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3. 剣の末裔、翼を拾う

では、15番さん改め《グレア》視点です。

きりが良いので少し短めです。

もうすぐもう1人の少女の名前がわかるかも!


※少々残酷な描写があります。


「はぁ、そろそろ限界、かも」


 ぼくは岩肌を背にもたれかかった。ここまで気を張って疲れたみたいだ。

 

 通路を出たところまでは良かったが、広場に複数の気配を感じ、追いかけられてここまで来てしまった。

 

「……先なんてないよな」


 ついに行き止まり、か。こんなことなら逃げなきゃ良かった。


 あのクソみたいな親父に奴隷として売られて、ここの奴らに買われたわけだが。


 「ぼくなんか買ってどうするんだ。こんなもやしみたいな痩せっぽちなのに」

 

 ぼくなんて、なんの価値もない。


 ぼくは、売春婦のお母さんと貴族だった親父の間に生まれた。

 貴族だった親父は、売春婦だったお母さんと関係を持ち、僕を産んだことで家を追い出された。


 お母さんはぼくを産んだことで病弱になり、よくベッドで寝ていたことを覚えている。


 親父はそんなお母さんを放って、夜ごとどこかに飲み歩いていた。そんなお金ないのに。


 お母さんの死に目に会えたからマシだと思う。お母さんは最後に、


「どうかあの人のことは嫌いにならないで」


 と言っていた。

 

 最後まで親父のことを愛していたんだ。


 お母さんが死んじゃっても、親父の酒癖は治らなかった。むしろひどくなったように思える。


 ひどい時はぼくをお母さんと見間違ったのか、襲われることもあった。

 その時の親父は、ひどく哀しげな表情をしていたように思う。


 結果、酒代を払う借金を返すためにぼくを売ったわけだ。


 親父が憎かった。


 何よりお母さんを死なせたことが一番許せなかった。


 その頃から、ぼくは不思議な力を使えていたように思う。


 扉の向こう側の気配や、ほんの少し未来のできごと。

 人の思考もほんの少しだけ読めるようになった。 


 この力は、異能と呼ばれるものらしい。


 でも、こんな力、ありふれている。

 ぼくより思考を読める人だっているし、気配を読むことだって修練すれば誰でもできる。

 

「異能をもらうなら、もっと強い力がよかったな」


 どうすることもできない現状で独り言ちる。


「最後にお母さんの歌を聞きたかった」


 あれは五歳のころだったか。

 

 ぼくがお母さんの枕元でうとうとしてた時、お母さんが子守唄を歌ってくれた。

 ぼくのことを愛おしく思っていたことが、今なら痛いほどわかる。


「……お母さんに会いたいよぉ」


 ぼくの心はぐしゃぐしゃだ。

 

 神様。もしいるなら、ぼくを幸せにしてよ。

 

 ぼく、ひどいことなんてしてないよ。

 

「ぼくを愛してよぉ……」



 ぼくは、


 ひとりぼっちだ。



 

 「 大 丈 夫 ? 」




 声が聞こえた。

 鈴がなるような、鳥がさえずるような声だった。


 顔を上げ、広場に通じる通路をみた。


 そこには、天使がいた。


読んでくださりありがとうございます!

次回もグレアちゃん視点です。

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