた池があり、家の前、1段下がったところにはコンクリートで出来た、車が十数台置けそうな……いや、詰め込んだら30台は置けそうな駐車場がある。

 旦那の話では他にも色んな場所に土地を持っているらしい。いや、どこのセレブだよ?

 こんなすごいところに1人で暮らしてたら、私だったら絶対に鬱になる。

 私だったら間違いなくさっさと引き払ってアパートでも借りて暮らすな、うん。


 ちなみに私がこの家に来たのは今回で2度目。

 初めて行ったのは7年前。ちょうど結婚を決めて、家に挨拶をしにいった時だ。

 その時対応してくれた旦那のお婆さんは、なんて言うか、田舎のお婆ちゃんって感じの見た目。人の良さそうなすごくかわいいお婆ちゃんだった。

 その時は廊下も顔が写るぐらいピカピカに磨かれていて、埃ひとつ落ちて無かったんだけど……。


 2度目の訪問時は何だか壁の色もくすみ、染みとかも目立っていて、蜘蛛の巣やら廊下の端に埃やら……これってちょっとしたお化け屋敷だよ。

 多分、家の事は全部お婆さんがしてたんだろうなって事が、容易に想像出来た。

 ああ、もう、我が家のル○バを持ってきて這わせてやりたい!


「お邪魔しまーす……」


 外行きの声で玄関に上がると旦那に笑われる。いや、一応身内に不幸があったのに、そこって笑うとこか?

 多少は空気読もうよ、旦那!

 そして玄関から入ってすぐ左側、応接室に入ると義姉夫婦と義弟、そして旦那から聞いてた叔母2人が待っていた。

 ちなみに叔母2人とは初対面……って言うか、私はそれこそ旦那の祖母、義姉と義弟、義母以外と会った事がない。

 挙式は海外で2人きり、披露宴もしてこなかったからだ。

 この披露宴。まだ20代の頃は面倒だしお金掛かるからって事で、したいとは全く思わなかったんだけど、今になってはしとけば良かったと後悔。

 それは後々になって、本当に実感する事となる。

 叔母2人に挨拶をすると、こんな時なのにすごく優しく接してくれたのがすごく嬉しかった。


 で、早速旦那のお父様と初対面って事になったんだけど……。

 家で亡くなったから、警察の検死が必要だったって事で、現在は検死も終わり、30分ほど前に警察は帰って行ったそう。


 亡くなってたっていう部屋に入るとエアコン全開、それでもかなりの悪臭が立ちこめていた。

 壁はタバコのヤニで黄色くなっていて、部屋はビールの缶が大きな袋に大量に入っていて、それが何袋も部屋に置いてあった。

 もうそれだけでわかる。旦那が私と義父を会わせなくて正解だったと。

 ある程度予想してたんだけど、かなり鼻につく臭い。

 って言うか、検死ってすっぽんぽんにされるのね。

 一応タオルでお父様の”ご自身”は隠れてたけど……。

 顔を見てみると毛むくじゃら。


 後で聞いた話だと、数ヶ月前に体調を崩して仕事を辞めたって事らしい。

 叔母は口酸っぱく病院に行くように言ってたようなんだけど、行ってたのは最初だけで、最近は行ってなかったんじゃないか?って話。

 なにしろ腎臓が悪くて透析が必要だったらしいんだけど、病院に行かなかったらそりゃ死んじゃいますわ。

 ちなみに冷蔵庫を開けるといつのモノかわからないキムチとか、日本酒やらワインやら……。

 これって、もしかすると鬱か何か発症でもしてて、消極的自殺だったんじゃ無いだろうかって思った。

 娘息子から疎まれ、奥さんにも逃げられ、そんな孤独な人の末路ってこんななのかな……。

 取りあえず私はこういう死に方だけはしたくないなって思いつつ、初めて会った義理の父親に手を合わせたのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ